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インシデント管理とは?意味・対応の流れと体制づくり

インシデント管理とは、システム障害など通常の運用を妨げる出来事に対し、影響を抑えて早く元の状態に戻すための管理の仕組みです。対応の流れ、役割分担、事前に決めておくことを解説します。

インシデント管理とは

インシデント管理とは、システムの停止や不具合など、サービスの通常の提供を妨げる出来事(インシデント)が起きたときに、影響を最小限に抑え、できるだけ早く元の状態に戻すための管理の仕組みです。

平たく言えば「障害が起きたときの段取り」をあらかじめ決めておき、そのとおりに動けるようにすることです。インシデントは英語で「出来事・事件」を意味し、IT運用の分野では、まだ大きな障害になっていない異常や、セキュリティ上の事故の疑いも含めて広く使われます。IT運用のベストプラクティスをまとめたITILでも、中心的なプロセスの一つとして位置づけられています。

ここで大切なのは、インシデント管理の目的が「根本原因を突き止めること」ではなく「まずサービスを元に戻すこと」だという点です。原因の追究と再発防止は、復旧後に別のプロセスとして行います。

インシデント対応の流れ

インシデントへの対応は、おおむね次の流れで進みます。

  1. 検知:監視のアラート、利用者からの問い合わせ、社内からの報告などで異常に気づく
  2. 記録と起票:発生時刻、症状、影響範囲を記録し、対応の窓口を一本化する
  3. 影響度の判定:利用者への影響の大きさと緊急度から、優先度を決める
  4. 連絡と体制づくり:優先度に応じて関係者を招集し、社内外への連絡を始める
  5. 暫定対応・復旧:ロールバックや機能の一時停止などで、まずサービスを戻す
  6. 収束の確認と報告:正常に戻ったことを確かめ、関係者や利用者に報告する
  7. 振り返り:原因と再発防止策を整理する(ポストモーテム)

優先度の決め方

すべてのインシデントに全力で対応すると、現場が疲弊します。影響範囲と緊急度で優先度を分けておくのが一般的です。

優先度状況の例対応の目安
最優先全利用者が使えない、決済が止まっている、情報漏えいの疑い時間外でも即時に招集し、利用者へ告知
高主要機能の一部が使えない、特定の利用者に影響当日中の復旧を目指し、関係者に共有
中回避策がある不具合、表示の乱れ通常の業務時間内で対応
低軽微な不具合、改善要望に近いもの改修計画に組み込む

役割を分ける

大きな障害では、全員が原因調査に集まってしまい、利用者への連絡や記録が後回しになりがちです。対応を指揮する人、技術的な調査と復旧を行う人、社内外への連絡を担う人、時系列を記録する人と、役割を分けておくと混乱が減ります。小さな組織では一人が複数を兼ねますが、「誰が何を担うか」を最初に宣言するだけでも効果があります。

実務での使い方・具体例

架空の例:会員サイトのログイン障害

ある会員制サービス(架空)で、平日の夕方にログインできないという問い合わせが続きました。担当者はまず影響範囲を確認し、全利用者に影響していることから最優先と判断しました。開発者は直前に行ったリリースを疑い、変更を元に戻すロールバックを実施。並行してサポート担当がサイト上に障害のお知らせを掲載し、問い合わせへの定型回答を用意しました。復旧後、時系列の記録をもとに振り返りを行い、リリース後の動作確認項目にログインを追加しました。原因の深掘りより先に「戻す」判断をしたことで、影響時間を短くできた例です。

事前に決めておくこと

  • 障害の連絡を受ける窓口と、夜間・休日の連絡手段
  • 優先度の基準と、それぞれで誰を招集するか
  • 利用者へのお知らせの掲載場所と文面のひな形
  • 開発会社・保守会社との連絡ルートと対応時間の取り決め
  • よくある障害の復旧手順書(ランブック)

よくある誤解と注意点

  • 原因が分かるまで動かない、は避ける:まず影響を止めることを優先し、原因の追究は復旧後に行います。
  • 担当者個人に頼る体制は危うい:特定の人しか対応できない状態では、その人が不在のときに対応が止まります。
  • 小さな異常も記録する:大きな障害の前触れであることがあります。記録が残っていれば傾向を分析できます。
  • 利用者への連絡は早めに:原因が分からなくても、「把握して対応中である」ことを伝えるだけで問い合わせの殺到を防げます。

関連用語

具体的な連絡体制の作り方はシステム障害時の対応フローで解説しています。

Otsumuに相談できること

インシデント管理は、障害が起きる前にどれだけ準備できているかで結果が大きく変わります。Otsumuでは、優先度の基準づくりや連絡体制、復旧手順書の整備、監視との連携までを、組織の規模に合った形で支援します。運用中のシステムについては保守・運用、通知や定型対応の自動化は自社サービス運用の自動化コンサルティングのページをご覧ください。

「障害のたびに場当たり的になっている」と感じたら、30分の無料相談でお気軽にご相談ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01

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