タームシートとは
タームシートとは、出資の主要な条件を、簡潔にまとめた文書のことです。投資の金額、評価額、株式の種類、投資家の権利、会社の義務などが、一覧の形で記載されます。「正式な契約の前の、条件の設計図」と言えます。
英語の term(条件)と sheet(紙)に由来します。正式な契約書は長く複雑になるため、まず主要な条件で合意し、その後に詳細を詰めるという進め方のために使われます。
仕組み・ポイント
記載される主な項目を整理します。
- 金額と評価額:調達する金額と、その前提となる評価額。
- 株式の内容:発行する株式の種類と、付与される権利。
- 投資家の権利:先買権、情報の提供、同意が必要な事項など。
- 会社の義務:報告や、調査への協力など。
- 拘束力の範囲:どの条項に法的な拘束力があるか。
タームシートの段階で、条件の交渉を丁寧に行うことが、後の契約の手間を減らします。契約書の段階で大きく条件を変えるのは難しいため、重要な論点は、この段階で決着させるのが望ましい進め方です。
また、複数の投資家からタームシートが提示された場合は、条件を並べて比べ、総合的に判断します。
署名の前には、タームシートに書かれていない事項で、重要なものがないかも考えます。たとえば、情報の共有の範囲や、将来の調達に関する取り決めなどが、契約の段階で初めて出てくることもあるためです。
署名の際には、拘束力のある条項に、特に注意します。たとえば、一定期間、他の投資家との交渉を行わないことを約束する条項や、秘密保持に関する条項は、拘束力が認められることがあります。
署名後に、他の選択肢を探せなくなることを理解したうえで、合意するかを判断します。
実務での使い方・具体例
架空の例として、新規事業の会社が、投資家からタームシートを受け取った場面を考えます。担当者は、各条項を表に書き出し、自社の希望と食い違う点、不明な点に印を付けて、専門家に相談します。
特に、評価額、権利の内容、拘束力のある条項(たとえば、他の投資家との交渉を制限する条項など)に注意して、読み解きます。交渉の余地がある点と、譲れない点を、あらかじめ整理します。
合意した内容は、正式な契約書に正しく反映されているか、最後に突き合わせて確認します。
たとえば、複数の投資家からタームシートが届いた場合は、同じ項目の表を作って並べます。評価額や金額だけでなく、権利や拘束力の条項まで並べて比べると、総合的な優劣が見えてきます。
進め方の例
- 各条項を表に書き出し、自社の希望と比べる。
- 拘束力のある条項と、ない条項を区別する。
- 交渉する点と、譲れない点の優先順位を決める。
- 合意した内容が、契約書に正しく反映されているか確認する。
よくある誤解と注意点
- タームシートに署名しても、すべてが確定するわけではありません。ただし、一部の条項に拘束力があることもあります。
- 内容が簡潔なため、細かな条件が省かれています。契約の段階で重要な違いが出ることがあります。
- 署名の前に、専門家へ確認する習慣を持ちます。
- 他の投資家との交渉を制限する条項があると、他の選択肢を失う可能性があります。
制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
- 投資契約・株主間契約:タームシートを踏まえて結ぶ契約
- 優先株式:条件に含まれる株式の内容
- バリュエーション(企業価値評価):条件の前提となる評価額
- デューデリジェンス:合意後に行われる調査
Otsumuに相談できること
出資の条件を受け取る場面では、条項を表にして、希望との違いを整理することが重要です。詳しくは事業戦略・調査の支援をご覧ください。状況の整理から始めたい場合は、30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04