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Confluent「Confluent Cloud/Platform」に学ぶオープンコアと従量課金の事業設計

Apache Kafkaを生んだ創業者が興したConfluentの、オープンソース由来の普及と従量課金クラウドへの移行を、10-K(2025年12月期)の売上構成から読み解き、無償と有償の線引きを考える事例です。

分類:企業事例 › ソフトウェア・SaaS

この事例の要点

  • Confluentは、オープンソースのApache Kafkaを土台に、自社開発の機能を加えたデータストリーミング基盤を、サブスクリプションで提供しています。同社は「オープンソースの出自が、市場開拓の重要な推進力」だと説明しています。
  • 入り口は、クラウドの従量課金(pay-as-you-go)とコミュニティ向けの提供です。利用が増えた顧客を営業チームが引き継ぎ、本番利用や契約型の取引へ進めると記載しています。
  • 売上の中心は、利用量に応じて計上するConfluent Cloudへ移っています。自社運用型のConfluent Platformは、ライセンスと保守(PCS)の組み合わせです。

どんな事業か

Confluent, Inc.は米国デラウェア州で設立され、カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置く企業で、ナスダック・グローバル・セレクト市場に上場しています(Form 10-K、2025年12月期)。事業の中核は、データを「流れ(ストリーム)」として扱うData Streaming Platformです。創業者がLinkedIn在籍中の2011年に生み出したApache Kafkaを基盤としています(Form 10-K、2025年12月期)。

提供形態は複数あります。完全マネージド型のクラウドサービスConfluent Cloud、自社環境に置けるConfluent PlatformとConfluent Private Cloud、顧客のクラウド内にデータを置いたまま使えるBYOC型のConfluent WarpStreamです。同社は主にこれらのサブスクリプションの販売で売上を得ています(Form 10-K、2025年12月期)。

収益の仕組み

同社の10-K(2025年12月期)の説明を、入り口から継続までの流れに並べると、次のようになります。

  • 入り口:クラウドの従量課金で、開発者が気軽に使い始められるようにしています。コミュニティ向けにダウンロードできる提供もあります。
  • 課金:Confluent CloudとWarpStreamの収益は、大半が利用量に基づいて計上されます。Confluent PlatformとPrivate Cloudは、年次または複数年のサブスクリプションです。
  • 拡大:営業チームが初期の利用を引き継ぎ、本番利用や、従量課金から契約型へ進む取引を支援します。
  • 無償の公開:自社で開発した多くの機能を、Confluent Community Licenseのもとで提供し、ソースコードの閲覧や改変ができると説明しています。

数字で確かめる

  • 2025年12月期の売上高は1,166,748千ドルで、前年から21%増えました。うちサブスクリプションが1,119,724千ドル(売上の96%)です(Form 10-K、2025年12月期)。売上のほぼすべてが継続課金に支えられていることが読み取れます。
  • Confluent Cloudの売上は623,633千ドルで、売上全体の54%を占めました。前年は51%、2023年は45%です(Form 10-K、2025年12月期)。従量課金のクラウドへ重心が移っていることが読み取れます。
  • Confluent Platformはライセンスが131,917千ドル(11%)、保守サポート(PCS)が364,174千ドル(31%)です(Form 10-K、2025年12月期)。自社運用型では、導入後の保守が収益の主な部分であることが読み取れます。
  • 顧客数は約6,690社(前年は約5,800社)で、年間経常収益(ARR)10万ドル以上の顧客は1,521社(前年は1,381社)でした。ドルベースの純拡大率は114%です(Form 10-K、2025年12月期)。小口から大口まで顧客が広がり、既存顧客の利用拡大が続いていることが読み取れます。
  • 売上の43%は米国外の顧客からです(Form 10-K、2025年12月期)。公開された技術を入り口に、海外にも需要が広がっていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例の特徴は、無償の入り口が「導入の障壁を下げる」役を果たし、有償の部分が「運用を任せたい」「大規模に安全に使いたい」という次の悩みに当たっている点です。Kafka自体は誰でも使えますが、止めずに動かし続ける運用は手間がかかります。そこにマネージドの価値が生まれます。

もう一つは、課金の単位を利用量に置いたことです。小さく始めた顧客が、使うほど自然に支払いが増えます。売上構成でクラウドの比率が上がっていることは、この設計が機能していることの一つの表れと考えられます。ただし、利用量連動の売上は、顧客の使い方の変化で上下しやすいとも同社は記載しています。

無償部分の公開は、競合が同じ技術で似たサービスを作れることにもつながります。そのため、無償と有償の線を、機能・運用の手間・サポートのどこに引くかが、継続的な設計課題になります。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の提供物のうち、無償で公開して利用者を増やせる部分はどこで、「運用を任せたい」と感じる有償部分はどこか。
  • 課金の単位を、席数や契約ではなく、利用量に置き換えると、小さく始めた顧客の支払いは自然に増える設計になるか。
  • 無償の利用者から有償の顧客へ移るとき、誰が、どの合図(利用量・問い合わせ・機能の要望)で次の提案をするか。

小さく試すなら

  1. 自社の提供物を、「誰でも自力で使える部分」と「任せたい部分(運用・保守・設定・分析)」に分けて一覧にします。
  2. 既存の顧客や見込み客の数人に、どこで手間や不安を感じたかを聞き、有償にして成り立つ候補を2〜3個に絞ります。
  3. 候補の一つを、利用量に応じた小さな料金(例:使った分だけの月額)で、限られた相手に提示します。
  4. 2〜4週間のうちに、申し込み数と、無償のままで足りたと言われた理由を記録し、無償と有償の線を引き直します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Confluent, Inc. / Confluent Cloud・Confluent Platform。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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