分類:企業事例 › ソフトウェア・SaaS
この事例の要点
- Microsoft 365 Commercialは、Office、Windows、Microsoft 365 Copilot、Enterprise Mobility + Securityをまとめた法人向けの提供です。
- 同社は、この事業の売上が主に、導入基盤(利用者数)の拡大、1ユーザーあたり平均売上の拡大、オンプレミスのOfficeからの移行の組み合わせに左右されると説明しています。
- FY2026は、Microsoft 365 CopilotとMicrosoft 365 E5による1ユーザーあたり売上の伸びと、中小企業・現場従業員向けの提供による有料シート数の増加が、それぞれ要因として挙げられています。
どんな事業か
Microsoft Corporationの10-K(FY2026、2026年6月30日終了年度)によると、Microsoft 365 Commercialは、Office、Windows、Microsoft 365 Copilot、Enterprise Mobility + Securityをまとめて、組織の従業員の生産性を支えるAI搭載のビジネス・生産性プラットフォームです。
Microsoft 365 Commercial cloudには、Exchange、SharePoint、Microsoft Teams、Power BI(ユーザー課金部分)、セキュリティとコンプライアンスの機能なども含まれます(Form 10-K、FY2026)。
法人向けとは別に、個人向けにはMicrosoft 365 Consumerのサブスクリプションがあります(Form 10-K、FY2026)。
収益の仕組み
収入はサブスクリプションの対価です。Form 10-K(FY2026)は、Microsoft 365 Commercialの売上を左右する要素として次の組み合わせを挙げています。
- 導入基盤(利用者数)の拡大
- 1ユーザーあたり平均売上の拡大
- オンプレミスで購入するOfficeからMicrosoft 365への移行
成長の方向としては、現場で働く従業員や中小企業などの新しい利用者への拡大と、コミュニケーション、共同作業、分析、セキュリティ、コンプライアンスなどの分野でAIを使ったツールや機能を追加することを挙げています(Form 10-K、FY2026)。基本となる契約に、上位の機能や追加製品を載せていく設計で、バンドルとアップセルを組み合わせています。
数字で確かめる
- FY2026の全社売上高は331,839百万ドルでした。このうち「Microsoft 365 Commercial products and cloud services」は101,997百万ドルで、FY2025は87,767百万ドルでした(Form 10-K、FY2026)。法人向けのまとめ売りが、全社のなかでも大きな柱であることが読み取れます。
- Microsoft 365 Commercial cloudの売上は17%増えました。同社は、Microsoft 365 CopilotとMicrosoft 365 E5による1ユーザーあたり売上の伸びが要因だと説明しています(Form 10-K、FY2026)。上位の構成や追加機能が単価を押し上げていることが読み取れます。
- 有料シート数は、中小企業と現場従業員向けの提供により6%増えました(Form 10-K、FY2026)。利用者数の伸びは、これまで届いていなかった層への拡大から来ていることが読み取れます。
- Microsoft 365 Consumer products and cloud servicesは9,175百万ドルで、Consumer cloudの売上は28%増えました(Form 10-K、FY2026)。個人向けは法人向けに比べて規模は小さいものの、伸びていることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。バンドルの価値は、単体機能の値段を足し合わせたものより安い、という点だけではないとOtsumuは見ます。利用者の追加や削除、権限の設定、セキュリティの方針、請求の管理を一か所で済ませられること。機能どうしでデータや操作がつながること。こうした共通管理と連携が、組織として導入する理由になり得ると考えられます。特に法人向けでは、使う人と、管理・購買を担う人が別です。管理する側の手間が減ることが、まとめて契約する動機になると読めます。
この型を成り立たせる裏側の仕事は、共通の土台づくりです。認証、権限、課金、管理画面を機能横断でそろえ、あとから足す機能もその上に載せられるようにしておく必要があります。
トレードオフは、含めた機能が使われないまま料金だけが上がると、更新時に見直しの対象になることです。単価を上げる施策は、その機能が実際に使われていることが前提になると考えられます。シート数と1ユーザーあたり売上を分けて見ると、伸びの理由がどちらにあるのかを切り分けられます。なお、プランに含まれる機能や条件は時期によって変わるため、ここでは構造だけを読み解いています。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の複数の機能やサービスをまとめたとき、顧客が得るのは値引きだけでしょうか。共通の管理や連携による手間の削減はあるでしょうか。
- 売上の伸びを、利用者数の増加と、1利用者あたりの単価の上昇に分けて説明できるでしょうか。
- セットに含めた各機能が実際にどれだけ使われているかを、把握できているでしょうか。
- 使う人と、契約・管理する人のそれぞれにとって、まとめて導入する理由を別々に言葉にできるでしょうか。
小さく試すなら
- 自社サービスのなかから二つの機能を選び、現状で利用者の登録、権限の設定、請求がそれぞれ別になっている箇所を洗い出します。管理者が二重に行っている作業を一覧にします。
- 選んだ二機能を、共通の権限と一つの請求で使える形にします。まずは手作業の運用や簡易な設定で代用できないかを検討します。
- 協力してくれる顧客に2〜4週間使ってもらい、利用者の負担(ログインや切り替えの手間)と、管理者の負担(登録、権限、請求確認の手間)を、導入前と比べて記録します。各機能の利用状況もあわせて見ます。
- 管理者の負担が減り、二つの機能がどちらも使われていると確認できれば、まとめた形での料金と提供範囲を検討する段階へ進みます。片方しか使われていなければ、まとめる組み合わせを見直します。
資料の位置づけ
企業・サービス:Microsoft Corporation / Microsoft 365。参照資料の対象:FY2026(2025年7月〜2026年6月)Form 10-K。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。
編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20