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Kanzhun「BOSS直聘」に学ぶ企業側に課金する採用プラットフォームの事業設計

中国の求人プラットフォームBOSS直聘を運営するKanzhun。売上の約99%を企業顧客から得る構造と、売上高の伸び・販売費比率の低下・純利益27億元までの推移を、Form 20-F(2025年12月期)から確かめます。

分類:企業事例 › 教育・人材・BtoB

この事例の要点

  • KANZHUN LIMITEDは、モバイルアプリ、ミニプログラム、ウェブサイトからなるオンライン採用プラットフォーム「BOSS直聘」を運営しています(Form 20-F、2025年12月期)。
  • 売上の約99%は企業顧客から得ており、2023年・2024年・2025年のいずれも同水準と説明されています。小規模・中規模の企業には、無料または低料金のサービスやサブスクリプションパッケージを提供して利用を広げています(Form 20-F、2025年12月期)。
  • 2025年の売上高は8,267,518千元(前年7,355,677千元)、純利益は27億元で、売上高に対する販売費・マーケティング費の比率は2023年の33.5%から2025年の20.5%へ下がっています(Form 20-F、2025年12月期)。

どんな事業か

KANZHUN LIMITEDはケイマン諸島の持株会社で、主たる事務所を中国の北京に置いています。ADS(1ADSはクラスA普通株2株)は米国のナスダック・グローバル・セレクト・マーケットに「BZ」で上場し、クラスA普通株は香港証券取引所にもコード2076で上場しています(Form 20-F、2025年12月期)。

同社のサービスは、求職者と企業が直接やり取りできるオンライン採用プラットフォームです。資料では、企業側の利用者を「Boss」、料金を支払う企業を「有料企業顧客(paid enterprise customers)」と定義し、有料顧客のうち直近12か月の支払額が5万元以上のものを「大口顧客(key accounts)」と区分しています(Form 20-F、2025年12月期)。

収益の仕組み

収益の入り口と課金の関係は、次のように整理できます。いずれも資料の記載の範囲です(Form 20-F、2025年12月期)。

  • 入り口:求職者と企業がプラットフォームで直接やり取りする場を提供します。
  • 課金:オンライン採用サービスの対価は有料企業顧客が支払い、売上の約99%が企業顧客からのものです。
  • 継続:小規模・中規模の企業には、無料または低料金のサービスやサブスクリプションパッケージを用意し、市場への露出を広げやすくしています。
  • 区分:顧客を小規模・中規模・大口などに分け、大口顧客は直近12か月の支払額が5万元以上と定義されています。

数字で確かめる

  • 売上高:2025年8,267,518千元、2024年7,355,677千元。前年比では約12.4%増(資料の数値からの計算)で、売上が伸びていることが読み取れます(Form 20-F、2025年12月期)。
  • 企業顧客への依存度:売上の約99%が企業顧客からで、2023年から2025年まで変わらず、課金の対象が企業側に集中していることが読み取れます(Form 20-F、2025年12月期)。
  • 純利益:2023年11億元、2024年16億元、2025年27億元(384.7百万米ドル)で、年々拡大していることが読み取れます(Form 20-F、2025年12月期)。
  • 販売費・マーケティング費の比率:2023年33.5%、2024年28.2%、2025年20.5%で、売上の伸びの中で顧客獲得にかける比率が下がっていることが読み取れます(Form 20-F、2025年12月期)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は、求職者側を無料で使える状態に保ち、企業側にだけ課金する「片側課金のマッチング」の型として読めます。求職者が集まるほど企業にとって掲載の価値が高まり、企業が増えるほど求職者にとって選択肢が広がります。資料にある「Boss」という呼称が示すように、企業側の担当者が自ら求職者とやり取りする設計も、課金の価値を実感させる要素だと考えられます。

また、小規模・中規模の企業に無料や低料金のサービスを提供する設計は、入り口を広げて有料に移行してもらう段階的な構造に見えます。資料には移行率などの数値がないため、その効果は読み取れません。販売費比率の低下も、原因が資料で特定されているわけではない点に注意が必要です。

日本の中小企業に引きつけると、「どちらの利用者に課金し、どちらを無料に保つか」を最初に決めておく視点が参考になります。無料にした側が増えれば課金側の価値が上がるかどうかを、数字で確かめながら進めることになります。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社のサービスで、利用者を増やす側と課金する側は、それぞれ誰か?
  • 小さな顧客向けの無料・低料金プランは、有料プランへの入口として機能しているか、それとも収益を削っているか?
  • 顧客獲得にかける費用の比率は、売上が伸びる中で下がっているか、計測しているか?

小さく試すなら

  1. 1週目:現在の顧客を「小規模・中規模・大口」のように支払額で区分し、各区分の売上構成を表にする。
  2. 2週目:無料や低料金で使っている顧客のうち、直近で利用が増えている先を10社ほど抽出する。
  3. 3週目:その10社に、有料プランで使える機能と価格の案を見せ、反応を聞く。
  4. 4週目:反応を踏まえて、有料への切り替え条件(期間・価格・解約)を一つ決め、小さな対象で試す。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:KANZHUN LIMITED(中国・北京、ナスダックおよび香港証券取引所上場)のオンライン採用プラットフォーム「BOSS直聘」。参照資料:Form 20-F(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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