この事例の要点
- Waste Management, Inc.は、米国とカナダを中心に廃棄物の収集・中継・処分からリサイクル、埋立地ガスの再生可能エネルギー化までを手がけ、両国で最大の埋立地ネットワークを所有または運営しています(Form 10-K、FY2025)。
- 2025年の売上高は$25,204 million(2024年は$22,063 million、14.2%増)で、Stericycleの買収、収集・処分事業の単価上昇、数量増が主な要因とされています(Form 10-K、FY2025)。
- 埋立地では廃棄物の種類と重量・容積に応じた処分料(tipping fees)を受け取り、埋立地ガスを使う施設からはロイヤルティも得ています(Form 10-K、FY2025)。
どんな事業か
同社は、顧客や地域社会と組んで、収集から処分までの各段階で廃棄物を管理・削減し、資源を回収して再生可能エネルギーを生み出すと説明しています。固形廃棄物事業は地域ごとの子会社が運営し、埋立地までの距離が遠い大都市圏では、廃棄物を集約・圧縮して効率よく運ぶ中継施設(transfer stations)を運営しています(Form 10-K、FY2025)。
報告セグメントは5つです。収集・処分の「East Tier」と「West Tier」、紙・段ボール・ガラス・プラスチック・金属などを扱う「Recycling Processing and Sales」、埋立地ガスから電力や再生可能天然ガス(RNG)を作る「Renewable Energy」、そして2024年のStericycle買収で加わった、医療系などの規制廃棄物の処理と機密文書の廃棄を担う「Healthcare Solutions」です(Form 10-K、FY2025)。
Renewable Energyでは、2025年12月31日時点で103の埋立地ガス有効利用プロジェクトが稼働しています(Form 10-K、FY2025)。
収益の仕組み
収集・処分事業の売上は、主に収集・中継・処分の料金です。収集の料金は、収集頻度、提供する収集設備の種類、廃棄物の種類と量や重量、処分場やリサイクル施設までの距離などで決まります。埋立地の売上は処分料(tipping fees)で、中継施設の料金も持ち込まれた廃棄物の重量や容積にもとづきます。料金には費用を顧客に転嫁するためのエネルギーサーチャージなども含まれるとしています(Form 10-K、FY2025)。
Healthcare Solutionsでは、顧客は週次・月次など定期的なサービスの契約を結ぶのが一般的で、月額・四半期・年額の料金や、廃棄物の種類と量・重量に応じた契約料金を受け取ります。Renewable Energyは、回収・変換したガスの販売、RFS制度にもとづくRINsの販売などから収益を得ています(Form 10-K、FY2025)。
費用面では、2025年のOperating expensesが$15,012 million(売上の59.6%)、Selling, general and administrative expensesが$2,722 million(売上の10.8%)、Depreciation, depletion and amortizationが$2,863 millionでした(Form 10-K、FY2025)。
数字で確かめる
- 売上高$25,204 million、2024年比14.2%増(Form 10-K、FY2025)。買収と既存事業の値上げの両方で規模が広がったことが読み取れます。
- Income from operations $4,308 million、売上比17.1%(2024年は18.4%)(Form 10-K、FY2025)。買収に伴う償却や統合費用で利益率がやや下がったことが読み取れます。
- Net income attributable to Waste Management, Inc. $2,708 million(2024年は$2,746 million)(Form 10-K、FY2025)。買収資金の借入による支払利息の増加が純利益を抑えたことが読み取れます。
- 収集・処分の単価要因による増収$719 million、3.8%(Form 10-K、FY2025)。中核事業で価格を引き上げられていることが読み取れます。
- Net cash provided by operating activities $6,043 million、Free cash flow $2,937 million(Form 10-K、FY2025)。大きな設備投資をしても現金が残る事業であることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。「インフラ保有・利用料」の型で見ると、この事業の核は埋立地という、簡単には新設できない施設を大量に持っていることにあると読めます。廃棄物は最終的にどこかで処分しなければならないため、処分場を持つ事業者は重量や容積に応じた処分料を継続的に受け取れます。中継施設や収集車両の網がその処分場に廃棄物を集める導線になっており、施設と物流が一体で価値を生んでいると考えられます。
「サブスクリプション」の型としては、定期収集の契約や、医療系廃棄物の月額・年額の料金が、繰り返し発生する収益の土台になっています。さらに、埋立地から自然に発生するガスを電力やRNGに変え、施設の上に新しい収益源を重ねている点も、保有資産の使い道を広げる動きと読めます。
裏側で必要な仕事は、埋立地の許認可や環境対応、車両と人員の管理、自動化とデジタル化による作業コストの削減です。トレードオフとして、設備投資と減価償却が大きく、買収を借入で賄うと支払利息が増えます。また、リサイクル品の市況が下がると、Recycling Processing and Salesのような市況連動の事業は利益が振れやすいと同社自身が述べています。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社が持つ設備や拠点のうち、他社が簡単に代わりを用意できないものは何か。
- 顧客が定期的に必ず必要とする作業を、契約として継続課金にできているか。
- 費用が上がったとき、料金に転嫁する仕組みを契約に入れているか。
小さく試すなら
- 自社の保有設備・拠点・車両などを一覧にし、稼働率の低い時間帯や余剰の容量を洗い出します。
- 余剰の容量を使って、既存顧客に定期サービスとして提供できる内容と料金案を作ります。
- 数社の顧客に2〜4週間、試行価格で定期サービスを提供し、継続の意向と実際の作業コストを記録します。
- 作業コストを上回る料金で継続したい顧客が確認できれば、契約書の型を整えて対象顧客を広げます。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:Waste Management, Inc. / 廃棄物収集・処理。参照資料:Form 10-K(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27