サーバーレスとは
サーバーレスとは、プログラムを動かすためのサーバーの用意、台数の調整、OSの更新といった管理をクラウド事業者に任せ、利用者はプログラムそのものと設定だけを用意すればよい構成や考え方のことです。
名前から「サーバーがない」と誤解されがちですが、実際にはクラウドの中でサーバーは動いています。利用者から見てサーバーの存在を意識しなくてよい、という意味で「サーバーレス」と呼ばれます。
平易に言えば「自家用車を持つ代わりに、乗りたいときだけタクシーを呼ぶ」ようなものです。車の整備や駐車場の心配はいらず、乗った分だけ料金を払います。
関数(ファンクション)単位でプログラムを動かすサービスは FaaS(Function as a Service)とも呼ばれ、サーバーレスの代表的な形です。
仕組み・ポイント
サーバーレスでは、何かのきっかけ(イベント)が起きたときにプログラムが起動し、処理が終わると止まります。
| きっかけ(イベント) | 起動する処理の例 |
|---|---|
| Webやアプリからのリクエスト | APIとして応答を返す |
| ファイルのアップロード | 画像の縮小、CSVの取り込み |
| 決まった時刻 | 夜間の集計、リマインドメールの送信 |
| 外部サービスからの通知 | 決済完了の通知を受けて注文を確定 |
主なサービスの例として、AWS Lambda、Google Cloud の Cloud Run functions、Azure Functions などがあります。データベースやファイル保管、認証も、サーバー管理の不要なマネージドサービスと組み合わせることで、システム全体をサーバーレスで構成できます。
料金は「動いた回数と時間」で決まる従量課金が基本です。利用が少ない時間帯は費用がほとんどかからず、アクセスが急増したときは自動で処理能力が増えます。この性質から、利用量が読めない新しいサービスや、たまにしか動かない処理と相性がよい構成です。
実務での使い方・具体例
ある会社が新規事業として予約サービスのMVPを作る場面を考えます。最初の数か月は利用者が少なく、どのくらい伸びるかも分かりません。
この場合、次のようなサーバーレス構成がよく検討されます。
- 画面は静的ファイルとして配信し、CDNで高速に届ける
- 予約の登録や一覧取得のAPIは関数で動かす
- データはマネージドなデータベースに保存する
- 予約前日のリマインドは、毎日決まった時刻に起動する関数で送る
- 決済サービスからのWebhookを受ける関数で支払い状態を更新する
利用者が少ない間は運用費を低く抑えられ、サーバーの監視やOS更新にも手を取られません。少人数で新しいサービスを立ち上げるときに、開発と検証に時間を使えることが大きな利点です。
導入を判断するときは、次の点を確認しておくと失敗が減ります。
- 一日のうちで利用が集中する時間帯と、ほとんど使われない時間帯の差は大きいか
- 一回の処理にかかる時間は短いか、長時間の処理は含まれないか
- 開発チームに、選ぶクラウドのサーバーレスサービスを扱った経験があるか
- 将来の利用量が増えたときの費用を、ざっくりでも試算したか
既存システムでも、定時のバッチ処理や、ファイル変換のような単機能の処理だけをサーバーレスに切り出す使い方があります。全部を置き換えなくても、部分的に取り入れられるのがサーバーレスの使いやすいところです。
よくある誤解と注意点
- 常に安いわけではない:一日中大量のリクエストが続くシステムでは、常時動くサーバーの方が安くなることがあります。利用量の見込みで比較します。
- 長い処理に向かない:一回の実行時間に上限があるサービスが多く、長時間かかる処理は分割や別の仕組みが必要です。上限値はサービスごとに異なり変わるため、最新情報を確認します。
- 最初の起動が遅いことがある:しばらく使われていないと、最初の呼び出しで起動待ちが発生する「コールドスタート」があります。応答速度が重要な画面では対策を検討します。
- 特定クラウドへの依存:クラウド固有の仕組みに深く依存すると、別のクラウドへ移りにくくなります。業務ロジックを分けて書くなど、移植性にも配慮します。
- 全体像が見えにくい:小さな関数が増えると、どこで何が動いているか把握しにくくなります。構成図と監視の設計を早めに整えます。
関連用語
- コンテナ(コンテナ技術):アプリを環境ごとまとめて動かす技術。サーバーレスと組み合わせることもある
- オートスケーリング:負荷に応じて処理能力を増減する仕組み。サーバーレスでは自動で行われる
- AWS(アマゾンウェブサービス):代表的なサーバーレスサービスを提供するクラウド
- バッチ処理:定時に実行する処理。サーバーレスで置き換えやすい
- 実践記事:サーバーレス構成は自社のシステムに向いているか:判断基準と注意点
Otsumuに相談できること
新規サービスのMVPを低い運用費で立ち上げたい、既存システムの一部をサーバーレスに切り出して運用を軽くしたい、といったご相談に対応しています。利用量の見込みをもとに、サーバーレスが本当に向いているかの判断から一緒に行います。詳しくはクラウド移行をご覧ください。
30分の無料相談で、想定している使われ方を伺い、構成の選択肢を整理します。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01