この型の要点
- 顧客が選んだ設備を自社が代わりに購入し、顧客に一定期間貸して、毎月のリース料で購入代金と資金の費用、利益を回収する型です。自社は製造も販売もせず、設備を「買って貸す」金融の役割を担います。
- 回収は契約期間を通じて少しずつ進むため、契約の途中で顧客が支払えなくなる与信の問題と、期間が終わったときに設備がいくらで処分できるかという残価の問題が、採算を左右します。
- 顧客にとっては、設備を一度に買う資金を用意せずに使い始められ、契約によっては期間終了時に返却・買い取り・再リースを選べます。この使い勝手が、単なる借入との違いになります。
収益が生まれる仕組み
お金を払うのは設備を使う顧客で、支払いの対象は「設備を一定期間使う権利」です。自社は顧客の要望に沿って設備を販売元から購入し、所有権を持ったまま顧客に貸します。毎月のリース料が契約期間にわたって入り、その合計が購入代金、資金の調達費用、事務の費用、利益を賄うように設定します。
たとえば、地域の建設業者向けに工具や車両のリースを提供する場合、業者が使いたい機種を選び、自社がそれを購入して業者に貸します。業者は毎月のリース料を払い、期間が終われば、契約で決めた選択肢(返却や、決められた額での買い取りなど)から選びます。
収益の構造は次のように分けて考えます。
- リース料の合計から購入代金を差し引いた部分。ここが資金の調達費用と利益の源です。
- 期間終了時の残価。返却された設備を売却または再びリースに出して得る収入です。残価を高く見込めばリース料を下げられますが、見込みを外せば損失になります。
- 契約の途中で回収できなくなる貸倒れ。支払いが止まった場合、設備を引き揚げて処分し、残った債権との差額が損失になります。
費用がかかるのは、設備の購入資金の調達、与信の審査と契約事務、設備の引き揚げと処分、そして所有者として負う保険や税の手続きです。設備の所有権が自社にあるため、顧客の手元にある設備であっても、所有者としての管理が続きます。
成り立つ条件と、裏側の仕事
顧客側の条件は、設備を買う資金を一度に用意することを避けたい、あるいは所有せずに使いたいという動機があることです。資金の余裕がある顧客は購入と比べて選ぶため、リースを選ぶ理由としては、資金の温存や、期間終了時に設備を入れ替えたいといった事情が考えられます。
供給側、つまり自社の条件は、設備の購入資金を安定した条件で調達できることと、対象とする設備の中古市場や耐用の実態を知っていることです。残価の見込みは、設備の種類ごとの知識がなければ立てられません。
自社の能力として重要なのは、与信と残価の二つの見立てを同時に行い、契約ごとにリース料を組み立てる力です。どちらかを甘く見れば、契約は取れても回収できません。
裏側で必ず必要になる仕事は、次のようなものです。
- 設備の販売元との関係づくり。顧客が設備を選ぶ場面に販売元が立ち会う場合、販売元からの紹介がリースの契約の入り口になりえます。
- 契約期間中の所有者としての管理。保険の手当て、設備に関する税の手続き、顧客の使い方の確認のうち、どれを自社が担い、どれを顧客に求めるかを契約で決めておく仕事です。
- 期間終了時の設備の処分経路の整備。返却された設備を売る先や再びリースに出す先がなければ、残価は見込みのまま終わります。
- 支払いが止まった場合の引き揚げの手順。所有権はあっても、顧客の手元にある設備を引き揚げるには手順と時間がかかります。
- リースに関する規制と会計上の扱いの確認。契約の形によって扱いが変わるため、個別に専門家へ確認してください。
向く事業・向かない事業
向くのは、設備の単価が高く、耐用の期間が長く、中古としての処分先がある分野です。処分先があれば残価を見込みやすく、リース料を抑えて競争力を持てます。また、対象とする業界の設備について、自社が種類ごとの耐用や中古の処分価格の見通しを持っている場合、残価の見立てで優位に立てます。
