CX(カスタマーエクスペリエンス)とは
CXとは、顧客が商品やサービスの存在を知り、比較・検討し、購入して利用し、問い合わせや更新を経て関係を続けていくまでの全過程で得る体験の総体のことです。
平たく言えば「その会社と関わる中で、顧客がどう感じたか」の積み重ねです。製品そのものの品質だけでなく、Web サイトの分かりやすさ、申込手続きの手軽さ、問い合わせへの返答の速さ、請求の分かりやすさ、解約のしやすさまでが含まれます。どこか一か所の体験が悪いと、製品が良くても全体の印象は下がります。
正式名称は Customer Experience で、頭文字を取って CX と呼ばれます。日本語では「顧客体験」と訳されます。
UXとの違いと構成要素
CX と似た言葉に UX(ユーザーエクスペリエンス)があります。両者の違いは範囲にあります。
| 観点 | UX | CX |
|---|---|---|
| 対象 | 製品やサービスの利用体験 | 企業との関わり全体の体験 |
| 主な場面 | 画面の操作、機能の使いやすさ | 認知、検討、契約、利用、サポート、更新 |
| 主な担当 | プロダクト・デザイン | 営業、マーケティング、サポート、経理を含む全社 |
CX を整理するときは、顧客が通る段階と、各段階での接点(タッチポイント)を書き出す方法がよく使われます。これを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。
- 認知:広告、検索結果、紹介
- 検討:Web サイト、資料、営業との商談
- 契約:申込フォーム、見積もり、契約手続き
- 利用開始:初期設定、オンボーディング
- 継続利用:日々の操作、問い合わせ、請求
- 更新・解約:契約更新の案内、解約手続き
各接点で顧客が何をしたいのか、どこで迷い、どこで不満を感じるのかを洗い出すと、改善すべき箇所が見えてきます。
実務での使い方・具体例
CX の改善は、次のように進めます。
- 顧客の段階と接点を書き出す。
- 問い合わせ内容、解約理由、アンケート、行動データから、不満や離脱が起きている接点を特定する。
- 影響の大きい接点から改善策を決める。
- 改善後に、離脱率や問い合わせ件数、継続率などで効果を確認する。
架空の例として、BtoB の SaaS で、契約後の初期設定が難しく、利用開始前に問い合わせが集中していたとします。製品の機能に問題はなくても、利用者は「思っていたより使い始めるのが大変」と感じ、それが継続率の低下につながっていました。そこで、初期設定の手順を画面上で案内する機能を加え、設定が止まっている顧客に自動でフォローのメールを送る仕組みを作りました。営業、サポート、開発がそれぞれ別々に対策するのではなく、顧客の体験の流れとして一つの課題を捉えたことが、改善につながったポイントです。
CX の改善には、部門をまたいだデータの共有が欠かせません。営業の商談記録、サポートの問い合わせ履歴、サービスの利用ログがばらばらに管理されていると、顧客がどこでつまずいているかが見えません。顧客データを連携させる仕組みづくりも、CX 改善の重要な土台です。
CX の成果を測る指標としては、顧客満足度や NPS のような意識の指標と、継続率、解約率、問い合わせ件数、手続きの完了率のような行動の指標があります。意識の指標は変化の兆しをつかむのに役立ちますが、事業への影響を判断するには行動の指標と組み合わせることが大切です。改善策ごとに「どの接点の、どの数字を動かすための施策か」を決めておくと、施策の効果を検証しやすくなり、次に手を入れる場所も選びやすくなります。
よくある誤解と注意点
- おもてなしや接客の話だけではない:手続きの手間、待ち時間、請求の分かりにくさなど、仕組みの側で解決すべき要素が多くあります。
- 満足度調査をすれば分かる、ではない:アンケートの点数だけでは原因が分かりません。回答理由の自由記述や、実際の行動データと合わせて見ます。
- 一部門だけでは改善できない:接点が全社にまたがるため、責任者を決め、部門横断で取り組む体制が必要です。
- すべての接点を一度に直そうとする:影響の大きい接点から順に改善し、効果を確かめながら進めます。
関連用語
- EX(従業員体験):従業員が働く中で得る体験。CXの質を支える。
- セルフサービス型サポート:顧客が自分で疑問を解決できるようにする支援。
- CDP(カスタマーデータプラットフォーム):顧客データを統合し、体験の改善に活かす基盤。
- アハモーメント:顧客がサービスの価値を実感する瞬間。
- 実践記事:NPSを改善に活かす:スコアより回答理由の分析を重視する方法
Otsumuに相談できること
CX の改善は、顧客の声を集めるだけでなく、どの接点の改善が事業の成果に効くかを見極め、仕組みとして直していくことが重要です。Otsumu はKPI改善コンサルティングで継続率や離脱の指標から改善箇所を特定し、自社サービス運用の自動化コンサルティングでフォローの自動化やサポートの仕組み化を支援します。
まずは30分の無料相談で、顧客体験の課題をお聞かせください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01