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Certara, Inc.「バイオシミュレーション」に学ぶソフトと専門サービスの事業設計

新薬開発の意思決定を支えるシミュレーションのソフトウェアと、専門家による技術支援サービスを組み合わせる米国上場企業の事例です。規制当局にも使われる道具を売る設計を、Form 10-Kから確かめます。

分類:企業事例 › ソフトウェア・SaaS

この事例の要点

  • Certara, Inc.は、薬が体内でどう働くかを数理モデルで予測する「バイオシミュレーション」のソフトウェアと、専門家によるコンサルティング・技術支援サービスを製薬・バイオ企業に提供しています(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 2025年12月期の収益は418,838千ドルで、ソフトウェアが183,275千ドル(18%増)、サービスが235,563千ドル(3%増)でした(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 同社のソフトウェアは世界の20の規制当局にもライセンスされており、「審査する側」と「申請する側」の双方が同じ道具を使う点が特徴です(Form 10-K、2025年12月期)。

どんな事業か

Certara, Inc.は米国の企業で、製薬・バイオ業界向けに、モデルを使って創薬の意思決定を支える「モデルインフォームド創薬開発(MIDD)」の科学、技術、コンサルティングを提供しています。バイオシミュレーションは、生物学的なプロセスを数理モデルで再現して、薬が人体や集団でどう作用するかを理解する手法です(Form 10-K、2025年12月期)。

同社の科学・技術・コンサルティングは、70か国で2,600社を超えるバイオ医薬・バイオテクノロジー企業や大学に使われ、2025年の研究開発費上位40社のうち38社を含むと説明しています。AIについては、検証された科学的枠組みと専門家の関与のもとで使う方針で、単独の自動化システムとしては展開しないとしています(Form 10-K、2025年12月期)。

収益の仕組み

収益は、ソフトウェアの販売とコンサルティング等のサービスの二つです(Form 10-K、2025年12月期)。

  • 入り口:モデリングや分析のソフトウェア(ライセンス、クラウドのサブスクリプション)と、専門家が顧客のプロジェクトを支援するサービスの二つがあります。
  • 課金:ソフトウェアのライセンスは引き渡し時に収益として計上され、サブスクリプションは通常1〜3年の期間にわたって、保守は通常1年にわたって計上されます。サービスは時間・費用ベース、固定料金、前払いの契約です。
  • 継続:既存顧客の需要の強さと関係の拡大、買収した事業の寄与が増収の要因と説明されています。上位10顧客の割合は24%(前期27%)で、単一の顧客が10%を超えることはありませんでした。

数字で確かめる

  • 総収益:418,838千ドル、前期385,148千ドルから9%増。買収分を除く自然増は6%(Form 10-K、2025年12月期)。買収が成長の一部を支えていることが読み取れます。
  • 収益の構成:ソフトウェア183,275千ドル(18%増)、サービス235,563千ドル(3%増)(Form 10-K、2025年12月期)。サービスが収益の過半を占める一方で、ソフトウェアの伸びが大きいことが読み取れます。
  • 顧客の広がり:70か国で2,600社超、上位40社のうち38社が利用(Form 10-K、2025年12月期)。大手製薬から幅広い企業・機関まで使われていることが読み取れます。
  • 規制当局の利用:同社のソフトウェアは、FDA、EMA、PMDA、中国のCDE、MHRAを含む20の規制当局がライセンスしている(Form 10-K、2025年12月期)。申請側の企業にとって、審査側と同じ道具で検討できる意味があることが読み取れます。
  • 損益とキャッシュ:純損失1.6百万ドル(前期は12.1百万ドル)、営業活動によるキャッシュフロー96.3百万ドル(前期80.5百万ドル)(Form 10-K、2025年12月期)。会計上の損益が小さい一方で、営業キャッシュフローは創出されていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は「ライセンス(知的財産・ブランド)」と「コンサルティング」を組み合わせた構造と読めます。ソフトウェアだけを売ると、顧客は使いこなせるまでに時間がかかります。専門家のサービスを合わせることで、道具の使い方と成果の出し方を同時に提供し、顧客内での関係が深まると考えられます。サービスが収益の過半を占めつつ、ソフトウェアの伸びが大きいのは、サービスで得た知見を製品に取り込み、製品がさらに案件を呼ぶ循環を示唆します。

もう一つの特徴は、ソフトウェアを規制当局も使っている点です。薬の承認では、データを説明できる透明性や再現性が求められます。審査する側と同じ道具を使えることは、申請する側にとって、結果を説明するときの安心につながると考えられます。AIも「専門家が関与する」前提で組み込むとしており、説明責任が重い領域でAIの価値を出すときの組み立て方として参考になります。ただし、買収が成長に寄与しているため、自然増6%と合わせて読む必要があります。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の製品と専門家の支援は、互いに相手を強める循環になっていますか。それとも別々の事業になっていませんか。
  • 自社の成果物は、第三者(審査者・取引先・監督者)が信頼できる形で説明できますか。それを使いやすくする仕組みはありますか。
  • AIを使うとき、人が確認する工程をどこに置くと、顧客が安心して採用できますか。

小さく試すなら

  1. 直近1年の支援案件から、何度も繰り返した分析や作業を3つ選び、手順を文書にします。
  2. その1つを、顧客自身が使えるテンプレートまたは簡易ツールにして、既存顧客2〜3社に2〜4週間試してもらいます。
  3. 顧客が使ったあとの質問や間違いを集め、人が確認すべき工程と自動化できる工程に分けます。
  4. ツールの利用料と、確認サービスの料金を分けた2本立ての価格案を作り、顧客に見せて反応を記録します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Certara, Inc. / バイオシミュレーションのソフトウェアと技術支援サービス。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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