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U.S. Physical Therapy「クリニック・パートナーシップ」に学ぶ現場責任者と組む事業設計

米国で780の外来理学療法クリニックを所有または管理するU.S. Physical Therapyの事例です。療法士が少数持分を持つ合弁形式と訪問あたり収益の構造を、Form 10-K(FY2025)から読み解きます。

分類:企業事例 › 医療・医薬・ヘルスケア

この事例の要点

  • U.S. Physical Therapyは、2025年12月31日時点で44州の780クリニックを所有または管理しています。クリニックの多くは、同社が65〜75%程度を持ち、療法士が残りを持つ合弁形式(Clinic Partnerships)です(Form 10-K、FY2025)。
  • 2025年12月期の純収益は780,990千ドルで、前期の671,345千ドルから16.3%増えました。患者の来院数は6,150,104件、1回あたりの純収益は105.76ドルです(Form 10-K、FY2025)。
  • クリニックを運営する療法士に持分と、利益に連動する報酬を与え、同社は買収と新設で拠点を広げる設計です(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

U.S. Physical Therapy, Inc.(米国、ネバダ州法人、NYSE上場)は、外来の理学療法・作業療法クリニックを運営する企業です。整形外科の術前術後、スポーツ外傷、予防ケア、労災の回復、神経系の障害などの患者に対応します。患者の多くは地域の医師からの紹介です(Form 10-K、FY2025)。

報告セグメントは、理学療法事業と、産業傷害予防(IIP)事業の2つです。IIPは、事業所での傷害予防、就労前検査、機能評価、人間工学評価などを提供し、サービスの大半は雇用主が直接支払う契約です。理学療法事業は、主にクリニック・パートナーシップを通じて運営します(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

同社はクリニック・パートナーシップのゼネラル・パートナーまたは管理メンバーとなり、持分の範囲は全体で30〜99%、一般には65〜75%です。多くのクリニックでは、管理者である理学療法士が残りの持分を直接または間接に持ちます(Form 10-K、FY2025)。

  • 入り口:地域の医師からの紹介と、保険者・ケースマネージャーとの関係づくり(Form 10-K、FY2025)。
  • 課金:患者の訪問ごとに保険者や患者から受け取る診療収益(Net patient revenue)が中心です。ほかに、第三者のクリニックの運営管理や学校のトレーナー派遣などの収益があります(Form 10-K、FY2025)。
  • 継続:療法士には多年の雇用契約(最長5年程度)と競業避止の定めがあり、運営クリニックの収益性に連動する報酬を受け取ります(Form 10-K、FY2025)。

数字で確かめる

  • 純収益:780,990千ドル(前期671,345千ドル、16.3%増)。うち患者収益は650,429千ドルで83.3%を占めます(Form 10-K、FY2025)。
  • 患者の来院数:6,150,104件(前期5,353,189件、14.9%増)、1回あたり純収益105.76ドル(前期104.71ドル)。増収の中心は来院数の増加であることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
  • クリニックあたりの1日平均来院数:32.2件(前期30.4件)。1拠点あたりの稼働も上がっていることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
  • 売上総利益:149,693千ドル(売上比19.2%、前期18.5%)。人件費の比率が59.1%で、人に依存する事業構造であることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
  • 非支配持分に帰属する純利益:18,422千ドル、同社株主に帰属する純利益:39,583千ドル。利益の一部がパートナーである療法士に配分されていることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は、現場の責任者に少数持分を持たせることで、拠点の収益性を自分ごとにする仕組みと読めます。同社は資金・管理機能・買収ノウハウを持ち、療法士は地域の医師との関係と臨床の信頼を持ち、互いに補い合う設計です。同じ構造は、店長や教室長など現場責任者の信頼が顧客との関係を支える事業にも当てはめて考えられます。権限と報酬を現場に寄せるほど、本社機能は採用・買収・管理の支援に集中できる点も特徴です。

ただし、利益の一部が非支配持分として外に出ること、療法士の離脱や持分の買い戻しが負担になりうることは、同社自身がリスクとして示しています。人件費が収益の約6割を占める事業では、採用と定着が収益性を決める点も確認できます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 現場の責任者に、拠点の収益と連動する持分や報酬を設けているか。
  • 地域や顧客との関係が個人に属する事業で、その関係を組織の資産にするには何が必要か。
  • 利益を現場と分け合うとき、離脱や買い戻しのリスクを契約でどう設計するか。

小さく試すなら

  1. 拠点または担当者ごとの収益と利益を一覧にし、ばらつきの大きい上位・下位を特定する(1週目)。
  2. 上位の担当者に、成果が自分に返ってくるならどう動くかを聞き取る(1〜2週目)。
  3. 利益連動の報酬の試案を、1拠点または1チームを想定して作る(2〜3週目)。
  4. 試案に対する現場の受け止めを確認し、離脱時の取り扱いも含めて論点を整理する(3〜4週目)。

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資料の位置づけ

企業・サービス:U.S. Physical Therapy, Inc.(米国、NYSE)の外来理学療法クリニック事業。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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