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Unity Software「Create Solutions」「Grow Solutions」に学ぶ制作ツールと広告基盤の事業設計

ゲーム制作ツールの購読と、アプリ内広告の仲介という二つの収益を一つのプラットフォームに載せるUnityの構造を、Form 10-K(2025年12月期)の売上内訳と事業説明から読み解きます。

この事例の要点

  • Unity Softwareは、ゲームやリアルタイム3Dコンテンツを作るための「Create Solutions」と、アプリの集客・収益化を支える「Grow Solutions」の二つの製品群で事業を構成しています(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 2025年12月期の売上高は1,849,648千ドルで、そのうちGrow Solutionsが1,228,239千ドル、Create Solutionsが621,409千ドルでした(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 制作ツールで開発者との接点をつくり、その開発者のアプリの広告枠や集客を扱う、という二段構えの設計です。ただし同社は、Grow Solutionsを「Unityで作られたかどうかを問わず」提供するとも説明しています(Form 10-K、2025年12月期)。

どんな事業か

Unity Software Inc.は米国の企業で、ニューヨーク証券取引所に上場しています。同社は、ゲームやインタラクティブな体験を開発・配信・成長させるためのプラットフォームを提供していると説明しています。ツール群はモバイル、PC、コンソール、XRまで主要なプラットフォームに対応し、AIの機能も含めて、試作からライブ運営、ユーザー獲得、収益化までの開発工程を支えるとしています(Form 10-K、2025年12月期)。

利用者はゲーム開発者に限りません。同社は、自動車、小売、製造、ヘルスケア、公共、ロボティクス、建築・土木、設計・建設といった非ゲーム分野のクリエイターも利用していると記載しています。競合として、Create Solutionsでは大手ゲームスタジオの自社開発エンジン、Godot、Unreal Engine(Epic Games)などを、Grow Solutionsでは広告エコシステムの大手企業やAppLovinなどを挙げています(Form 10-K、2025年12月期)。

収益の仕組み

Form 10-K(2025年12月期)は、収益の源泉を二つの製品群に分けて説明しています。

  • Create Solutions:制作ツールの購読(サブスクリプション)が中心です。企業向けのサポート、プロフェッショナルサービス(プラットフォームへの組み込み、コンサルティング、研修、カスタム開発)、クラウドやホスティングの利用に応じた従量のサービスも含みます。
  • Grow Solutions:広告の収益化(マネタイゼーション)とゲームのパブリッシング支援が中心です。出版社や端末メーカー、通信事業者が持つアプリ内・端末内の広告枠を、オークションとメディエーションの仕組みで広告主に販売します。同社が計上する収益は、その取引から同社が受け取る金額(保持する額)だと説明されています。
  • パブリッシング:小規模スタジオや個人開発者のモバイルゲームの公開と成長を支援し、公開したゲームのアプリ内広告や課金から収益を得ます。

つまり、前半は「作る道具を使う権利」への課金、後半は「作ったものが稼ぐ過程」への手数料という、異なる課金の考え方が一社の中に並んでいます。

数字で確かめる

  • 売上高は2025年12月期が1,849,648千ドル、2024年12月期が1,813,255千ドル、2023年12月期が2,187,317千ドルでした(Form 10-K、2025年12月期)。2023年から2024年にかけて大きく減り、2025年は小幅に戻したことが読み取れます。
  • Grow Solutionsの売上高は1,228,239千ドルで、売上高に占める割合は約66%です(1,228,239÷1,849,648、Form 10-K、2025年12月期)。広告側が収益の中心になっていることが読み取れます。
  • Create Solutionsの売上高は2023年の859,174千ドルから、2024年は613,966千ドル、2025年は621,409千ドルでした(Form 10-K、2025年12月期)。制作ツール側は2024年に水準が下がり、その後は横ばいに近いことが読み取れます。
  • 2025年第4四半期のGrow Solutions売上のうち、Unity Ad Networkが56%、IronSource Ad Networkが11%を占めました。同社は、Unity Ad Networkを新しい機械学習モデル「Unity Vector」に移行したことが増収の主因だと説明しています(Form 10-K、2025年12月期)。広告の成果が機械学習モデルの出来に左右される構造であることが読み取れます。
  • 当期純損失は2025年12月期が401,493千ドル、2024年12月期が664,287千ドルでした(Form 10-K、2025年12月期)。売上高が横ばい圏でも、損失額が縮小していることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は、サブスクリプションと広告(仲介手数料)が一つの顧客群にぶら下がる型として読めます。制作ツールは、開発者が毎日使う「入り口」になります。開発者はアプリを作った後に、利用者を集めて収益化する必要があります。同社の説明(「多くの顧客は収益性のある事業をつくる目的でアプリを作る」)に沿えば、作る段階の次の課題に自社の広告基盤を差し出せる位置にいる、と整理できます。

一方で、10-Kは、Grow Solutionsが「Unityで作られたかどうかを問わず」提供されると明記しています。入り口のツールと広告基盤を常に束ねているわけではなく、広告側は独立した事業としても競争していると読めます。実際、広告側の競合は大手プラットフォームやAppLovinなどで、成果は機械学習モデルの精度で決まります。ツールの利用者基盤が広告に直接どれだけ寄与しているかは、10-Kの数字だけでは分かりません。

もう一つの論点は、課金の性質の違いです。ツールの購読は契約期間に応じた比較的読みやすい収益で、広告の仲介は市況や広告主の予算に左右されます。二つを併せ持つことで収益源は分散しますが、運営の考え方(顧客との関係の築き方、組織の動かし方)は別々に必要になります。2023年から2024年にかけてのCreate Solutionsの減収は、構造の見直しの影響が現れた可能性もありますが、理由は資料から断定できません。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の主力サービスで顧客と日常的に接する「入り口」は何で、その次に顧客が直面する課題は何でしょうか。
  • 課金を「使う権利」に対する固定の料金と、「成果が出る過程」に対する手数料に分けるとしたら、自社ではそれぞれ何が当てはまるでしょうか。
  • 二つの収益源を一社で持つ場合、顧客への説明や社内の評価指標を分けずに運営できるでしょうか。

小さく試すなら

  1. 自社の既存顧客3〜5社に、自社サービスを使い始めてから成果が出るまでに別の作業・外部サービスで苦労した点を聞き取ります。
  2. 聞き取りの結果から、顧客が自力で解決しているが負担の大きい作業を一つ選び、その作業を代行または補助する簡単な手順書を作ります。
  3. 手順書を同じ顧客に試してもらい、「有料なら使うか」「固定料金と成果連動のどちらが納得しやすいか」を質問します。
  4. 2〜4週間で得た回答を、固定料金型と成果連動型の二案に整理し、反応が良かった方を小規模な試験提供の候補にします。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Unity Software Inc. / Create Solutions・Grow Solutions。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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