分類:企業事例 › 証券・保険・資産運用
この事例の要点
- Brookfield Asset Management(BAM)は、インフラ、再生可能電力・移行投資、プライベートエクイティ、不動産、信用の5分野で、1兆米ドル超の運用資産を持つオルタナティブ運用会社です(Form 10-K、2025年12月期)。
- 手数料の対象となる資本(Fee-Bearing Capital)は2025年末に6,030億米ドルで、前年から12%増え、その87%が長期または永続的な性格の資本と説明されています(Form 10-K、2025年12月期)。
- 2025年の手数料収益は55億米ドル(前年比17%増)、手数料関連利益は30億米ドル(同22%増)でした(Form 10-K、2025年12月期)。
どんな事業か
Brookfield Asset Management Ltd.は、ニューヨークに本社を置くオルタナティブ運用会社で、クラスA株式はニューヨーク証券取引所とトロント証券取引所に共同上場しています。Brookfield(BN)が2022年に組成し、運用事業を担っています(Form 10-K、2025年12月期)。
同社は、年金基金、財団、政府系ファンド、金融機関、保険会社、富裕層など2,400以上の機関顧客から資金を預かり、実物資産や基幹的なサービスを提供する事業に長期で投資します。顧客と利益の方向をそろえるため、Brookfield自身の資本も顧客と並んで投じると説明しています。運用戦略は55以上にのぼります(Form 10-K、2025年12月期)。
収益の仕組み
収益の中心は、預かった資本に対する手数料です。同社の説明から、構造は次のように整理できます。
- 入り口:ファンドを組成し、機関投資家や個人富裕層から資金を集めます。集めた資本が、手数料の対象となる資本になります。
- 課金:基本の運用手数料は、長期かつ継続的な性格を持ち、ファンドの資金調達額、一部のファンドの純資産価値、上場ビークル(BIP、BEP、BBU)の時価総額に連動します。上場ビークルからは、分配が一定の水準を超えた場合の成功報酬も受け取ります。
- 継続:運用成績が一定の条件を超えると、成功報酬のキャリード・インタレストも得ます。ただしこれは売却のタイミングに左右されるため、年ごとのぶれが大きい収益と説明されています。
数字で確かめる
- 手数料の対象資本は6,030億米ドルで、2025年に640億米ドル(12%)増えました。増加の内訳は、資金調達による910億米ドルと、上場関連会社の時価総額の上昇による250億米ドルが中心で、償還や分配による減少を差し引いた結果であることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- その87%は長期または永続的な資本で、収益の安定性と予測のしやすさにつながると同社は説明しており、預かる資金の性格が収益の質を決めることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- 2025年の手数料収益は55億米ドル、手数料関連利益は30億米ドルで、前年比でそれぞれ17%と22%増えました。資本の伸び(12%)よりも利益の伸び(22%)が大きいことが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- 分配可能利益は27億米ドルで前年比14%増にとどまり、同社は法人税の支払いの増加と投資収益の減少が増加幅を抑えたと説明しています(Form 10-K、2025年12月期)。
- 未実行のファンド約束額は1,340億米ドルあり、うち約630億米ドルは手数料の対象外ですが、投資が実行されれば手数料の対象になり、追加で約6.3億米ドルの手数料収益になる見込みと説明されています(Form 10-K、2025年12月期)。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。運用会社の収益は、運用する資産の価格よりも、預かる資本の量と期間に強く結びつきます。長期・永続的な資本が多いほど、手数料は景気の波に影響されにくくなります。BAMの数字では、手数料収益と手数料関連利益が、成功報酬よりも先に紹介されています。収益の柱を「安定した手数料」に置き、成功報酬を上乗せとして扱う設計と読めます。
また、Brookfield自身が顧客と並んで投資すると述べている点は、信頼を得るための仕組みです。預ける側にとって、運用者が自分と同じリスクを負っていることは判断材料になります。一方で、グループ内の上場ビークルから多くの手数料を受け取る構造は、利益相反の管理や、グループ内の資本への依存度を継続的に確認すべき点でもあります。
小さな事業に置き換えると、「単発の仕事を請ける」より、「継続して預かる関係」を作るほうが、収益の見通しが立ちやすくなります。顧問契約、運用代行、保守契約など、資産や業務を長期で預かる形に近づけられるかが問われます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の収入のうち、単発の売上と、継続して預かる関係から生まれる売上の比率はどうなっているか?
- 成果に連動する報酬と、基本となる固定的な報酬の組み合わせを、顧客ごとに設計できるか?
- 顧客と同じ側に立っていることを示す仕組み(自社も一部負担する、成果で分け合うなど)はあるか?
小さく試すなら
- 1週目:過去1年の売上を、単発・継続・成果連動の3つに分けて集計する。
- 2週目:単発の取引が多い顧客を選び、継続で預かる形(月額の顧問・保守・運用など)の提供内容を案にする。
- 3週目:基本料と成果連動を組み合わせた料金案を作り、顧客2〜3社に相談して反応を聞く。
- 4週目:反応をもとに、継続契約に移す条件と、自社が負担する範囲を一枚にまとめる。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:Brookfield Asset Management Ltd. / オルタナティブ資産運用事業。参照資料:Form 10-K(2025年12月期、2026年3月2日提出)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25