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株式会社エラン「CSセット」に学ぶ事業設計:施設を通じて個人に届けるレンタル

病院・介護施設に入院・入所する人へ、衣類やタオルの洗濯付きレンタルと日用品を組み合わせて提供するエラン。導入施設2,830施設、売上高55,448百万円(2025年12月期)の事業構造を一次資料から読み解きます。

この事例の要点

  • 株式会社エランは、病院や介護老人保健施設等に入院・入所する人に対し、衣類・タオル類の洗濯サービス付きレンタルと日常生活用品の提供を組み合わせた「CS(ケア・サポート)セット」を主力として展開しています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 2025年12月期の連結売上高は55,448百万円(前期比16.7%増)、営業利益は4,272百万円(同19.5%増)でした(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 当期の新規契約施設数は359施設、解約施設数は99施設で、期末のCSセット導入施設数は前期末から260施設増えて2,830施設になりました(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

どんな事業か

同社グループは、病院に入院する人や、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホーム等の介護施設に入所する人を対象に、CSセットを提供する介護医療関連事業を営んでいると説明しています。営業活動は、当期に営業を開始した神戸支店を含む全国30ヶ所の本支店・営業所から施設に対して行われます。利用者は入院・入所者個人ですが、営業の相手は施設です(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

CSセットの商流は、施設との契約形態の違いから2つに分かれます。一つは施設と同社グループが直接契約する「当社元請け」、もう一つは施設の契約先がリネンサプライ業者等となり、同社グループは施設と直接の契約関係を持たない「業者元請け」です。この違いは施設への接触経緯等によるもので、運営における各関係者の役割に違いはないと説明しています。当期は、TMC VIET NAM TRADING AND SERVICE JOINT STOCK COMPANYを連結範囲に加えています。事業環境としては、65歳以上人口が3,618万人、総人口の29.4%を占めるなど高齢化が進行しており、サービスの市場規模は拡大するものと思われると述べています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

収益の仕組み

収益は、施設に導入されたCSセットを入院・入所者が利用することで生まれます。同社は今後の方針として、新規導入施設数の増加と利用者数の増加を推進すると述べており、収益の増減が「導入施設数」と「施設内の利用者数」の2段階で決まる構造が読み取れます(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

費用面については、今回参照した公開資料には費用の内訳は示されていません。財政状態の説明からは、売掛金及び契約資産が1,242,756千円、商品が311,340千円、貯蔵品が362,171千円増加したことが分かります。投資活動では有形固定資産の取得による支出1,107,407千円、連結の範囲の変更に伴う子会社株式の取得による支出1,082,019千円があります(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

数字で確かめる

  • 売上高55,448百万円(前期比16.7%増)、営業利益4,272百万円(同19.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,767百万円(同17.5%増)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。利益が売上を上回る率で伸びており、規模の拡大が採算改善につながっていることが読み取れます。
  • 売上高営業利益率7.7%(前期7.5%)、総資産経常利益率17.5%、自己資本比率55.1%(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。利益率は一桁台ながら資産の回転が速いことが読み取れます。
  • 新規契約359施設、解約99施設、期末導入施設数2,830施設(前期末比260施設増)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。施設数の純増が売上成長の源泉であることが読み取れます。
  • 営業活動によるキャッシュ・フロー4,285百万円、投資活動によるキャッシュ・フロー△3,385百万円(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。営業で得た資金の多くを設備と買収に再投資していることが読み取れます。
  • 2026年12月期の連結業績予想は売上高60,800百万円(前期比9.7%増)、営業利益5,000百万円(同17.0%増)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。翌期も利益の伸びが売上の伸びを上回る計画であることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は「レンタル・リース」と「B2B2C」の2つの型を重ねた構造と読めます。衣類やタオルを洗濯付きでレンタルすれば、利用者は必要な期間だけ使え、同社にとっては1人の利用が終わっても資産が次の利用者に回ります。有形固定資産の取得に1,107,407千円を投じていることは、資産の回転が事業の土台であることを示すと考えられます。

B2B2Cの観点では、営業の相手(施設)と利用者(入院・入所者)が異なります。施設に導入されれば、その施設に入る人が順次利用者になるため、営業の単位は施設1件でも、売上は利用者数の積み上げで生まれます。新規359施設に対し解約99施設という数字は、施設側にも導入を続ける理由があることを示すと読めます。裏側で必要な仕事は、施設の業務に負担をかけずにセットの供給と洗濯を回す運営であり、2つの商流で役割を変えないという説明は、運営の標準化を示すと考えられます。

トレードオフは、施設の開拓と資産の投資が先行し、利益率は7.7%と厚くない点です。翌期の予想で利益の伸びが売上の伸びを上回るのは、同社がシステム化による業務効率化を掲げていることと整合します。施設を介して個人に届ける事業では、施設数を増やす営業と、施設あたりの運営コストを下げる仕組み化の両方が必要だと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社のサービスは、最終利用者に直接売るより、利用者が集まる「場」を持つ組織に導入してもらう方が届きやすいか。
  • 導入先の組織にとって、自社サービスを入れる負担と利点は何か。運営の手間を自社側で引き受けられるか。
  • 顧客が「所有」している物のうち、必要な期間だけ「借りる」形に置き換えられるものはあるか。

小さく試すなら

  1. 最終利用者が集まる組織(施設、学校、職場など)を候補として挙げ、その組織が利用者に代わって手配している物やサービスを聞き取りで洗い出す。
  2. 候補の1〜2組織に、補充などの運営を自社が引き受ける形でレンタルの試行を提案し、2〜4週間の利用で組織側の手間と利用者の反応を記録する。
  3. 試行期間中のレンタル資産1点あたりの利用回数と、供給・回収にかかる作業時間を計測する。組織側が継続を希望し、資産の回転が想定を満たせば次の導入先に進む。

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資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社エラン / 入院・入所者向けレンタルサービス「CSセット」。参照資料:2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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