セキュリティチェックシートとは
セキュリティチェックシートとは、企業が取引先やSaaSの提供会社などに対して、情報セキュリティの対策状況を確認するために送る質問票のことです。
平たく言えば「あなたの会社に情報を預けても大丈夫か」を確かめるためのアンケートです。新しいサービスを導入するときや、業務を委託するとき、継続取引の定期確認のときなどに求められます。会社ごとに独自の書式があり、ExcelやWebフォームで数十から数百の設問が並ぶことも珍しくありません。業界団体や公的機関が公開しているひな形をもとに作られていることも多くあります。
BtoBのサービスやシステムを提供する会社にとっては、この回答が受注や導入の条件になることがあり、営業上も無視できない存在です。
よく問われる項目
設問は会社によって異なりますが、おおむね次の分野に分けられます。
| 分野 | 設問の例 |
|---|---|
| 組織・体制 | セキュリティの責任者はいるか、方針や規程は文書化されているか、従業員教育をしているか |
| 認証・アクセス管理 | 多要素認証に対応しているか、権限は役割ごとに分かれているか、退職者のアカウントを削除しているか |
| データ保護 | 通信と保存データは暗号化されているか、データの保管場所はどこか、削除の手順はあるか |
| 開発・脆弱性対策 | 脆弱性診断を実施しているか、ライブラリの更新を管理しているか、コードレビューをしているか |
| 運用・監視 | アクセスログを取得・保管しているか、監視体制はあるか、バックアップは取っているか |
| インシデント対応 | 事故発生時の連絡体制と報告期限はあるか、過去に事故はあったか |
| 委託先管理 | 再委託先はあるか、利用しているクラウドサービスはどこか |
| 認証・第三者評価 | ISMSなどの認証を取得しているか、外部の監査を受けているか |
回答の選択肢と書き方
多くの設問は「はい・いいえ・該当なし」で答え、補足欄に説明を書く形式です。「いいえ」と答えること自体が即座に失格になるとは限りません。代わりにどのような対策をしているか、いつまでに対応する予定かを具体的に書くことで、評価が変わることがあります。分からないまま「はい」と答えるのは、後で事実と違うことが判明したときに信頼を大きく損なうため避けましょう。
実務での使い方・具体例
回答の進め方
- 設問を分野ごとに分け、社内の誰が答えられるかを割り振る
- 開発・インフラに関する設問は、開発会社や保守会社にも確認する
- 事実に基づいて回答し、対応できていない項目は代替策や予定を書く
- 回答の根拠となる資料(規程、構成図、診断結果など)を手元にそろえる
- 回答内容を社内で保存し、次回以降の回答に使い回せるようにする
架空の例:スタートアップのSaaS提供会社
ある業務向けSaaSを提供する会社(架空)は、大手企業との商談で初めて数百項目のチェックシートを受け取りました。開発を外部に委託していたため、暗号化やログの保管期間などの設問に自社だけでは答えられず、回答に長い時間がかかりました。この経験から、開発会社と一緒に「よく聞かれる項目の標準回答集」とシステム構成の説明資料を作成し、権限管理や監査ログなど不足していた機能を計画的に追加しました。次の商談からは、回答にかかる時間が大幅に短くなりました。
事前に整えておきたいもの
- セキュリティ方針や情報管理の社内規程
- システム構成図と、利用しているクラウドサービスの一覧
- 暗号化、バックアップ、ログ保管の状況をまとめた資料
- 直近の脆弱性診断の結果と対応状況
- インシデント発生時の連絡体制
よくある誤解と注意点
- すべて「はい」にする必要はない:正直な回答と改善計画の方が、取引先からの信頼につながります。
- 一度答えたら終わりではない:システムの変更や体制の変化に合わせて、回答内容を更新します。
- 開発会社任せにしない:回答の責任はサービスを提供する自社にあります。委託先の対策状況も把握しておきましょう。
- 法令や認証制度の詳細は確認が必要:個人情報の取り扱いや認証制度に関する設問は、最新の要件を公的機関や専門家に確認してください。
関連用語
- 暗号化:チェックシートで必ずといってよいほど問われる対策
- 監査ログ:誰がいつ何をしたかを追える記録。保管期間もよく問われる
- SSO(シングルサインオン):大企業の取引先から対応を求められやすい認証方式
- RBAC(ロールベースアクセス制御):役割に応じて権限を分ける仕組み
- インシデント管理:事故発生時の体制として問われる管理の仕組み
回答のための体制づくりは取引先のセキュリティチェックシートに答えるための開発・運用体制で詳しく解説しています。
Otsumuに相談できること
チェックシートへの回答に詰まる原因は、多くの場合、システムの実態を把握できていないか、必要な機能や運用が不足していることにあります。Otsumuでは、設問をもとにした現状の確認から、権限管理や監査ログなどの機能追加、運用体制の整備までを支援しています。SaaSを提供している場合はSaaS開発、運用中のシステムは保守・運用のページをご覧ください。
大きな商談を控えて回答に困っている場合も、30分の無料相談でご相談ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01