EX(従業員体験)とは
EXとは、従業員が採用選考を受けてから入社し、日々の業務をこなし、評価や成長を経て、やがて退職するまでの間に、職場で得るあらゆる体験の総体のことです。
平たく言えば「この会社で働くことを、従業員がどう感じているか」の積み重ねです。給与や制度だけでなく、仕事の進めやすさ、使っている道具の使い勝手、必要な情報へのたどり着きやすさ、上司や同僚との関わり、評価の納得感などが含まれます。
正式名称は Employee Experience で、頭文字を取って EX と呼ばれます。顧客の体験を表す CX(カスタマーエクスペリエンス)と対になる概念として使われ、「従業員の体験が良い会社は、顧客にも良い体験を提供しやすい」という考え方が背景にあります。
EXを構成する要素
EX はさまざまな要素から成り立ちます。業務改善やシステムの観点で手を入れやすいものを中心に整理すると、次のようになります。
| 要素 | 具体例 | よくある不満 |
|---|---|---|
| 入社・オンボーディング | アカウント発行、研修、配属 | 初日に PC やアカウントが使えない |
| 日々の業務 | 申請、承認、報告、データ入力 | 同じ情報を何度も入力する |
| ツール・システム | 業務システム、チャット、ファイル共有 | ツールが多く、どこに何があるか分からない |
| 情報共有 | 規程、手順書、社内のお知らせ | 必要な情報が見つからず人に聞くしかない |
| 成長・評価 | 目標設定、面談、研修 | 評価基準が分かりにくい |
| 退職 | 引き継ぎ、手続き | 手続きが煩雑で引き継ぎが不十分 |
EX を測る方法としては、定期的な従業員アンケート、面談での声、問い合わせや申請の件数、業務にかかる時間の調査などがあります。数字と声の両方を見ると、どこに手を入れるべきかが分かりやすくなります。
実務での使い方・具体例
業務とツールの観点から EX を改善する手順の一例です。
- 従業員が日々の業務で「面倒」「分かりにくい」と感じている作業を集める。
- それぞれの作業の頻度と、かかっている時間を把握する。
- 二重入力、紙の申請、情報の探しにくさなど、仕組みで解決できるものから優先して改善する。
- 改善後に、作業時間や従業員の声の変化を確認する。
架空の例として、店舗を複数持つ会社で、店長が毎日の売上報告、シフト調整、備品の発注をそれぞれ別のシートやメールで行っていたとします。本部への報告に時間を取られ、本来の仕事である接客やスタッフの育成に時間を使えないという不満がありました。報告と申請を一つの画面にまとめ、売上データは POS から自動で取り込むようにしたところ、店長の事務作業が減り、店舗での接客時間を増やせるようになりました。従業員の負担が減ったことで、顧客対応の質も上がるという、EX と CX のつながりがよく分かる例です。
新入社員のオンボーディングも、EX が表れやすい場面です。入社初日にアカウントや機器が使える状態になっているか、必要な手順書がそろっているかで、最初の印象は大きく変わります。アカウント発行の自動化や手順の整備は、比較的取り組みやすい改善です。
改善の優先順位を付けるときは、「多くの人が」「頻繁に」「強い不満を感じている」作業から手を付けるのが基本です。一部の部署だけの困りごとでも、その部署が顧客対応の最前線であれば、全社への影響は大きくなります。また、改善の結果を従業員に共有し、「声を上げれば変わる」という経験を積み重ねてもらうことも、EX を高めるうえで欠かせません。改善そのものと同じくらい、改善が伝わることが重要です。
よくある誤解と注意点
- 福利厚生を充実させれば高まる、ではない:日々の業務の進めにくさや、無駄な作業の多さが不満の大きな原因であることも多くあります。
- ツールを増やせば良くなる、ではない:目的ごとに別々のツールを導入すると、かえって使い分けの負担が増えます。導入前に既存のツールとの関係を整理します。
- アンケートを取って終わる:結果を共有し、具体的な改善につなげなければ、次回から本音が書かれなくなります。
- 現場の声を聞かずに仕組みを決める:使う人の業務を理解せずに作った仕組みは、定着しません。
関連用語
- CX(カスタマーエクスペリエンス):顧客が得る体験全体。EXと表裏の関係にある。
- チェンジマネジメント:新しい仕組みを組織に定着させるための取り組み。
- ナレッジマネジメント:社内の知識を共有し活用する取り組み。
- ペーパーレス化:紙の手続きを電子化し、業務の手間を減らす取り組み。
- 実践記事:業務システムが現場で使われない原因と、定着させる導入の工夫
Otsumuに相談できること
EX の改善は制度の見直しだけでなく、日々の面倒な作業を減らすことから始められます。Otsumu は自社サービス運用の自動化コンサルティングで、現場の声と業務の実態を把握したうえで、二重入力の解消や申請・報告の自動化を支援します。既存のツールの設定や使い方の見直しで解決できる場合は、まずそこから提案します。
まずは30分の無料相談で、従業員の負担になっている業務をお聞かせください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01