TAM・SAM・SOMとは
TAM・SAM・SOMとは、市場を「全体」「提供可能な範囲」「当面獲得し得る範囲」の三層に分けて考える枠組みです。市場は大きいと言うだけでは判断材料になりません。どこまでが自社の事業として現実的かを段階的に示すための道具です。
TAMはTotal Addressable Market(獲得可能な市場全体)、SAMはServiceable Available Market(自社の製品やチャネルで届く範囲)、SOMはServiceable Obtainable Market(競合や体制を踏まえて当面獲得できる範囲)の略です。
仕組み・ポイント
三つの範囲は入れ子の関係にあり、外側から内側へ絞るたびに「なぜ絞ったのか」を説明します。
| 区分 | 問い | 絞り込みの根拠の例 |
|---|---|---|
| TAM | その課題を持つ人や組織すべてでどれほどか | 業界の定義、対象となる顧客の種類 |
| SAM | 自社の提供方法で実際に届く範囲はどこか | 地域、対応言語、販売経路、価格帯 |
| SOM | 当面の体制で現実に獲得できるのはどこか | 営業人員、競合、導入までの期間 |
算出には、顧客数に単価を掛ける積み上げ方式と、公開統計から割り引く方式があります。新規事業では、積み上げ方式のほうが前提が見えやすく、検証もしやすい傾向があります。
実務での使い方・具体例
架空の例として、中小規模の工務店向けに現場写真の整理を支援するサービスを検討するとします。TAMは建設に関わる事業者全体、SAMは写真管理が課題で、自社の営業が届く工務店、SOMは最初の事業年度に営業できる件数から見込む数、という順に置きます。
このとき大事なのは、数字そのものより前提の書き方です。「対象は何社と数えたか」「単価は誰に確認したか」「営業できる件数の根拠は何か」を併記すると、社内の承認者や出資者が前提を点検できます。SOMは、検証で得た受注率や商談の進み方が分かるたびに見直します。
説明資料に載せるときの確認点
- 各数字の算出式を、掛け算の形で一行ずつ書いたか
- 対象とする顧客の定義が、三つの範囲で一貫しているか
- 数字が変わったとき、どの前提が動いたのか説明できるか
- 競合や代替手段の存在を、SAMやSOMの絞り込みに反映したか
これらを満たすと、数字の大小を議論する前に、前提の妥当性を議論できる状態になります。数字は「合っているか」より「どの前提で出したか」で評価される点を意識してください。
よくある誤解と注意点
- TAMが大きいことは、事業の魅力の証明になりません。 大きな市場でも、自社が届かなければ売上にはなりません。
- 市場規模の資料から数字を写すだけでは、前提が不明なまま意思決定してしまいます。出典の定義が自社の顧客像と合っているかを確認します。
- SOMを楽観的に置き、後から修正せず放置する例があります。実績と照らして更新する前提で使います。
- 三つの数字を並べるだけで満足せず、各範囲を絞った理由を一文で添えることが説明の核心です。
見直しのタイミング
対象とする顧客の範囲を変えたとき、価格を改定したとき、新しい販売経路が使えるようになったときは、三つの数字を見直します。見直しの履歴を残しておくと、後から「なぜ数字が変わったのか」を説明できます。
関連用語
- ペルソナ:SAMやSOMを考える際の具体的な顧客像
- 顧客開発(カスタマーディベロップメント):SOMの根拠となる顧客獲得の進め方
- 市場セグメンテーション:市場を分けて対象を絞る考え方
- ターゲティング:どの顧客層を狙うかを決める手順
- 関連する実践ノート:用語集全体の背景を実践の流れで確認できます。
Otsumuに相談できること
市場の大きさを根拠付きで説明したい場面では、どこまでを自社の対象とみなすかの整理から一緒に取り組めます。数字の置き方や検証の順番に迷う段階でも、前提を言葉にするところから手伝えます。
新規事業・事業戦略の支援 では、こうした整理を現場の状況に合わせて進めています。まずは考えていることを聞かせていただくだけでも構いません。30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04