限定提供データとは
限定提供データとは、業として特定の者に提供する情報として、電磁的方法により相当量蓄積され、管理されている技術上または営業上の情報(秘密として管理されているものを除く)をいう、不正競争防止法上の区分です。要するに、営業秘密とは要件が異なります。
データの利活用が進むなかで、特定の相手には提供するが、広く公開はしないデータを、不正な取得や使用から守るために設けられた仕組みです。営業秘密として保護されにくいデータを補完する位置づけとされます。
仕組み・ポイント
要件を、営業秘密と比べて整理します。
| 観点 | 限定提供データ | 営業秘密 |
|---|---|---|
| 提供の形 | 特定の者に提供することを前提にしている | 秘密として管理する |
| 管理の方法 | 電磁的な方法による、アクセス制限の措置 | 秘密としての管理 |
| 蓄積 | 相当量が蓄積されている | 量の要件はない |
| 秘密性 | 秘密管理されているものは除かれる | 秘密管理性が要件 |
- 対象のイメージ:会員限定で提供するデータ、特定の取引先へ共有するデータ
- 保護の内容:不正な取得、使用、開示などに対する差止めなどの規律
- 適用の例外:公開されているデータや、一定の行為には、保護の例外が定められている
実務での使い方・具体例
データを事業の中核とする新規事業では、取引先や会員にデータを提供する形のサービスが多くなります。そこで、提供するデータを、法的にどう守るかを検討します。契約で利用の範囲や再提供の禁止を定めるのが基本で、そのうえで、限定提供データの制度が、補完的な保護になりえます。
実務では、データを提供する相手を限定し、ログインやアクセスの制限などの管理の措置をとります。データの提供契約には、目的外の利用や第三者への提供の禁止、情報の管理の方法、返却や削除の手続きを定めます。データの価値や、提供の形態によって、営業秘密として守るのか、限定提供データとして整理するのか、契約で守るのかを選びます。専門家とも相談して、整理します。
確認の観点
着手の前や公開の前に、次の点を確認しておくと、後からの手戻りを減らせます。
- 提供するデータの相手を、限定しているか
- ログインなどの、アクセスを制限する措置をとっているか
- 提供契約に、目的外の利用の禁止を定めているか
- 第三者への提供の禁止を、定めているか
- 営業秘密として守るのか、別の整理にするのか、検討したか
最初の一歩としては、提供しているデータの種類と、提供先、提供の方法を一覧にします。一覧をもとに、契約で守る部分と、技術的な制限で守る部分を分けて整理します。
よくある誤解と注意点
- 「データは何でも法律で保護される」と考えない。要件を満たす必要がある
- 契約による保護が基本で、法的な保護は補完的なもの
- 営業秘密と限定提供データは、要件が異なり、どちらに当たるかで保護の仕方が変わる
- 対象や例外の詳細は、法令や指針で定められている。最新の情報を確認する
制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
- 営業秘密:営業秘密としての保護
- データ利用契約:データを提供する際の契約
- NDA(秘密保持契約):秘密を守るための基本的な契約
- 知的財産権:知的財産権の全体像
- 関連する実践ノート
Otsumuに相談できること
データを事業の価値にする場合は、契約と管理の両面で守る設計が重要になります。提供の条件と管理の仕組みの整理を、お手伝いできます。
事業側の論点整理や進め方の設計は 新規事業の戦略・立ち上げ支援 でお手伝いできます。個別の法的判断は弁護士など専門家の領域ですので、必要に応じて専門家と連携しながら進める前提でご相談ください。まずは 30分の無料相談 で状況をお聞かせください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04