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ALSOK株式会社の機械警備・見守りサービスに学ぶ事業設計

機械警備・常駐警備・警備輸送・HOME ALSOKを中核に、FM・介護・海外へ広げるALSOK。2026年3月期は売上高597,026百万円、営業利益46,919百万円。駆けつけ体制を維持し、その体制を別のサービスにも使う継続契約型の設計を読み解きます。

この事例の要点

  • ALSOK株式会社は、機械警備・常駐警備・警備輸送・HOME ALSOKからなるセキュリティ事業を中核に、FM事業等、介護事業、海外事業を展開し、2026年3月期の売上高は597,026百万円(前年同期比8.2%増)と説明しています。
  • セキュリティ事業の売上高は420,814百万円で全体の70.5%を占め、機械警備事業では既存インフラを活かした駆けつけ型の新サービスを追加しています。
  • 物価上昇に対応した顧客への価格改定の依頼と、FM事業等での事業承継・株式取得が記載されています。

どんな事業か

ALSOK株式会社(2025年7月16日付で綜合警備保障株式会社から商号変更)は、社会の安全・安心に関するサービスを担う事業者として、セキュリティ事業、FM事業等、介護事業、海外事業の4つのセグメントで事業を行っていると説明しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。中期経営計画「Grand Design 2025」では、警備・設備・介護等を組み合わせた「綜合安全安心サービス業」を目指すとしています。

セキュリティ事業は、機械警備事業、HOME ALSOK事業、常駐警備事業、警備輸送事業の4つに分かれます。機械警備事業では法人向けに、ライブ画像確認機能を標準装備し、画像蓄積や遠隔設備制御などのオプションを備えた「ALSOK-G7」を販売しています。HOME ALSOK事業では、異常検知時にALSOKが駆けつける「オンラインセキュリティ」に加え、依頼に応じて現場確認するサービスをオプションとして月額料金を抑えた「セルフセキュリティ」プランを持つ「HOME ALSOK Connect」を中心に受注が伸びたと説明しています。常駐警備事業は空港施設や生産拠点などの警備、警備輸送事業はATM綜合管理サービスなどを提供しています(同)。

FM事業等では、2025年9月に富士通ホーム&オフィスサービス株式会社から施設管理事業等を承継し、2026年3月には株式会社クボタから平和管財株式会社の株式の60%を取得しました。介護事業は統一ブランド『ALSOKの介護』のもとで施設運営などを行っています(同)。

収益の仕組み

売上の中心はセキュリティ事業で、2026年3月期の売上高420,814百万円は全体の70.5%にあたります。内訳は機械警備事業184,087百万円、常駐警備事業138,756百万円、警備輸送事業73,082百万円、HOME ALSOK事業24,888百万円です。FM事業等が92,984百万円、介護事業が55,242百万円、海外事業が27,983百万円と続きます(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。HOME ALSOKの「セルフセキュリティ」プランは月額料金型であることが明記されており、機械警備の既存インフラを活用した「ALSOKユーザーレスキュー」のように、駆けつけの体制を別のサービスにも転用しています。

費用面では、売上原価453,969百万円のうち、従業員の処遇改善等により労務費が15,057百万円、経費が14,321百万円増加したと説明されています。販売費及び一般管理費は96,137百万円です。物価上昇の中でコスト上昇に対応するため、顧客に価格改定を依頼したことも記載されています(同)。

数字で確かめる

  • 売上高597,026百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益46,919百万円(同16.7%増)で、いずれも過去最高(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。売上の伸びを上回る利益の伸びが読み取れます。
  • 親会社株主に帰属する当期純利益33,262百万円(同22.7%増)、売上高営業利益率7.9%(同)。前期の7.3%から改善していることが読み取れます。
  • セキュリティ事業の営業利益45,416百万円(同12.6%増)、FM事業等11,276百万円(同23.0%増)、介護事業2,238百万円(同49.4%増)、海外事業は営業損失1,110百万円(同)。利益の大半をセキュリティ事業が担っていることが読み取れます。
  • 営業活動によるキャッシュ・フロー53,786百万円、投資活動によるキャッシュ・フロー△39,212百万円、うち有形固定資産の取得35,308百万円(同)。警備機器などへの継続的な投資が必要な事業であることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。ALSOKの事業は「警備・見守りの継続契約」の型にあたると考えられます。機械警備やHOME ALSOKは、契約先に機器を設置し、異常があれば駆けつけるという約束に対して料金を受け取る仕組みです。契約が積み上がるほど売上の見通しが立ちやすい一方で、駆けつけの体制を全国に維持し続ける固定的な費用が先に発生します。売上原価の増加要因が労務費と経費であることからも、この事業の裏側は人と拠点の維持であると読めます。

成り立つ条件のひとつは、維持している体制を複数のサービスに使い回せることです。「ALSOKユーザーレスキュー」は、警備のために置いている人員とインフラを顧客設備の異常対応に転用したものと読めます。もうひとつは料金プランの幅です。「セルフセキュリティ」のように月額を抑えたプランで、従来の駆けつけ型では契約に至らなかった層を取り込んでいると考えられます。

トレードオフは、人手に頼る部分が大きいために、賃金や物価の上昇がそのまま原価に乗ることです。今期は価格改定で吸収できていますが、価格を上げ続けられるかは顧客が感じる価値次第です。常駐警備の省人化やDX・AIを活用したBPRは、この構造への対応と読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社に「何かあったら対応する」という約束を月額で売れるサービスはあるか。その約束を守るために必要な体制は何か。
  • すでに維持している人員や設備を、別の顧客課題に転用できないか。
  • 価格帯の異なるプランを用意することで、これまで取り込めなかった顧客層に届くか。
  • 人件費の上昇を価格に反映する際、顧客に納得してもらえる根拠を持っているか。

小さく試すなら

  1. トラブル時の対応を都度依頼している既存顧客を10社ほど選び、月額の「対応保証」プランを提案し、契約に至る割合と希望される対応範囲を記録します。
  2. 対応体制を支える人員・設備のリストを作り、他に提供できるサービスがないかを社内で洗い出します。
  3. 現行プランより安価な「セルフ型」(顧客が一次対応を担い、必要時のみ依頼)の案を作り、見込み客に反応を聞きます。
  4. 4週間後に、月額プランへの転換率と追加用途の受注件数を集計します。転換率が想定を上回れば、料金体系の見直しへ進みます。

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資料の位置づけ

企業・サービス:ALSOK株式会社 / 警備サービス「ALSOK」。参照資料:2026年3月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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