分類:企業事例 › メディア・広告・ゲーム
この事例の要点
- 株式会社Gunosyのメディア事業は、コンテンツパートナーから記事などを調達して利用者に無料で届け、広告枠などを広告主に提供して収益を得る事業で、その構造を会社自身が図解で説明しています。
- 同社は、グノシーではDAUや継続率、CPMなど、ゲームエイトではPV数とRPMを重要指標として示しており、広告売上を要素に分けて管理しています。
- ユーザー数の計画未達、KDDIとの業務提携契約の終了予定、生成AIによる情報取得行動の変化など、売上を動かす要因を同社自身が開示しています。
どんな事業か
株式会社Gunosyは、事業をメディア事業、Gホールディングス事業、新規事業の3セグメントに区分しています(2026年5月期 決算短信)。このうちメディア事業について、同社は「当社グループの基盤として安定的にキャッシュを創出する事業群」と位置づけています(2026年5月期 決算短信)。
メディア事業を構成するのは、同社が運営する「グノシー」「ニュースライト」、KDDI株式会社と共同で提供する「auサービスToday」、そして子会社の株式会社ゲームエイトが運営する国内外のゲーム攻略メディアなどです(2026年5月期 決算短信)。
利用者はこれらのサービスを無料で使います。費用を負担するのは、利用者に広告を届けたい広告主です。ゲームエイトについては、ゲーム攻略メディアを通じた広告収入を軸に、攻略サイトの広告、自社サイト以外での広告施策、SNS運用代行などのソリューションを提供していると同社は説明しています(2026年5月期 決算説明資料)。
収益の仕組み
同社は、メディア事業のビジネスモデルを次のような流れで説明しています(2026年5月期 決算説明資料)。
- コンテンツパートナーからコンテンツを調達する
- 利用者には無料でサービスを提供する
- 利用者に広告を配信する広告枠などを広告主に提供し、広告主から収益を得る
- コンテンツパートナーにはレベニューシェアを支払う
収入は広告主から入り、コンテンツの調達に対してはレベニューシェアの支払いが生じる構造です。auサービスTodayについては、売上と費用の一部をKDDIと分け合うモデルだと注記されています(2026年5月期 決算説明資料)。自社単独のメディアと、共同提供のメディアとで、取り分の決まり方が異なることになります。
数字で確かめる
- 2026年5月期の連結売上高は6,441百万円(前期比5.6%増)、メディア事業の売上高は5,470百万円(同9.6%減)、セグメント利益は1,163百万円(同18.3%減)でした(2026年5月期 決算短信)。連結では増収でも、基盤と位置づけるメディア事業は減収減益だったことが読み取れます。
- 同社は、グノシーなどのニュースキュレーションメディアで、コンテンツに対する利用者の反応が想定を下回ったことなどから、ユーザー数が計画未達になったと説明しています(2026年5月期 決算短信)。広告売上の土台が、コンテンツへの反応に左右されることが読み取れます。
- グノシーの重要指標として、DAU、継続率、DAUあたり広告表示回数、CPM(1,000回表示あたりの広告単価)、Sales/DAU(利用者あたり売上)が示され、ゲームエイトではPV数とRPM(1,000回表示あたりの収益額)が示されています(2026年5月期 決算説明資料)。ニュースアプリと攻略サイトとで、追う指標を変えていることが読み取れます。
- KDDIとのauサービスTodayに関する業務提携契約は2027年3月末で終了予定で、同社は2028年5月期以降の関連収益の喪失リスクへの対応を重要な経営課題と認識しているとしています(2026年5月期 決算短信)。共同提供先との契約が、収益の前提になっていたことが読み取れます。
- 同社は、生成AIの普及で利用者の情報取得行動に変化が生じ、ニュースメディアを中心に構造的な影響が発生している可能性を認識していると述べています(2026年5月期 決算短信)。利用者がメディアに来る経路そのものが変わり得ることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。広告モデルのメディアは、「読まれる内容を出し続ける能力」と「広告を売る能力」という、性質の異なる二つの能力がそろって成り立つとOtsumuは見ます。前者は編集や調達、配信の改善の仕事で、後者は広告主や配信の仕組みと向き合う仕事です。片方だけが強くても売上にはならず、しかも両方に継続的な手間がかかります。
同社が開示する指標の並びは、この二つの能力に対応していると読めます。DAUと継続率はコンテンツ側の成果を、DAUあたり広告表示回数とCPMは広告側の成果を映します。売上が落ちたときに、利用者が減ったのか、表示回数が減ったのか、単価が下がったのかを切り分けられなければ、打ち手を誤りやすいと考えられます。
トレードオフも見えます。コンテンツを外部から調達し、配信を提携先と共同で行う形は、立ち上げを速くする一方で、相手の方針や契約期間に収益が左右されます。また、人が集まっても、その人たちが広告主の求める相手でなければ単価はつきません。集客だけで採算が成立するとは限らない、というのがこの型の難しさだと考えられます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社のメディアやアプリで、売上を利用者数、利用者あたりの表示回数、広告単価に分けて毎月追えているでしょうか。
- 読まれる内容を継続して供給する仕事と、広告を販売する仕事は、それぞれ誰が担っているでしょうか。片方が手薄になっていないでしょうか。
- 集客や配信を、特定の提携先や流入経路にどの程度頼っているでしょうか。その契約や仕様が変わったときの影響を見積もっているでしょうか。
- 利用者の情報収集の手段が変わったとき、自社のコンテンツが選ばれ続ける理由は何でしょうか。
小さく試すなら
- 読者の課題を一つに絞ります。幅広い話題を扱うのではなく、特定の人が繰り返し調べる必要のあるテーマを一つ選び、その課題に答えるコンテンツを少数つくります。
- 2〜4週間ほど配信を続け、再訪の割合や読了の様子を記録します。ここで分かるのは、その課題に継続して読む理由があるかどうかです。
- 並行して、その読者に接点を持ちたい広告主の候補に話を聞き、求める相手の条件と、成果として何を見たいかを確認します。読者の実像と広告主が求める相手が一致しているかどうかが、次へ進む判断材料になります。
- 一致が見えたら、小さな広告枠を実際に販売し、利用者あたりの表示回数と単価を記録します。一致しない場合は、テーマの選び直しか、広告以外の収益源の検討に戻ります。
資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社Gunosy / ニュースキュレーションアプリ「グノシー」、ゲーム攻略メディアなど(メディア事業)。参照資料の対象:2026年5月期 決算短信・決算説明資料(2026年7月15日公表)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。
編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20