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ベクトルデータベースとは?仕組みと選び方のポイント

ベクトルデータベースとは、埋め込み(ベクトル)を保存し、意味の近いデータを高速に検索できるデータベースです。仕組み、通常のデータベースとの違い、RAGでの使い方と選定の観点を解説します。

ベクトルデータベースとは

ベクトルデータベースとは、文章や画像を数値の並びに変換した「ベクトル」を大量に保存し、ある問い合わせのベクトルに近いものを高速に探し出すことに特化したデータベースです。

一般的なデータベースが「顧客IDが123の行を取り出す」「金額が1,000以上の注文を探す」といった、値が一致するか・範囲に入るかで探すのが得意なのに対し、ベクトルデータベースは「この質問と意味が近い文書を上位から10件」といった、近さで探す検索を得意とします。生成AIに社内文書を参照させるRAGの仕組みで、検索部分を担う存在としてよく使われます。

英語の Vector Database の訳で、「ベクトルDB」と略されることもあります。

仕組み・ポイント

ベクトルデータベースに保存されるのは、埋め込み(エンベディング)で作ったベクトルと、その元になった文章、さらに文書名や更新日、閲覧権限などの付随情報(メタデータ)です。

すべてのベクトルと一つずつ距離を計算すると、データが増えたときに時間がかかりすぎます。そこで、多くのベクトルデータベースは「近似最近傍探索(ANN)」と呼ばれる手法で、厳密さを少しだけ犠牲にする代わりに大幅に速く検索できるよう、データを事前に整理(インデックス化)しています。

種類例向いている場面
ベクトル検索専用のサービスPinecone、Weaviate、Qdrant など大量のベクトルを高速に扱いたい、検索機能を作り込みたい
既存データベースの拡張機能PostgreSQLのpgvector など既存の業務データと同じ場所で管理したい
検索エンジンのベクトル対応Elasticsearch、OpenSearch などキーワード検索と組み合わせたい
クラウドの検索サービス各クラウドのAI検索サービスクラウド基盤に揃えて運用したい

製品の機能や料金は変化が速いため、選定時には各製品の最新情報を確認してください。

実務での使い方・具体例

架空の例として、全国に支店を持つ会社が、社内規程と業務マニュアルを検索して答える社内AIを作るケースを考えます。

  1. 規程とマニュアルを分割し、埋め込みに変換する
  2. ベクトルと本文、文書名、版数、閲覧可能な部署をベクトルデータベースに登録する
  3. 社員が質問すると、質問をベクトル化し、その社員が閲覧可能な文書の中から近いものを検索する
  4. 見つかった文書を生成AIに渡し、根拠付きで回答させる

ここで重要なのがメタデータによる絞り込みです。「人事部だけが見られる規程」を他部署の社員の回答に混ぜないよう、検索時に権限で絞り込む設計が必要になります。また、規程が改訂されたら古い版を削除または無効にし、新しい版を登録し直す更新の仕組みも欠かせません。

小規模な試作では、既存のデータベースに拡張機能を入れて始め、データ量や検索要件が増えた段階で専用サービスへの移行を検討する、という進め方もよく取られます。

選定時に確認したい観点を整理すると、次のようになります。

  • データ量:登録する文書の量と、今後の増え方の見込み
  • 検索要件:キーワード検索との併用、メタデータでの絞り込み、並べ替えの必要性
  • 運用体制:自社でサーバーを管理できるか、マネージドサービスに任せたいか
  • データの保管場所:社外のサービスにデータを置いてよいか、国内保管が必要か
  • 費用構造:保存量、検索回数、常時稼働のどれに費用がかかるか

これらを先に書き出しておくと、製品比較が「有名だから」ではなく「自社の要件に合うか」で進められます。

よくある誤解と注意点

  • 「ベクトルDBを入れればRAGの精度が上がる」わけではない:精度は文書の分割方法、埋め込みモデル、検索の組み合わせ、生成AIへの渡し方で大きく変わります。データベースは道具の一つです。
  • 専用製品が必須とは限らない:文書量が多くない段階なら、既存のデータベースの拡張で十分なこともあります。運用する仕組みを増やすコストも考慮します。
  • 権限と更新の設計を後回しにしない:試作では全員が全文書を検索できても、本番では情報漏えいの原因になります。
  • バックアップと再構築の手順を用意する:埋め込みモデルを変えると全件再登録が必要です。元データから作り直せる手順を残しておきます。

関連用語

権限設計については「RAGでの権限管理」で詳しく解説しています。

Otsumuに相談できること

「どのベクトルデータベースを選べばよいか」「既存のデータベースで足りるのか」といった判断は、文書の量、更新頻度、権限の要件、運用体制によって変わります。OtsumuはRAG開発において、目的から逆算して必要十分な構成を選び、構築から運用・改善まで支援しています。

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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01

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