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北海道電力株式会社「電気事業と建設等の周辺事業」に学ぶ、再稼働準備の費用を抱えながら収益源を重ねる事業設計

再稼働に向けた取り組みの費用や小売競争の中で、経常利益613億円を確保した北海道電力の2026年3月期を決算短信で読み解きます。電気事業と周辺事業の利益の出方の違いから、収益源の重ね方を学べます。

分類:企業事例 › エネルギー・環境

この事例の要点

  • 北海道電力株式会社の2026年3月期の連結は、売上高8,559億83百万円、経常利益613億48百万円(前期比27億2百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益439億98百万円でした(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 小売販売電力量は3.0%減の221億18百万kWhとなった一方、他社販売電力量は再生可能エネルギーの買取増加などで11.2%増の119億81百万kWhでした(2026年3月期 決算短信)。
  • 「その他」セグメントの経常利益は、建設業における売上高の増加や継続的な原価低減などで190億57百万円(前期比68億85百万円増)となりました(2026年3月期 決算短信)。

どんな事業か

北海道電力株式会社は、東京証券取引所と札幌証券取引所に上場する電力会社で、コード番号は9509です。2026年3月期の決算短信では、セグメントを「北海道電力」「北海道電力ネットワーク」「その他」に分けて報告しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

経営成績の説明では、卸電力市場価格や燃料価格が低位で推移したため厳しい競争環境となったこと、燃料価格の低下に伴う燃料費調整制度の期ずれ差益の拡大や水力発電量の増加による燃料費の減少があったこと、泊発電所の再稼働に向けた取り組みや労務費・物価及び金利の上昇があったことが挙げられています(2026年3月期 決算短信)。

収益の仕組み

収益は、電気を売る事業、電気を運ぶ事業、周辺事業の三つで、性質が異なります。決算短信の記載から、次のような構造が読み取れます。

  • 入り口:低圧・高圧・特別高圧の需要家への小売と、他社への販売。小売は低圧が9,430百万kWh、高圧・特別高圧が12,628百万kWhでした。
  • 課金:北海道電力の売上高は7,358億8百万円、北海道電力ネットワークは3,229億49百万円。ネットワークは託送料金見直しの影響や夏季の高気温によるエリア需要の増加に伴う託送収益の増加がありました。
  • 継続:その他セグメントは売上高1,757億17百万円で、前期より217億62百万円増えました。電気事業以外の収益源として、建設業が増収に寄与しています。

セグメント別の数値は、資料で「内部取引消去前」と示されています(2026年3月期 決算短信)。

数字で確かめる

  • 経常利益:613億48百万円(前期比27億2百万円減)。燃料価格の低下などによる期ずれ差益の拡大や水力発電量の増加による燃料費の減少があっても、泊発電所の再稼働に向けた取り組みや物価・金利の上昇が重なり減益となったことが読み取れます(2026年3月期 決算短信)。
  • 販売電力量:小売は221億18百万kWh(3.0%減)、他社販売は119億81百万kWh(11.2%増)。小売が縮む一方、再生可能エネルギーの買取増加を背景に他社販売が増えていることが読み取れます(2026年3月期 決算短信)。
  • セグメント:北海道電力の経常利益は446億18百万円(前期比90億71百万円減)、ネットワークは25億20百万円(同14億5百万円増)、その他は190億57百万円(同68億85百万円増)でした。主力の減益を周辺事業の増益が一部補っていることが読み取れます(2026年3月期 決算短信)。
  • 財務:総資産は2兆4,710億51百万円、自己資本比率は18.5%。投資活動によるキャッシュ・フローは2,130億69百万円の支出で、固定資産の取得による支出の増加などが理由とされています。設備投資が大きく先行する事業であることが読み取れます(2026年3月期 決算短信)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は「インフラ保有・利用料」を軸に、「垂直統合」で発電から小売までを持つ型として読めます。大きな設備を先に持ち、そこから継続的な収入を得る一方で、設備を動かすための準備費用や、物価・金利の上昇といった固定的な負担も先に発生します。2026年3月期は、これらの負担が増える局面でも経常利益を600億円台に保っており、収益の柱が一つではないことが支えになっていると読めます。

特に興味深いのは、本業と離れた領域の増益です。その他セグメントでは、建設業の売上増加と継続的な原価低減で経常利益が68億85百万円増えています。設備を持つ会社は、その保守や建設の力も内側に持っています。その力を外に向けて売ると、本業の収益が揺れる局面でもう一本の柱になり得る、という見方ができます。ただし、これは決算短信の数値から読み取れる範囲の仮説であり、企業の意図を示すものではありません。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が設備や人員として抱えている力のうち、本業以外の顧客にも売れるものは何ですか。
  • 主力の収益が一時的に落ちたとき、それを支える二本目の柱はありますか。ないとすれば、何を候補にできますか。
  • 将来の収益のために先に出ていく費用は、どのくらいの期間、どのくらいの規模で見込んでいますか。

小さく試すなら

  1. 自社の事業を「主力」「周辺」に分け、直近1年の売上と利益を並べた一覧を作ります。
  2. 主力の運営のために社内にある力(保守、設営、運用ノウハウなど)を洗い出し、外部に売れそうなものを2〜3個選びます。
  3. 選んだものについて、既存の取引先に小さな提案をして、2〜4週間で反応を確認します。
  4. 反応があったものだけ、原価と対応工数を記録して、主力の負担にならないか確かめます。

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資料の位置づけ

企業・サービス:北海道電力株式会社 / 電気事業と建設等の周辺事業。参照資料:2026年3月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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