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OTSUMU KNOWLEDGE

エレベーター・エスカレーターの保守・修理・改修(Serviceセグメント)

Otisは、エレベーターの新設よりも、約250万台を対象とする保守・修理・改修のServiceセグメントが売上高の65%、セグメント営業利益の91%を占めています。長く使われる設備で、納入後の継続支援を収益の柱にする条件を考えられる事例です。

分類:企業事例 › 機械・素材・航空宇宙

この事例の要点

  • 事業はNew Equipment(新設機器)とService(サービス)の二つに分かれ、売上も利益もServiceが大部分を占めます。
  • Serviceは自社製品だけでなく他社製の機器も対象にし、多数のサービス技術者と支店・事業所の網で顧客に対応しています。
  • 同社は保守対象を増やす方法として、新設機器の保守契約への移行、他社が保守している機器の獲得、買収の三つを挙げています。

どんな事業か

Otis Worldwide Corporationは、エレベーター、エスカレーター、動く歩道の製造・据付・保守・改修を行う企業です。事業はNew EquipmentとServiceの2つのセグメントに分かれています(Form 10-K、FY2025)。

New Equipmentは、住宅・商業施設・インフラ向けの機器を設計・製造・販売・据付します。Serviceは、保守・修理と、古くなった機器を更新するモダニゼーション(改修)を担います(Form 10-K、FY2025)。

注目したいのは相手の違いです。同社は、サービスの顧客(建物のオーナーや管理会社など)は、新設機器の購入を決めた人とは異なることが多いと記載しています(Form 10-K、FY2025)。機器を売る相手と、保守を契約する相手が別であることを前提にした事業です。

収益の仕組み

Serviceセグメントの収入は、保守契約、修理、モダニゼーションから生まれます。保守契約には、法令に沿った点検を行う基本的な契約から、部品交換まで含む包括的な契約まで段階があります(Form 10-K、FY2025)。

保守対象の台数が収入の土台です。同社の保守対象は世界で約250万台で、増やす方法として次の三つを挙げています(Form 10-K、FY2025)。

  • 新たに据え付けた機器を保守契約に移すこと
  • 他社の保守を受けている機器を獲得すること
  • 買収

費用の側では、約3万7,000人のサービス技術者が1,400を超える支店・事業所から顧客に対応していると記載されています(Form 10-K、FY2025)。人と拠点の網を維持することが、この事業の前提になっています。費用の金額の内訳は今回参照した公開資料には示されていません。

お金を払う人・対価保守契約の顧客:点検・保守の料金顧客:修理とモダニゼーションの料金エレベーター等の保守・修理サービスかかる費用約3万7,000人のサービス技術者1,400を超える支店・事業所
図1 Otisの収益の流れ(Form 10-K、FY2025にもとづく整理)。

数字で確かめる

  • FY2025の売上高は144億3,100万ドルで、New EquipmentとServiceは売上高のそれぞれ35%と65%、セグメント営業利益のそれぞれ9%と91%を占めました(Form 10-K、FY2025)。売上の比率以上に、利益がServiceに集中していることが読み取れます。
  • Serviceセグメントの売上高は94億4,200万ドル(前年比6%増)、営業利益率は25.1%でした(Form 10-K、FY2025)。
  • New Equipmentセグメントの売上高は49億8,900万ドル(前年比7%減)、営業利益率は4.8%でした(Form 10-K、FY2025)。新設が減った年でも、Serviceは増収を保っていることが読み取れます。
  • Serviceのオーガニックな増収率は5%で、内訳は保守・修理が4%、モダニゼーションが9%です(Form 10-K、FY2025)。機器の更新が、保守・修理を上回る速さで伸びていることが読み取れます。
  • 同社は、機器は時間とともに摩耗して機能が低下するため、顧客と協力してモダニゼーションで更新を支援していると説明しています(Form 10-K、FY2025)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。保守によるリカーリングの型が成り立つのは、設置された資産が長く使われ、止まると困り、安全に動かし続ける必要があるときだと考えられます。エレベーターはその条件をすべて満たします。建物がある限り機器は使われ、古くなれば改修の需要も生まれます。機器の販売は、将来の保守対象を増やす入口の役割も持っていると読めます。

ただし、入口から保守へは自動的にはつながりません。購入を決めた人と保守を契約する人が違うため、据付の後に改めて保守契約を結んでもらう働きかけが必要です。他社製の機器も保守の対象にしていることは、保守が機器の販売とは別の競争の場であることを示しているとOtsumuは見ます。

最も重いのは体制です。故障の連絡を受けてすぐに人を送るには、技術者と拠点が顧客の近くに必要です。安全に関わる現場作業には、訓練と手順の整備も欠かせません。この網は一度作れば他社には真似しにくい強みになりますが、作るまでに時間と固定費がかかります。小さく始める場合は、地域や機器を絞るか、提携先を活用することが現実的だと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が納入した設備は、何年くらい使われますか。その間に、点検・修理・更新の需要はどのくらい発生しますか。
  • 納入した設備のうち、保守契約に移行している割合を把握していますか。
  • 購入を決める人と、保守を契約する人は同じですか。違う場合、後者との接点を持てていますか。
  • 保守の体制を自前で持つ場合と提携先に任せる場合で、対応の速さと費用はどう変わりますか。

小さく試すなら

  1. 対応する地域と機器の種類を限定します。移動の時間が読める範囲で、部品の種類が少ない機器に絞ります。
  2. 故障や相談の受付から復旧までの時間を、案件ごとに計測します。受付、原因の特定、訪問、部品の手配、作業のそれぞれにかかった時間を分けて記録します。
  3. 訪問にかかった費用と、交換した部品の費用を案件ごとに記録します。2〜4週間程度で案件の数がそろわない場合は、過去の修理記録も併せて使います。
  4. 一件あたりの費用と発生の頻度から、保守契約の価格で採算が合うかを確認します。合う見通しが立てば、基本的な点検の契約と部品交換まで含む契約のように、段階を分けた提案に進みます。合わない場合は、対応地域をさらに絞るか、提携先の活用を検討します。

資料の位置づけ

企業・サービス:Otis Worldwide Corporation / エレベーター・エスカレーターの保守・修理・改修(Serviceセグメント)。参照資料の対象:Form 10-K(FY2025、2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。

編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20

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