SaaS管理(SMP)とは
SaaS管理とは、会社が利用している SaaS(インターネット経由で提供されるソフトウェアサービス)について、どのサービスを誰が使い、いくら払い、どのアカウントが有効なのかを一元的に把握・管理する取り組みのことです。これを支援する専用のツールを SMP(SaaS Management Platform)と呼びます。
平たく言えば「社内にどんなクラウドサービスがあって、誰がどのアカウントを持っているか」を台帳で正しく保ち、無駄な契約や退職者のアカウントの放置を防ぐための管理です。部署ごとに必要なサービスを手軽に契約できるようになった反面、全体像を誰も把握していない状態が生まれやすくなったことが、SaaS管理が注目される背景です。
管理する項目と仕組み
SaaS管理で把握すべき主な項目は次のとおりです。
| 管理項目 | 内容 | 放置した場合のリスク |
|---|---|---|
| 契約情報 | サービス名、契約者、プラン、更新日 | 不要な自動更新、契約の重複 |
| アカウント | 誰がどのサービスのアカウントを持つか | 退職者アカウントの放置、情報漏えい |
| 権限 | 管理者権限を持つ人 | 権限の過剰付与 |
| 費用 | 月額・年額、支払方法、部署別の負担 | コストの見えない膨張 |
| 利用状況 | 最終ログイン、利用頻度 | 使われていないライセンスへの支払い |
管理の仕組みとしては、大きく分けて次の3つの方法があります。
- スプレッドシートの台帳で手作業で管理する。
- 専用の SaaS 管理ツール(SMP)で、各サービスと連携してアカウントや利用状況を自動収集する。
- IDaaS などの ID 管理サービスと組み合わせ、入退社に合わせてアカウントの発行・停止を自動化する。
SMP は、会計データやカード明細、各 SaaS の管理画面との連携を通じて、利用中のサービスを洗い出す機能を持つものが多くあります。対応している連携先や機能は製品によって異なり、更新も頻繁なので、導入時に最新の情報を確認する必要があります。
実務での使い方・具体例
SaaS管理の導入は、次のような手順で進めるのが一般的です。
- 経費精算やカード明細から、現在支払っている SaaS を洗い出す。
- サービスごとに管理責任者を決める。
- アカウント一覧を作り、退職者や異動者のアカウントを棚卸しする。
- 入社・異動・退職時のアカウント発行と停止の手順を決める。
- 定期的(例:四半期ごと)に利用状況を確認し、不要な契約を見直す。
架空の例として、従業員数十人規模の会社で、部署ごとにチャットツールやデザインツール、営業支援ツールを契約していたとします。洗い出しをしたところ、同じ用途のサービスを二つの部署が別々に契約していたり、退職者のアカウントがいくつも有効なまま残っていたりしました。まずは台帳と入退社時の手順を整え、その後、アカウントの発行と停止を自動化することで、情報システム担当の手作業とセキュリティ上のリスクを同時に減らせました。
SaaS管理の効果は、管理部門の手間の削減だけでなく、取引先から求められるセキュリティチェックへの回答のしやすさにも表れます。「退職者のアカウントをいつまでに停止しているか」「管理者権限を誰が持っているか」といった質問に、台帳をもとにすぐ答えられる状態は、法人向けにサービスを提供する会社にとって信頼の土台になります。
よくある誤解と注意点
- ツールを入れれば管理できる、ではない:誰がどのサービスに責任を持つか、入退社時に誰が何をするかという運用ルールがないと、ツールの情報も古くなります。
- 費用削減だけが目的ではない:退職者のアカウントが残ることは、情報漏えいの入口になります。セキュリティ対策としての側面も重要です。
- 禁止しすぎると隠れて使われる:新しいサービスの利用を一律に禁止すると、申請されないシャドーITが増えます。申請しやすい手続きを用意するほうが実態を把握できます。
- 無料プランも対象に含める:費用がかからないサービスにも会社の情報が入ります。台帳には無料のものも含めましょう。
関連用語
- IDaaS(ID管理サービス):複数サービスのログインとアカウントを一元管理するクラウドサービス。
- シャドーIT:会社が把握していない IT サービスやツールの利用。
- SSO(シングルサインオン):一度の認証で複数サービスにログインできる仕組み。
- ひとり情シス:情報システム業務を一人で担う体制。SaaS管理の負担が集中しやすい。
- 実践記事:自社サービス運用の手作業を減らす:運用業務の棚卸しと自動化
Otsumuに相談できること
SaaSの数が増えるほど、アカウントの発行・停止や契約の確認といった手作業は、情報システム担当や管理部門の負担になっていきます。Otsumu は自社サービス運用の自動化コンサルティングで、台帳の整備から入退社時のアカウント処理の自動化、社内ツール同士の連携までを支援します。既存の SaaS 管理ツールで足りる場合は、その活用方法を優先してご提案します。
まずは30分の無料相談で、現在の管理方法と困りごとをお聞かせください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01