Runbook(運用手順書)とは
Runbookとは、システムやサービスの運用で発生する定常作業や障害対応について、「どんなときに」「何を確認し」「どのコマンドや画面で」「どう対処するか」を具体的に書いた手順書です。平易に言えば「運用担当者が迷わず作業できるように、手順を一つずつ書いた運用の取扱説明書」です。
日本語では「運用手順書」と呼ばれることが多く、障害対応に特化したものは「障害対応手順書」とも呼ばれます。似た言葉に Playbook(プレイブック)があり、Runbookが一つの作業の具体的な手順を示すのに対し、Playbookは障害対応全体の進め方や役割分担を示すもの、と使い分けられることがあります。ただし、組織によって定義は異なります。
Runbookに書く要素
Runbookは、深夜の障害対応のように焦っている状況でも使えることが前提です。そのため、読み手が考え込まずに実行できる具体性が求められます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象と発生条件 | どのアラートや状況で使う手順か |
| 影響範囲 | 利用者やほかのシステムにどんな影響が出るか |
| 事前確認 | 対応前に見るべきダッシュボード、ログ、状態 |
| 対処手順 | 番号付きの具体的な操作。画面の場所やコマンドまで書く |
| 確認方法 | 対処後に正常に戻ったと判断する基準 |
| 切り戻し | 対処がうまくいかなかったときに元に戻す手順 |
| エスカレーション | 解決しないときに連絡する相手と連絡手段 |
| 更新情報 | 最終更新日と更新者 |
定常作業のRunbookには、たとえば月次のデータ集計、証明書の更新、ユーザーアカウントの追加・削除、バックアップからの復元確認などがあります。障害対応のRunbookには、サーバーの応答が遅い、ディスク容量が不足した、外部サービスとの連携が止まった、といった典型的な障害ごとの対処を書きます。
実務での使い方・具体例
小規模なWebサービスで、夜間に「決済連携でエラーが増えている」というアラートが届いたとします。Runbookがない場合、担当者はまずどこを見ればよいか探すところから始めることになり、復旧に時間がかかります。担当者が一人しか分からない状態では、その人が不在のときに対応できません。
Runbookがあれば、次のように手順に沿って対応できます。
- 監視画面で、エラーが全件か一部の決済手段だけかを確認する
- 決済代行会社の障害情報ページを確認する
- 先方の障害であれば、利用者向けのお知らせを定型文で掲載する
- 自社側の問題であれば、直近のデプロイの有無を確認し、必要に応じて切り戻す
- 解決しない場合は、開発責任者に電話で連絡する
アラートの通知に、該当するRunbookへのリンクを載せておくと、通知を受けた担当者がすぐに手順にたどり着けます。障害対応全体の流れはシステム障害時の対応フロー、手順書の書き方は運用手順書(Runbook)の作り方で詳しく解説しています。
自動化との関係
Runbookがそろってくると、手順の中で毎回同じ操作をしている部分が見えてきます。たとえば「ディスク容量が不足したら古いログを削除する」といった手順は、スクリプトにして自動で実行させることができます。手順書を書くことは、運用自動化の候補を見つける作業でもあります。いきなりすべてを自動化するのではなく、まず人が手順通りに実行して問題がないことを確かめ、そのうえで自動化に移すのが安全です。
よくある誤解と注意点
最大の問題は、Runbookが古くなることです。システムの構成やツールが変わったのに手順書が更新されず、障害時に書いてある通りに操作したら状況が悪化した、という事態は避けなければなりません。システムを変更するときにRunbookの更新もセットで行うこと、定期的な訓練で実際に手順通りに作業できるかを確認することが有効です。
また、「ベテランがいるから手順書はいらない」という考えも危険です。障害はベテランが休暇中の深夜にも起こります。Runbookは新人のためだけでなく、緊張した状況で判断の抜け漏れを防ぐための道具でもあります。障害後のポストモーテムで得た学びをRunbookに反映していくと、手順書が少しずつ実戦的になっていきます。
関連用語
- インシデント管理:障害の検知から解決・記録までを管理する仕組み
- ポストモーテム:障害の振り返り。Runbook改善の材料になる
- 監視(システムモニタリング):Runbookを使うきっかけとなるアラートを出す仕組み
- SOP(標準作業手順書):業務全般の手順書。Runbookはその運用版
- SRE:信頼性を工学的に高める運用の考え方
Otsumuに相談できること
Runbookは、運用の担当者自身が書くのが最も実態に合います。一方で、どの作業から書くべきか、どこまで自動化すべきかの判断には、運用全体を見渡す視点が必要です。Otsumuの自社サービス運用の自動化コンサルティングでは、運用業務の棚卸しからRunbookの整備、定常作業の自動化までを支援し、システム保守・運用の体制づくりもご相談いただけます。
「障害対応が特定の人に集中している」という状況からでも、30分の無料相談でお気軽にご相談ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01