SOP(標準作業手順書)とは
SOPとは、繰り返し行う業務について、誰が担当しても同じ手順・同じ品質で実行できるように、作業の順番、判断基準、注意点を文書にまとめたものです。平易に言えば「この業務はこの順番でこうやる、と決めた公式の手順書」です。
正式名称は Standard Operating Procedure で、日本語では「標準作業手順書」と訳されます。もともとは医薬品や食品の製造、医療、航空など、手順の誤りが重大な事故につながる分野で使われてきました。現在では、事務作業やサービス運用、カスタマーサポートなど幅広い業務で使われています。
SOPに書く要素とマニュアルとの違い
一般的なSOPには、次のような要素を含めます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | この手順で何を達成するのか |
| 適用範囲 | どの業務・どの場面で使うのか、使わない場面はどこか |
| 担当と権限 | 誰が実行し、誰が承認するのか |
| 前提条件・準備 | 必要なシステム権限、資料、事前の確認事項 |
| 手順 | 番号付きの具体的な作業手順 |
| 判断基準 | 分岐や例外の条件、迷ったときの相談先 |
| 記録 | 何をどこに残すか |
| 改訂履歴 | いつ、誰が、何を変更したか |
よく似たものに「業務マニュアル」があります。厳密な区別はありませんが、マニュアルが業務全体の考え方やシステムの使い方を幅広く説明する文書であるのに対し、SOPは一つの作業に絞って「この順番で、この基準で行う」と手順を定める文書である点が異なります。マニュアルの中に、個々の作業のSOPが含まれている、という関係で整理されることもあります。
実務での使い方・具体例
SaaSを運営する会社で、新規顧客のアカウント発行を担当者が手作業で行っているとします。担当者によって初期設定の項目が抜けたり、案内メールの文面が違ったりして、顧客からの問い合わせが増えていました。
この業務をSOPにすると、たとえば次のような手順になります。
- 契約管理表で契約内容(プラン、利用人数、開始日)を確認する
- 管理画面で組織アカウントを作成し、プランと上限人数を設定する
- 初期管理者のユーザーを登録し、権限が「管理者」になっていることを確認する
- 案内メールのテンプレートを使って、ログイン方法を送る
- 契約管理表の「発行日」と「担当者」を記入する
各手順に、確認すべき画面の項目や、よくある間違いを注記しておくと、新任者でも迷わずに作業できます。手順の最後に、作業が正しく終わったかを確かめる確認項目を置いておくと、抜け漏れの防止にもつながります。
さらに、SOPがそろうと「この手順は自動化できるのではないか」という判断がしやすくなります。上の例なら、契約管理表への登録をきっかけにアカウントを自動で発行し、案内メールを送る仕組みに置き換えられます。SOPは自動化の設計書の下書きにもなるのです。オンボーディング業務の自動化は顧客オンボーディング業務の自動化でも紹介しています。
よくある誤解と注意点
最も多い失敗は、SOPを作ったまま更新しないことです。システムの画面が変わったり、手順が変わったりしても文書が古いままだと、現場はSOPを見なくなり、結局は担当者の記憶に頼る状態に戻ります。各SOPに更新担当者を決め、業務やシステムを変更するときにはSOPの更新を必ずセットにするルールを作りましょう。
また、書きすぎにも注意が必要です。あらゆる例外を書き込もうとすると、文書が長くなりすぎて読まれなくなります。頻度の高い通常の流れを中心に書き、まれな例外は「この場合は誰に相談する」と相談先を示すにとどめるのが現実的です。
作ったSOPは、実際にその業務をやったことのない人に試してもらうのが一番の確認方法です。途中で手が止まった箇所が、書き足りない箇所です。画面のスクリーンショットや記入例を添えると、文章だけより格段に伝わりやすくなります。
保管場所も大切です。共有フォルダの奥深くに置かれたSOPは、存在を知られないまま使われなくなります。業務で使うシステムの画面からリンクする、チームのチャットに固定表示するなど、作業する瞬間に手が届く場所に置いておくと活用されやすくなります。
関連用語
- 業務標準化:SOPの前提となる、やり方をそろえる取り組み
- Runbook(運用手順書):システム運用や障害対応に特化した手順書
- 属人化:SOPによって解消を目指す状態
- ナレッジマネジメント:手順書を含む知識を組織で共有・活用する取り組み
- 関連記事:業務マニュアルの作り方
Otsumuに相談できること
SOPの作成は社内で進められる取り組みですが、どの業務から手を付けるか、手順のどこを自動化に回すかの判断には、業務全体を見渡す視点が必要です。Otsumuの自社サービス運用の自動化コンサルティングでは、業務の棚卸しとSOPの整備、その先の自動化までを一気通貫で支援します。
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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01