参入障壁とは
参入障壁とは、ある市場に新しく事業者が参入しようとするときに、その参入を難しくする要因のことです。障壁が高い市場では、新しい競合が現れにくく、既存の事業者の優位が守られやすくなります。
ポーターの5フォース分析では、新規参入の脅威を左右する要素として扱われます。新規事業を始める側にとっては、自分たちが乗り越えるべき壁であり、同時に、成功した後に他者の参入を防ぐ守りにもなる点で、二つの面を持ちます。
参入障壁の種類
代表的な種類を整理します。
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 規模の経済 | 大規模なほど単位あたりの費用が下がる | 大量の提供による費用の低減 |
| 差別化 | 既存の事業者の評判や信用 | 長年の実績、ブランド |
| 必要な投資 | 参入に必要な資金や設備 | 初期の大きな投資 |
| 乗り換えの負担 | 顧客が既存の方法を変えにくい | 慣れ、データの蓄積 |
| 販売経路の確保 | 顧客に届ける方法の確保 | 取引先との関係 |
| 制度上の制約 | 許認可や規制 | 営業に必要な許可 |
新規事業の検討では、まず自社が参入する市場の障壁を確認します。特に、制度上の制約は、事業の進め方に大きく影響するため、早い段階で確認する必要があります。許認可や規制の内容は、分野によって異なり、変更されることもあるため、最新の情報は、公的機関や専門家に確認してください。
次に、自社の事業が成功した後に、他者が模倣して参入しにくい理由があるかを考えます。技術の模倣のしやすさ、顧客との関係の深さなどです。
実務での使い方・具体例
架空の例として、専門的な業務の支援サービスへの参入を検討するチームを想定します。必要な初期の投資は小さいものの、顧客の信頼を得る実績がなく、既存の事業者は、長年の取引関係を持っています。
これは、実績という障壁があることを示します。そこで、実績を築く戦略として、特定の分野に絞った小規模な導入から始め、事例を積み上げる計画を立てます。
また、成功した後の守りとして、顧客との継続的な関係や、蓄積されたノウハウが、他者の参入を難しくするかを検討します。技術だけでは模倣される可能性があるため、顧客との関係や運用の質を、強みの中心に置くことを考えます。
障壁の確認には、既に参入している事業者に参入の経緯を聞く方法もあります。つまずいた点や、時間のかかった点を聞くと、公開情報では分からない、実際の障壁の姿が見えてきます。
よくある誤解と注意点
誤解されやすいのは、障壁が低い市場が有望という考えと、高い市場が有望という考えのどちらも単純すぎることです。障壁が低ければ、自社も参入しやすいが、他社も入ってきます。高ければ、自社が参入するのも困難です。自社の状況に合わせて評価します。
また、技術的な優位を、障壁として過信する危険もあります。技術は、時間とともに模倣されることがあります。
さらに、制度上の制約は、見落とすと事業の継続に関わります。内容は変わりうるため、断定せず、最新の情報を確認します。自社にも制約となる点があるかを、事前に調べることが大切です。
障壁の評価を一覧にして、「乗り越える方法」「許容できるか」の観点で整理します。乗り越える方法が見つからない障壁は、事業の前提を見直すきっかけになるため、早い段階で明らかにしておくと有益です。
関連用語
- 5フォース分析:参入障壁を、新規参入の脅威として位置づける枠組みです。
- スイッチングコスト:参入障壁の一つである、顧客の乗り換えの負担です。
- ネットワーク効果:利用者の増加で、後発に対する優位が生まれる現象です。
- 競合分析:市場の競合と、参入しやすさを調べる活動です。
Otsumuに相談できること
参入障壁の評価は、事業の進め方と守り方の両方に関わります。Otsumuでは、市場の参入条件の整理と、実績づくりの戦略について支援を行っています。
新規事業の戦略づくりは新規事業戦略支援で扱っています。進め方の整理だけでも構いませんので、状況に合わせて30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04