共感マップとは
共感マップとは、対象とする顧客や利用者について、何を言い、何をし、何を考え、何を感じているのかを、一枚の図に分けて整理する道具です。エンパシーマップとも呼ばれます。
エンパシーは共感を意味し、相手の立場に立って理解を深めることを目的としています。ペルソナや顧客ヒアリングの結果を整理するときに併用され、チームが同じ顧客像を共有する助けになります。
共感マップの構成と使い方
典型的な構成は、次の要素で成り立ちます。
- 言うこと:インタビューなどで実際に発した言葉。
- すること:観察できた具体的な行動。
- 考えること:発言や行動から推測される考え。
- 感じること:表情や言葉から読み取れる感情。
- 見聞きすること:周囲から受ける影響や情報。
- 課題と成果:障壁となっていること、望んでいる結果。
使い方の鍵は、観察できた事実と、チームの推測を分けて書くことです。「言うこと」「すること」は事実、「考えること」「感じること」は推測を含みます。付箋の色を分けるなど、見分けられる工夫をします。
作成は、調査の後にチームで集まり、一人ずつ事実を書き出して貼り、似たものをまとめる流れが一般的です。空欄の部分は、まだ分かっていない領域として、次の調査課題にします。
実務での使い方・具体例
架空の例として、在宅で働く人向けの時間管理サービスを検討するチームが、面談の後に共感マップを作るとします。「言うこと」には、「会議の合間に何をしていたか思い出せない」という発言を、「すること」には、手帳とカレンダーを両方見て予定を確認していた行動を書きます。
そこから「考えること」に、複数の道具に分散していることを負担に感じているのでは、という推測を書き、推測であることが分かる色にします。
次に、推測が正しいかを確かめる質問を、次の面談で用意します。共感マップは、答えを出す道具ではなく、理解の現在地と、不足している情報を見えるようにする道具です。
よくある誤解と注意点
誤解されやすいのは、共感マップが調査そのものの代わりになるという考えです。マップは、調査で得た情報を整理する道具です。調査をせずに想像で埋めても、思い込みの確認にしかなりません。
また、「考えること」「感じること」を断定的に書くのも注意点です。観察できない内面は、あくまで仮の見立てとして書き、後で確かめます。
さらに、複数の顧客層を一枚にまとめてしまうと、特徴が曖昧になります。対象を一つに絞って作り、必要なら別に作ります。共感を深めるという目的を忘れず、判断や設計に結びつけて使います。
完成したマップは、チームの共有場所に掲示し、新しい発見があれば書き足します。更新の履歴を残しておくと、顧客理解がどう変わったかを振り返れ、判断の経緯を説明する資料にもなります。
作成の場では、事実の根拠となる発言や観察の出典を、付箋に書き添えておくと、後から確認しやすくなります。根拠をたどれる状態にしておくことで、マップが想像の産物になることを防ぎ、チームの議論も、具体的な事実を基点に進められます。
関連用語
- ペルソナ:共感マップとあわせて、顧客像を共有するための道具です。
- 顧客ヒアリング(カスタマーインタビュー):マップに書く事実を集める基本的な方法です。
- インサイト:マップの整理から見えてくる、行動の背後にある理解です。
- ペイン・ゲイン:マップの課題と成果の欄と対応する考え方です。
Otsumuに相談できること
共感マップは、事実と推測の分け方で、使える道具かどうかが決まります。Otsumuでは、調査結果の整理や、顧客理解を事業の判断に結び付ける支援を行っています。
新規事業の戦略づくりは新規事業戦略支援で扱っています。進め方の整理だけでも構いませんので、状況に合わせて30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04