向かないのは、設備が急速に陳腐化して期間終了時の価値がほとんど残らない分野や、顧客の事業の継続性が読みにくく、契約期間を通じた支払いの見通しが立たない分野です。また、設備が特定の顧客の用途に合わせて作られていて、他の顧客に転用できない場合、引き揚げても処分できず、残価も見込めません。
判断の目安は、「この設備を期間終了時に誰が買うか」を具体的に答えられるかです。答えられるなら残価を見込めますし、答えられないなら残価をゼロと見てリース料を組む必要があり、その場合は顧客にとっての魅力が薄くなります。
追いかける指標
- 契約残高の推移:契約中のリース料の未回収合計の動きです。収益の土台であり、新規契約と回収の差で動きます。
- 延滞率:支払期日を過ぎた契約の残高が全体に占める割合です。月ごとに見て、貸倒れの先行きを捉えます。
- 残価の実績と見込みの差:期間が終わった設備の処分額と、契約時に見込んだ残価との差です。設備の種類ごとに集計し、見込みの精度を直す材料にします。
- 契約あたりの利回り:契約から得られる収益の合計を、投じた購入代金で割った割合です。資金の調達費用と比べて差があるかを確かめます。
- 引き揚げから処分までの日数:支払いが止まった契約で、設備を引き揚げてから処分を終えるまでの日数です。回収の効率を表します。
- 販売元経由の契約比率:新規契約のうち、設備の販売元からの紹介で始まった割合です。入り口の健全さを示します。
新規事業として小さく試すなら
- 対象とする設備の種類を一つに絞り、その中古の処分先と処分できる価格の見通しを調べます。期間終了時に誰が買うかを具体的に答えられるようになれば、次に進みます。
- 対象設備の販売元に会い、顧客が資金面で購入をためらう場面がどのくらいあるかを聞きます。リースの選択肢があれば成約が増えると販売元が考えるなら、紹介の約束を取ります。
- 自己資金の範囲で少数の契約を結び、与信の審査、契約事務、所有者としての手続きを一巡させます。この段階では外部からの調達は行わず、失っても事業が続く額に留めます。
- 数か月の支払いの実績と、事務にかかった工数を見て、リース料の組み立てが調達費用と工数を賄えるかを確かめます。見通しが立ち、規制面の確認が済めば、資金の調達と対象設備の拡大に進みます。
設計時の注意点
価格、つまりリース料については、購入代金、資金の調達費用、事務の費用、貸倒れの見込み、残価の見込みの五つを分けて積み上げてください。残価を高く見込んでリース料を下げると契約は取りやすくなりますが、その分の収益は期間の最後まで確定しません。
契約については、期間終了時の選択肢(返却、買い取り、再リース)と、それぞれの条件を最初から明記します。また、契約の途中で顧客が解約したい場合の扱いと、設備が壊れた場合の責任の所在を書いておかないと、期間中の紛争の種になります。
運用については、設備が顧客の手元にある間も自社の所有物であることを忘れないでください。保険の手当て、税の手続き、使い方の確認を誰が担うかは、契約と個別の専門家への確認で決めておきます。また、引き揚げの手順は契約時に取り決めておかないと、支払いが止まった時点で動けなくなります。
法規制と会計については、リースの契約の形によって、規制上の扱いや会計上の扱いが変わります。顧客側の会計にも影響するため、契約の形を決める前に、個別に専門家へ確認してください。
最後に、この型は「設備を買って貸す」という構造上、契約が増えるほど購入資金が先に出ていきます。順調に契約が伸びている時期こそ資金が詰まりやすいため、調達の枠を契約の伸びに先回りして確保しておくことが、続けるための条件になります。
この型が見られる企業事例
この記事について
Otsumu株式会社が執筆しました。統計値や他社の事例には依拠せず、収益の構造、成り立つ条件、検証の進め方を中心にまとめています。法務・税務・会計の制度は、専門家や公的窓口で最新の情報をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27