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ダイキン工業株式会社の空調事業に学ぶ事業設計:機器販売と保守サービス

空調・冷凍機事業が売上高5兆150億36百万円(2026年3月期)の大半を占め、保守・修理サービス・部品販売の収益化を全社テーマに掲げるダイキン工業。機器の販売にサービスを重ねる構造を一次資料から読みます。

この事例の要点

  • ダイキン工業株式会社の2026年3月期の売上高は5兆150億36百万円(前期比5.5%増)、営業利益は4,149億91百万円(前期比3.3%増)で、空調・冷凍機事業、化学事業、その他事業の3セグメントで構成されています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 空調・冷凍機事業の売上高は4兆6,211億31百万円(前期比5.4%増)、営業利益は3,769億91百万円(前期比7.4%増)で、連結の売上と利益の大半を占めています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 同社は当期の全社横断テーマの一つに「グローバルでのサービス・ソリューション事業の加速」を掲げ、「保守・修理サービス・部品販売の収益化」に取り組んだと説明しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

どんな事業か

同社グループは、戦略経営計画「FUSION25」のもと、当期は販売力・営業力強化、新商品投入の加速、サプライチェーンの強化、コストダウンの極大化、グローバルでのサービス・ソリューション事業の加速、デジタル投資の成果創出という6テーマを経営トップ直轄の全社横断テーマとして定めました(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

空調・冷凍機事業では、国内でビル用マルチエアコン「VRV 7」、既設配管を再利用して更新できる「VRV Q」シリーズ、住宅用の『うるさらX』などの高付加価値商品を中心にユーザー提案を強化しています。海外は米州、中国、アジア・オセアニア、欧州、中近東・アフリカで住宅用・業務用・アプライド空調機器を展開し、フィルタ事業、舶用事業なども同セグメントに含まれます。化学事業はフッ素化学製品、その他事業は油機、特機、電子システムです(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

収益の仕組み

売上の中心は空調機器の販売で、同社は「利益率重視の販売施策」と「拡販と売価維持・アップの両立」を掲げています。米州では販売価格政策・コストダウンの推進により利益率の改善に努め、アプライド空調事業ではサービス事業の拡大も相まって販売が伸長しました。中国のアプライド空調機器市場では、サービス・保守事業の強化、省エネ更新・改造提案を強化したと説明しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

費用面では、ベースモデルのコストダウン、銅からアルミ、ステンレスなどへの材料置換、米国関税措置の対応に取り組んだと説明されています。化学事業の営業利益は半導体需要減速の影響を大きく受け、前期比28.3%減の330億89百万円となりました。費用の金額の内訳は今回参照した公開資料には示されていません(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

数字で確かめる

  • 売上高5兆150億36百万円、前期比5.5%増(2026年3月期)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。中国やアジア・オセアニアで減収となった地域があっても、全体では増収を保ったことが読み取れます。
  • 営業利益4,149億91百万円(3.3%増)、売上高営業利益率8.3%(前期8.5%)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。増収ながら利益率はわずかに下がったことが読み取れます。
  • 空調・冷凍機事業の営業利益3,769億91百万円(7.4%増)、化学事業の営業利益330億89百万円(28.3%減)、その他事業の営業利益49億25百万円(8.4%増)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。空調の増益が化学の減益を吸収した構造が読み取れます。
  • 営業活動によるキャッシュ・フロー4,658億48百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フロー3,222億39百万円の支出(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。設備投資を営業キャッシュ・フローの範囲内で行っていることが読み取れます。
  • 2026年度の連結業績予想は売上高5兆1,500億円(2.7%増)、営業利益4,360億円(5.1%増)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。売上の伸びより利益の伸びを高く見込んでいることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は「ハードウェア+サービス」の型で読むことができます。空調機器という設置型のハードウェアを販売し、その後の保守・修理サービス・部品販売、省エネ更新・改造提案、機器更新に向けた提案で継続的な収益を得る構造です。同社がアプライド空調で「循環型ソリューション事業への転換加速」を掲げているように、一度設置した機器の台数が、その後のサービス収益の土台になると読めます。「VRV Q」シリーズが既設配管を再利用して更新できる点は、既存の設置基盤を次の販売につなげる設計と考えられます。

この型が成り立つ条件は、機器の販売網と、その後の保守を担う体制の両方を持つことです。同社はアプライド空調で「販売網、保守・保全メニュー、機器更新に向けた提案力、計装エンジニアリング力」を挙げており、販売店の開発・育成が各地域の説明に繰り返し出てきます。裏側では、地域ごとに販売店を育て、保守メニューを整え、更新時期の顧客に提案する仕事が必要になると読めます。

トレードオフとして、ハードウェアの販売は住宅投資や天候、流通在庫、関税といった外部要因で動きます。米州では住宅用の需要停滞、アジア・オセアニアでは低温・多雨による需要低迷が説明されています。保守・修理サービス・部品販売の収益化を全社テーマに置くのは、外部要因に左右されにくい収益の比率を上げる狙いと考えられます。ただし今回参照した資料にはサービス収益の金額は示されていません。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が販売したモノは、その後の保守・消耗品・更新につながる接点として管理されているか。
  • 販売と保守を担う人や販売店に、サービスを売る動機(収益の分配、メニュー)を用意しているか。
  • 需要が外部要因で振れたとき、サービス収益がどの程度の下支えになるかを数字で把握しているか。
  • 既存顧客の「更新時期」を把握し、更新を自社に取り込む提案の仕組みがあるか。

小さく試すなら

  1. 過去に販売した製品・設備の設置先を一覧にし、保守契約の有無と最終接触時期を書き出す。
  2. 保守契約のない設置先から20〜30件を選び、2〜4週間で点検・部品交換・更新の提案を行い、成約率と一件あたりの収益を記録する。
  3. 販売部門と保守部門で収益の分け方を仮に決め、提案する側に動機が生まれるかを確かめる。
  4. 成約率と収益が見込めるなら、保守メニューを標準化し、更新時期が近い顧客に順番に提案する運用に移す。

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資料の位置づけ

企業・サービス:ダイキン工業株式会社 / 空調機器の製造・販売・保守。参照資料:2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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