この事例の要点
- 株式会社インフォマートは、企業間の受発注や請求書をクラウドで処理する「BtoBプラットフォーム」を運営し、2025年12月期の売上高は18,817百万円(前年度比20.4%増)、営業利益は2,863百万円(138.6%増)でした(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 2025年12月末の「BtoBプラットフォーム」全体の企業数は1,251,169社(前連結会計年度末比101,870社増)で、有料・無料を含む利用企業の広がりが売上の土台になっています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 2024年9月のサーバーのクラウド移行でデータセンター費が大幅に減少し、売上総利益の増加が販売費及び一般管理費の増加を吸収したと説明されています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
どんな事業か
同社グループは当社と連結子会社2社で構成され、中期経営方針として「本業(BtoBプラットフォーム)の強化」などを掲げています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
セグメントは2つです。「BtoB-PF FOOD事業」は、外食チェーン、ホテル、旅館、給食などフードサービス業界向けの「BtoBプラットフォーム 受発注」、食品卸企業と外食個店のデジタル化を推進する「TANOMU」、「BtoBプラットフォーム 規格書」からなります。2025年12月末の「受発注」の買い手企業数は4,311社(前連結会計年度末比207社増)、売り手企業数は48,106社(同1,973社増)です。「BtoB-PF ES事業」は、「BtoBプラットフォーム 請求書」、見積から発注・請求までをクラウド管理する「BtoBプラットフォーム TRADE」、「BtoBプラットフォーム 商談」からなります。「請求書」の企業数は1,242,776社(同102,016社増)で、その内数である受取側契約企業数は8,837社、発行側契約企業数は6,353社、合計15,190社です(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
収益の仕組み
収入はシステム使用料売上とセットアップ売上が中心です。利用企業数と料金水準が売上を決める構造です。2025年12月期は、「受発注」の2024年8月の料金改定と「請求書」の4月からの料金改定によりシステム使用料が増加しました(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
同社は企業数を「有料及び無料で利用する企業数」と定義しており、「請求書」では企業数1,242,776社に対し契約企業は合計15,190社で、契約企業(受取側・発行側)が料金を払い、その取引先が無料で参加する形と読めます(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
費用面では、売上原価は2024年9月のクラウド移行でデータセンター費が大幅に減少しました。販売費及び一般管理費は、営業及び営業サポート人員の補強による人件費、販売促進費、株式会社タノムの子会社化に伴うのれん償却費が増加しました。2025年12月期にはシステム開発に伴う無形固定資産の取得に1,553百万円を支出しました(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
数字で確かめる
- 売上高18,817百万円、前年度比3,186百万円(20.4%)増(2025年12月期)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。利用企業数の増加と料金改定の両方が効いたことが読み取れます。
- 営業利益2,863百万円、前年度比1,663百万円(138.6%)増、売上高営業利益率15.2%(前期7.7%)(2025年12月期)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。増収率を大きく上回る増益で、データセンター費の減少が利益率に直結したことが読み取れます。
- BtoB-PF FOOD事業は売上高11,930百万円(19.9%増)、営業利益2,757百万円、BtoB-PF ES事業は売上高6,886百万円(21.2%増)、営業利益106百万円(前年度は営業損失746百万円)(2025年12月期)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。利益の大半をフード領域が生み、前年度に営業損失だったES事業が黒字化したことが読み取れます。
- 「請求書」の企業数1,242,776社に対し、契約企業数は合計15,190社(2025年12月末)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。有料契約者の取引先が無料で参加し、企業数の裾野が広がる構造が読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は「法人調達プラットフォーム」と「サブスクリプション」の型です。買い手(外食チェーン等)や請求書の受取・発行企業が料金を払い、その取引先はプラットフォーム上で無料または低い負担で参加する。一社の契約が多数の取引先を連れてくるため、企業数は契約数を大きく超えて広がります。「請求書」の企業数1,242,776社に対して契約企業15,190社という数字は、その構造の結果と読めます。
成り立つ条件は、料金を払う側にとって取引先を巻き込むことが自分の業務効率になることです。受発注や請求書は相手がいなければ成立しない業務なので、取引先が増えるほど支払う側の効果も増えます。料金改定が増収に寄与した点は、業務に組み込まれた基盤には価格の見直しを受け入れる余地があることを示していると考えられます。トレードオフは、利用企業数を増やす段階ではES事業のように営業損失が続くことです。2025年12月期にES事業が黒字化したのは、料金改定と利用拡大が固定的な費用を上回った結果と読めます。データセンター費の削減のような原価側の構造変更も利益率を大きく動かすと考えられます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の顧客が料金を払うとき、その顧客の「取引先」も巻き込める業務はあるか。巻き込まれた側が無料でも参加する理由は何か。
- 一社の契約が何社の参加者を連れてくるかを測っているか。その比率を高める設計はできるか。
- 売上の伸びとは別に、原価側で構造的に下げられる費用(サーバー、拠点、手作業)はないか。
小さく試すなら
- 既存顧客の業務のうち、相手先とのやり取りが発生するもの(発注、請求、見積、規格情報)を洗い出し、自社が両者の間に入れる業務を1つ選ぶ。
- 契約顧客3〜5社にその取引先を無料で招待してもらい、招待された側が実際に使うか、使わない理由は何かを4週間で確かめる。
- 利用が定着すれば、一契約あたりの参加社数と、参加者が別の契約者とも取引しているかを数え、契約側の料金を「参加者数」や「処理件数」に応じた段階制にして次の3〜5社で試す。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社インフォマート / BtoB受発注・請求書「BtoBプラットフォーム」。参照資料:2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27