データレイクとは
データレイクとは、業務システムの表形式のデータだけでなく、アクセスログ、センサーのデータ、画像、音声、PDF の文書など、形式の異なるさまざまなデータを、加工せずに元の形のまま大量に保管しておく場所のことです。
平たく言えば「使い道がまだ決まっていないデータも含めて、とりあえずすべてを一か所に流し込んでおく大きな貯水池」です。DWH(データウェアハウス)が、分析の目的に合わせて整理されたデータを保管する倉庫であるのに対し、データレイクは整理する前の生のデータを貯めておく場所という位置づけです。
英語の Data Lake をそのまま訳した言葉で、さまざまな川から水が流れ込む湖にたとえています。クラウドのストレージサービス(Amazon S3、Google Cloud Storage、Azure の各種ストレージなど)を使って構築されることが一般的です。
DWHとの違いと仕組み
データレイクと DWH の違いを整理すると次のようになります。
| 観点 | データレイク | DWH |
|---|---|---|
| 保管するデータ | 構造化・半構造化・非構造化のすべて | 主に整理された構造化データ |
| 保管時の加工 | 原則として加工しない | 分析しやすい形に整えてから格納 |
| 主な利用者 | データエンジニア、データサイエンティスト | 事業部門、経営、アナリスト |
| 向いている用途 | 機械学習、後からの分析、生データの保全 | 定型の集計、ダッシュボード |
| 費用の傾向 | 大量に保管しても比較的安価 | 処理性能に応じて費用がかかる |
データを貯める段階では形式を決めず、使う段階で必要な形に変換するという考え方を「スキーマ・オン・リード」と呼びます。これに対し、DWH のように格納時に形式を決める考え方を「スキーマ・オン・ライト」と呼びます。
組み合わせた構成
実際には、データレイクと DWH を組み合わせる構成がよく使われます。
- 各システムやログのデータを、まずデータレイクにそのまま保管する。
- 分析でよく使うデータを、データレイクから取り出して整え、DWH に格納する。
- ダッシュボードや定型の分析は DWH を使い、新しい分析や機械学習ではデータレイクの生データを使う。
近年は、データレイクの柔軟さと DWH の扱いやすさを一つの基盤で両立させる「レイクハウス」という考え方も広がっています。
実務での使い方・具体例
データレイクが役立つのは、次のような場面です。
- サービスの操作ログを長期間保管し、後から新しい切り口で分析したい。
- 問い合わせの文章や通話の記録を、将来 AI で分析するために残しておきたい。
- 機械学習のモデルを作るため、加工前のデータが必要になる。
- 元のシステムが入れ替わっても、過去のデータを失いたくない。
架空の例として、自社でアプリを運営する会社が、利用者の操作ログを DWH に必要な項目だけ取り込んで分析していたとします。後になって「解約した利用者が直前にどんな操作をしていたか」を詳しく調べたくなったものの、取り込んでいない項目の過去のデータが残っていませんでした。そこで以降は、操作ログをすべてデータレイクに保管し、必要になった時点で DWH に取り込む構成に変えました。保管の費用を抑えながら、将来の分析の選択肢を残せるようになった例です。
一方で、データの量が少なく、分析の目的も定型の集計に限られている段階では、データレイクを作る必要はありません。DWH や BI ツールだけで十分なことも多くあります。
よくある誤解と注意点
- データスワンプ(データの沼)になる:何がどこにあるか分からないまま貯め続けると、誰も使えない沼のような状態になります。データの説明(メタデータ)と管理者を記録しておきます。
- とりあえず全部貯めれば価値が出る、ではない:使う目的がないデータを貯め続けても費用がかかるだけです。保管する理由と期間を決めます。
- 個人情報を無管理で貯める:生データには個人情報が含まれることがあります。アクセス権限、暗号化、保管期間を定め、関係する法令は専門家や公的機関の情報で確認します。
- 事業部門がそのまま使えると考える:生のデータは扱いが難しく、多くの場合、整えて DWH やデータマートにしてから利用します。
関連用語
- DWH(データウェアハウス):分析用に整理されたデータを保管する倉庫。
- ETL・ELT:データを取り出し、変換し、格納する処理。データレイクではELTが多い。
- データガバナンス:データの管理ルールと責任を定める取り組み。
- データパイプライン:データを収集から活用まで自動で流す仕組み。
- 機械学習:データから規則性を学ぶ技術。データレイクの生データが活きる。
- 実践記事:複数システムのデータを集約する:ETLとデータ基盤の作り方
Otsumuに相談できること
データレイクは、将来の分析や AI 活用の選択肢を残す有効な手段ですが、目的と管理のルールがないと費用だけがかかる沼になりがちです。Otsumu はKPI改善コンサルティングで、事業の問いから逆算して、どのデータをどの形で残すべきかを整理し、ダッシュボード開発でデータの集約から活用までの仕組みづくりを支援します。
まずは30分の無料相談で、貯めているデータと活用したいことをお聞かせください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01
この用語に関連する開発メニューは、データウェアハウス・BigQuery構築です。
- 使う場面から逆算してテーブルを設計
- 権限とコストを最初から管理できる設計
- 構築後の運用・改善まで一気通貫