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RadNet「画像診断センターとAI」に学ぶ拠点網とソフトウェアを重ねる事業設計

米国で418の画像診断センターを運営し、AI・画像管理ソフトのDigital Health事業を加えたRadNetの事例です。診療報酬型の拠点収益と、外部へ販売するソフトの収益の重ね方を、Form 10-K(FY2025)から読み解きます。

この事例の要点

  • RadNetは、米国の9州で418の画像診断センターを、直接または病院・医療システムとの合弁で運営しています。MRI、CT、PET、マンモグラフィなどを複数提供する拠点が中心です(Form 10-K、FY2025)。
  • 2025年12月期の総サービス収益は2,040,210千ドル(前期1,829,664千ドル)でした。画像診断センター部門が1,988,193千ドルを占め、Digital Health部門は92,691千ドルです(Form 10-K、FY2025)。
  • Digital Health部門の収益は41.1%増で、外部顧客向けが部門収益の55.3%でした。自社拠点で磨いたソフトを外部にも販売する構造です(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

RadNet, Inc.(米国、Nasdaq上場)は1985年から事業を続ける画像診断サービスの企業です。アリゾナ、カリフォルニア、デラウェア、フロリダ、メリーランド、バージニア、ニュージャージー、テキサス、ニューヨークの各州で418センターを運営しています。ほとんどのセンターで複数の検査方法を提供し、これを競合との差別化点だと説明しています。英国では、子会社が国民保健サービス(NHS)の枠組みで遠隔読影を提供しています(Form 10-K、FY2025)。

Digital Health部門は、AIによる読影支援(乳房・肺・前立腺など)と、外来画像診断向けの画像情報システムを開発・販売します。子会社のDeepHealth、オランダのAidenceとQuantibの取得で構成され、クラウド型のDeepHealth OSが、予約から技師の作業、読影、紹介管理までを扱うとしています(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

収益の大半は、検査ごとのサービス料金です。保険者と契約を結び、紹介元の医師や放射線科医のグループと関係を築いて検査を受け入れます。一部は、人数あたりの定額を受け取る「キャピテーション契約」でも収益を得ます。

  • 入り口:地域内の拠点密度を活かした、医師・放射線科医・保険者との関係(Form 10-K、FY2025)。
  • 課金:サービス料金収益が93.8%、キャピテーション契約による収益が6.2%です(Form 10-K、FY2025)。
  • 継続:拠点で使うソフトを自社で開発し、AIや画像管理を外部の医療機関にも販売して、拠点以外の収益源を育てています(Form 10-K、FY2025)。

数字で確かめる

  • 総サービス収益:2,040,210千ドル(前期1,829,664千ドル)。拠点数が398から418に増え、収益が拡大していることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
  • 画像診断センター部門の収益:1,988,193千ドル(10.9%増)。手技の件数増、診療報酬の改善、PET CTなど高度な検査の比率上昇が要因とされ、検査の構成も収益を押し上げていることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
  • Digital Health部門の収益:92,691千ドル(前期65,706千ドル)。AI関連収益は64.9%増、エンタープライズ・イメージングは29.0%増で、顧客数は486から2,075に増えたことが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
  • キャピテーション収益の比率:6.2%(前期7.5%、2023年は9.5%)。出来高型の比率が高まっていることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
  • 営業活動によるキャッシュフロー:298,820千ドル、設備投資(有形固定資産の購入)は213,251千ドルです。装置への継続的な投資が必要な事業であることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は、装置と人員を要する拠点事業を土台に、そこで得た運用ノウハウをソフトウェアとして外へ売る「二層構造」と読めます。拠点が自社のソフトの実証の場になり、ソフトの外販が拠点以外の収益を生むため、2つの事業が互いの価値を高め合う設計です。

一方で、拠点収益は診療報酬や保険者との条件に左右され、設備投資の負担も重い事業です。ソフト側はまだ規模が小さく、全体に占める割合は限られます。二層の組み合わせが成果を出すかは、外部顧客の継続と、拠点の稼働の両方を確認する必要があります。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の現場運用で磨いた手順やツールのうち、社外の同業者にも価値があるものはどれか。
  • 現場事業の利益が外部環境(価格や制度)に左右される場合、それと別に動く収益源をどう作るか。
  • 社内向けの仕組みを外販するとき、現場に使われている実績をどう示せるか。

小さく試すなら

  1. 社内の業務ツールや手順書を棚卸しし、他社が欲しがりそうなものを3つ挙げる(1週目)。
  2. それぞれについて、同業の知人や取引先に10分のヒアリングを行い、使う意向を確認する(1〜2週目)。
  3. 最も反応が良かったものについて、利用条件と価格の試案を1枚にまとめる(2〜3週目)。
  4. 1〜2社に限定して試験提供し、使われ方と社内工数を記録する(3〜4週目)。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:RadNet, Inc.(米国、Nasdaq)の画像診断センター事業とDigital Health事業。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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