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Zillow Group, Inc.の不動産ポータルと送客に学ぶ事業設計

米国で最も訪問される不動産アプリ・サイトとして集めた購入・賃貸の需要を、エージェントや管理会社、住宅ローンにつなぐZillow Group, Inc.の事例です。掲載・送客・成約課金を組み合わせたリード獲得の設計を学べます。

この事例の要点

  • 同社は、約173 millionの米国住宅のデータベースと、推定価格 Zestimate などのコンテンツを事業の中核に置いています(Form 10-K、FY2025)。
  • 売上は Residential、Mortgages、Rentals、Other の4区分で、住宅の売買にかかわる Residential と Mortgages を「For Sale revenue」としてまとめています(Form 10-K、FY2025)。
  • エージェントへの送客には、地域ごとの広告シェアに応じて配分する方式と、成約したときに支払う成果報酬型の Zillow Preferred があります(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

同社は、住宅を夢見て探す段階から、賃貸、購入、売却、資金調達までの住まい探し全体をカバーする仕組みを作っていると説明しています(Form 10-K、FY2025)。

購入者と売主には、物件検索、内見予約、住宅ローンの事前審査などを提供し、地域のエージェントとつなぎます。統合された取引体験を最も進めた地域を「Enhanced Markets」と呼び、そこでは Zillow Preferred のエージェントと Zillow Home Loans のローン担当者が内見から決済までを支えます。Enhanced Markets を通じたエージェントへの送客は、年末時点で40%を超えたとしています(Form 10-K、FY2025)。

賃貸では、借り手が物件を探し、内見し、申込み、契約し、家賃を払い、保険に入るまでを一つの場で行えるマーケットプレイスを作っています。2025年の月平均のアクティブな賃貸掲載は2.4 millionで、集合住宅の掲載物件は72,000件と前年末比44%増でした(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

Residential の中心は Premier Agent の広告商品で、検証済みの顧客との接点(リード)を届けます。市場ベースの価格方式では、郵便番号ごとの広告購入額のシェアに応じてリードが配分されます。Zillow Preferred では、リードを受け取ったエージェントが、原則2年以内にそのリードとの取引が成約した時点で成果報酬を支払います。ほかに新築広告や SaaS の利用料があります(Form 10-K、FY2025)。

Rentals は、管理会社にリード、契約、掲載、表示回数ごと、または定額のパッケージで広告とツールを販売する収益と、借り手が複数物件に一律の手数料で申込める申込サービスの収益から成ります。Mortgages は、Zillow Home Loans による住宅ローンの組成とその流通市場での売却、そして金融機関へのリード課金型の広告から成ります(Form 10-K、FY2025)。

費用の区分は、売上原価、販売・マーケティング費、技術・開発費、一般管理費などです(Form 10-K、FY2025)。今回参照した公開資料には、それぞれの費用の詳しい内訳は示されていません。

数字で確かめる

  • 2025年12月期の総売上(Total revenue)は$2,583 millionで、前期の$2,236 millionから増え、同社は前年比16%増と説明しています(Form 10-K、FY2025)。成長が続いていることが読み取れます。
  • 同期の営業損益(Loss from operations)は$(34) millionで、前期の$(197) millionから赤字幅が縮みました(Form 10-K、FY2025)。黒字化に近づいている段階であることが読み取れます。
  • Rentals の売上は$630 millionで、39%増えました(Form 10-K、FY2025)。賃貸が最も速く伸びている区分であることが読み取れます。
  • Residential の売上は$1,704 millionで、同社は7%増と説明しています(Form 10-K、FY2025)。売上の最大の柱がエージェント向けの送客と広告であることが読み取れます。
  • Mortgages の売上は$199 millionで、37%増えました(Form 10-K、FY2025)。送客した取引の中で金融の収益も取り込み始めていることが読み取れます。
  • 2025年の訪問数は9,593 millionで、前年から3%増えました(Form 10-K、FY2025)。集客の規模が送客収益の土台であることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。リード獲得・送客メディア型が成り立つには、買い手・借り手が最初に訪れる場所であり続けることが条件です。同社は住宅データや推定価格といった独自のコンテンツで訪問を集め、その需要を有料でエージェントや管理会社に渡しています。訪問数を重要指標に置いているのは、訪問がそのまま送客の在庫になるからだと読めます。

同社の工夫は、課金方法を段階的に変えている点です。広告シェアに応じた配分は、エージェントの広告費を先に受け取れる一方、成果との結びつきが弱くなります。成約時払いの Zillow Preferred は、エージェントにとって無駄打ちが少ない反面、同社は成約まで収益を待ち、成約を確かめる仕組みを持つ必要があります。裏側では、エージェントの対応品質の管理や、ローンや内見の仕組みを通じて取引の進み具合を把握することが必要になると考えられます。

トレードオフは、住宅市場の状況に売上が左右される点です。同社は、在庫の少なさや住宅ローン金利の高止まりが住宅購入のしにくさにつながり、売買の件数を抑えていると述べています。一方で賃貸の空室が増えて賃貸広告の需要が高まったとしており、売買と賃貸の両方を持つことが、市場の変化への備えになっていると読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の集客の場に、顧客が「最初に見に来る」理由となる独自のデータやコンテンツはあるでしょうか。
  • 送客先への課金は、掲載料・リード課金・成約課金のどれが、今の関係の深さに合っているでしょうか。
  • 成約課金にするなら、成約をどう確かめ、どう請求するでしょうか。
  • 市場の波に対して、逆の動きをする顧客層を持っているでしょうか。

小さく試すなら

  1. 1週目に、自社サイトの問い合わせを、送客先に渡せる形(ニーズ、時期、予算)で記録する項目を決めます。
  2. 送客先の候補3〜5社に、リード課金と成約課金の2案を示し、許容できる単価や料率を聞き取ります。
  3. 2〜3週目に、1〜2社と試験的に送客を行い、リードの件数、先方の対応速度、成約の有無を記録します。
  4. 4週目に、送客先の満足度とリード1件あたりの収益を確認します。成約の報告が滞りなく得られると分かれば、成約課金の本格導入を検討します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Zillow Group, Inc. / 不動産ポータルと送客。参照資料:Form 10-K(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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