IDaaS(ID管理サービス)とは
IDaaSとは、社員が使う複数のクラウドサービスや社内システムの ID(アカウント)と認証を、クラウド上でまとめて管理するサービスのことです。
平たく言えば「会社のアカウントの元帳と、ログインの入口を一か所にまとめる仕組み」です。社員はIDaaSに一度ログインすれば、許可されたサービスを個別のパスワードなしで使えるようになり、管理者は入社・異動・退職に合わせてアカウントの発行や停止をまとめて行えます。
正式名称は Identity as a Service で、「アイダース」と読まれます。ID管理の機能をクラウドサービス(as a Service)として提供する、という意味です。Okta、Microsoft Entra ID、Google Workspace の ID 管理機能などが代表的な例として挙げられます。
主な機能と仕組み
IDaaS が提供する主な機能は次のとおりです。
| 機能 | 内容 | 得られる効果 |
|---|---|---|
| シングルサインオン(SSO) | 一度の認証で複数サービスにログイン | パスワード管理の負担軽減 |
| 多要素認証(MFA) | パスワードに加えスマホ認証などを要求 | 不正ログインの防止 |
| ID プロビジョニング | 各サービスのアカウントを自動で作成・停止 | 入退社時の手作業と漏れの削減 |
| アクセス制御 | 部署や役職、端末、場所で利用を制限 | 権限の適正化 |
| ログ管理 | 誰がいつどこにログインしたかを記録 | 監査対応、不正の早期発見 |
仕組みとしては、IDaaS が「認証を担当する側(IDプロバイダ)」となり、各 SaaS や社内システムは「IDaaS で認証された人を信頼する側」として連携します。連携には SAML や OpenID Connect といった標準的な規格が使われます。アカウントの自動作成・停止には SCIM という規格がよく使われますが、対応状況はサービスごとに異なります。
実務での使い方・具体例
IDaaS の導入は、次のような流れで進めます。
- 社内で使っているサービスと、そのアカウント一覧を洗い出す。
- 各サービスが SSO やアカウント自動連携に対応しているか確認する。
- 影響の小さいサービスから順に IDaaS と連携する。
- 多要素認証の適用範囲と、端末紛失時などの例外手続きを決める。
- 入社・異動・退職時の手続きを、人事情報と連動する形に整える。
架空の例として、営業支援ツール、チャット、ファイル共有、会計ソフトなど十数種類のサービスを使う会社があったとします。これまでは退職者が出るたびに、管理者が各サービスの管理画面でアカウントを一つずつ停止しており、作業漏れも起きていました。IDaaS を導入して主要サービスと連携した結果、退職手続きは IDaaS 上でアカウントを停止するだけで、連携先のログインも一括で止められるようになりました。
自社で開発するサービスや社内システムでも、最初から標準規格による SSO に対応しておくと、取引先企業の IDaaS と連携でき、法人向けの販売で求められる要件を満たしやすくなります。
導入の優先順位を付けるときは、扱う情報の重要度と利用人数を軸にすると判断しやすくなります。顧客情報や会計情報を扱うサービス、全社員が使うサービスから連携し、一部の部署だけが使う補助的なツールは後回しにする、という進め方です。最初から全サービスの連携を目指すと、準備に時間がかかり効果が出るのが遅れます。
よくある誤解と注意点
- すべてのサービスがつながるわけではない:SSO やアカウント自動連携に対応していないサービスや、上位プランでしか対応していないサービスもあります。導入前の確認が必須です。
- IDaaS が止まると全部止まる:ログインの入口を一本化するため、IDaaS の障害や設定ミスの影響範囲は大きくなります。管理者用の緊急ログイン手段を用意しておきます。
- 権限設計を後回しにする:連携しただけでは、誰がどこまで使えるかは整理されません。部署や役職ごとのアクセス権の方針を先に決めます。
- 人事情報との連携を忘れる:入退社の情報が IDaaS に正しく反映されなければ、自動化の効果は出ません。
関連用語
- SSO(シングルサインオン):一度の認証で複数サービスを使える仕組み。IDaaSの中核機能。
- OpenID Connect:IDaaSとサービスの連携に使われる認証の標準規格。
- SaaS管理(SMP):利用中のSaaSの契約・アカウント・費用を一元管理する取り組み。
- RBAC(ロールベースアクセス制御):役割ごとに権限を割り当てる考え方。
- 監査ログ:誰がいつ何をしたかの記録。
- 実践記事:SaaSの組織管理機能の設計:権限・招待・監査ログをどう作るか
Otsumuに相談できること
IDaaS は導入して終わりではなく、入退社の手続きや権限の方針、連携できないサービスの扱いまで含めて設計しないと効果が出ません。Otsumu は自社サービス運用の自動化コンサルティングで、アカウント管理を含む社内運用の手作業を棚卸しし、自動化の範囲を一緒に決めます。自社サービスに SSO 対応を組み込みたい場合はSaaS開発としてもご相談いただけます。
まずは30分の無料相談で、現在のアカウント管理の状況をお聞かせください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01