この事例の要点
- Driven Brands Holdings Inc.は、米国とカナダで4,200を超える拠点を持つ自動車サービスの事業者で、2025年の純収益は約19億ドル、システム全体の売上は約61億ドルです(Form 10-K、2025年度)。
- 成長の柱はTake 5 Oil(オイル交換)で、1,342拠点のうち530が加盟店、812が直営です。同セグメントの純収益は12.154億ドルで前年から14%増えました(Form 10-K、2025年度)。
- もう一つの柱はMeineke、Maaco、CARSTARなどのフランチャイズ群(Franchise Brands)で、2,699拠点を、資産を持たない形で運営しています(Form 10-K、2025年度)。
どんな事業か
Driven Brands Holdings Inc.は米国(ノースカロライナ州シャーロット)を拠点とし、ナスダックに上場する企業です。オイル交換などの定期整備から、塗装、板金、ガラス、修理までを複数のブランドで提供し、個人、法人(フリート)、保険会社の三種類の顧客に対応します(Form 10-K、2025年度)。
事業は大きく分けて、Take 5セグメントとFranchise Brandsセグメントなどで構成されています。Franchise Brandsは、整備のMeineke(780拠点)、塗装のMaaco(370拠点)、板金のCARSTAR・ABRA・Fix Auto(合計1,077拠点)、カナダのガラス修理Uniban(271拠点)、部品流通の1-800 Radiator(201拠点)などです。同社は、各ブランドで共通のマーケティング、調達、フリート営業、研修、技術などの共有サービスを提供するとしています(Form 10-K、2025年度)。なお、2025年度の10-Kでは前年の数値が再表示(As Restated)として示されています。
収益の仕組み
収益は、加盟店からの収入、直営店の売上、広告基金の拠出、供給その他の四つに分かれます。2025年度の内訳は次のとおりです(Form 10-K、2025年度)。
- フランチャイズのロイヤルティ・手数料:1.901億ドル(純収益の10.2%)
- 直営店の売上:12.950億ドル(同69.5%)
- 広告基金への拠出:1.085億ドル(同5.8%)
- 供給その他:2.689億ドル(同14.4%)
加盟店は、ブランド名と運営方法を5〜20年の契約で使う権利を得て、同社の定める運営基準や指定仕入先の利用に従います。同社は、大きな広告基金、共有サービス、調達の割引を加盟店と直営店に提供し、独立の事業者より低い費用で供給や役務を調達できると説明しています。一方で、日々の運営や採用、研修は加盟店が行い、加盟店の従業員は同社の従業員ではありません(Form 10-K、2025年度)。
数字で確かめる
- 純収益:18.624億ドル(前年17.525億ドル、再表示)。増加額は1億1,000万ドルです(Form 10-K、2025年度)。複数ブランドの合計で伸びていることが読み取れます。
- Take 5の純収益:12.154億ドル(前年10.701億ドル)で14%増。直営店の売上が約1億ドル増え、直営店は94店の純増でした。調整後EBITDAは4.187億ドル(前年3.802億ドル)です(Form 10-K、2025年度)。直営を増やしながら利益も積み上がっていることが読み取れます。
- Take 5の既存店売上:6.2%増(前年6.7%増)。成長は新店の立ち上がり、プレミアム商品の販売、追加商品の拡大によると説明されています(Form 10-K、2025年度)。新店が育つ過程と客単価の改善が既存店の伸びを支えていることが読み取れます。
- フランチャイズ収入:1.901億ドルで前年(1.886億ドル)から約1%の増加。加盟店のシステム売上は4,600万ドル増え、87店の純増加盟店とTake 5の既存店売上の伸びがありましたが、平均ロイヤルティ率の低下で相殺され、収入はほぼ横ばいでした(Form 10-K、2025年度)。売上が増えても料率で収入が変わりうることが読み取れます。
- Take 5の店舗数:1,342拠点で加盟店530、直営812(Form 10-K、2025年度)。計算上、直営が約6割を占め、直営を中心に拡大していることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は、「フランチャイズ」の型を二つの使い方で並べたものと読めます。Franchise Brandsは、すでに確立したブランドを加盟店が運営し、同社は資産を持たずにロイヤルティや供給の収入を得る「資産を持たない」側です。一方のTake 5は、直営店の売上を取り込める成長領域で、投資は重くなりますが、既存店売上の伸びが高く、収益への寄与も大きい側です。同社がどちらも持つのは、安定した収入源と成長への投資を同時に持つ狙いがあると考えられます。
複数のブランドを持つ意味は、共通の機能を共有できる点にあると読めます。広告、調達、フリートや保険会社との取引、研修を一つの基盤で行えば、小さなブランドでは持てない機能を加盟店に提供できます。ただし、加盟店の財務状況や、料率の低下が収入に響くことは、10-Kがリスクとして挙げています。ブランドを増やすだけでなく、共通基盤が各ブランドの現場の成果につながっているかが問われる構造だと考えられます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の事業のうち、資産を持たずに収入を得られる部分と、投資して育てる部分を分けて考えられていますか。
- 複数の商品・ブランドがある場合、広告や調達、営業など共通にできる機能はどこですか。
- 提携先の売上が伸びても、自社の収入が増えにくくなる料率や条件の設計になっていませんか。
小さく試すなら
- 自社の事業・商品ごとに、収入の種類(手数料、直営の売上、供給)と、必要な投資額を一覧にします。
- 複数の事業が共通で使える機能(営業、調達、研修、広告)を3つ書き出し、現状どの事業が重複して持っているかを確認します。
- 共通にできそうな機能を1つ選び、2つの事業で2〜4週間、同じ担当・同じやり方で試します。
- 試行前後の費用と成果(問い合わせ数、受注数)を比べ、続けるかを判断します。
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資料の位置づけ
企業・サービス:Driven Brands Holdings Inc. / 自動車サービスのブランド群とTake 5。参照資料:Form 10-K(2025年12月27日終了年度)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25