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この事例の要点
- 株式会社カカクコムの「価格.com」は、掲載店舗やサービス提供者から、送客数や販売実績、見積もり依頼や契約などの成果に応じた手数料を得ています。
- 収益を認識する時点は事業によって異なり、ショッピングはクリックまたは購入の時点、サービスは見積もりや資料請求の申込み、契約の締結などの時点です。
- パソコンの買い替え需要でショッピングが好調だった一方、金利上昇などを受けて住宅ローンの減収が続いたと同社は説明しており、送客先の業界の状況が手数料に表れています。
どんな事業か
カカクコムは、価格比較サイト「価格.com」、飲食店情報サイト「食べログ」、求人検索エンジン「求人ボックス」などを運営する会社です(2026年3月期 決算短信)。
価格.comでは、次の事業を行っていると説明されています(2026年3月期 有価証券報告書)。
- 掲載店舗から送客数や販売実績に応じて手数料収入を得るショッピング事業
- サービス提供者から成果(見積もり依頼、資料請求、契約等)に応じた手数料収入を得るサービス事業
- バナーやテキスト広告などを販売する広告事業
サイトを使うのは、商品やサービスを比べて選びたい利用者です。お金を払うのは、その利用者に来てほしい掲載店舗やサービス提供者、広告主です。価格.comの月間利用者数は、2026年3月度で3,101万人と記載されています(2026年3月期 決算短信)。
収益の仕組み
手数料がどの時点で発生するかは、有価証券報告書の収益認識の説明から分かります(2026年3月期 有価証券報告書)。
- ショッピング事業の手数料:閲覧者が掲載店舗のバナーをクリックした時点、または掲載店舗で商品を購入した時点で収益を認識する
- サービス事業(金融、通信など)の手数料:閲覧者が見積もりや資料請求を申し込んだ時点や、契約を締結した時点等で認識する
つまり、扱うカテゴリによって、クリック、購入、申込み、契約と、成果の置き場所が変えられています。
同じ会社の別の事業では、また違う形がとられています。求人ボックスについて、決算説明資料は、掲載は無料でリスティング広告がクリックされた場合のみ手数料が発生し、手数料は1クリック25〜1,000円以内の入札方式だと説明しています(2026年3月期 決算説明資料)。費用の内訳は、今回参照した記載の範囲では確認できません。
数字で確かめる
- 2026年3月期の連結売上収益は941億27百万円(前年同期比20.0%増)、営業利益は272億43百万円(同7.0%減)でした(2026年3月期 決算短信)。会社全体では増収減益の期だったことが読み取れます。
- 価格.com事業の売上収益は236億11百万円(同0.1%減)、セグメント利益は125億48百万円(同6.9%増)でした(2026年3月期 決算短信)。売上がほぼ横ばいでも、利益は増えていることが読み取れます。
- 価格.com事業の内訳は、ショッピング80億9百万円、サービス95億87百万円(金融41億8百万円、通信28億64百万円、自動車17億73百万円、その他8億42百万円)、広告27億86百万円、保険32億30百万円です(2026年3月期 決算短信)。送客型の手数料(ショッピングとサービス)が事業の中心で、サービスのなかも複数の領域に分かれていることが読み取れます。
- 決算短信は、Windows10のサポート終了に伴うパソコンの買い替え需要でショッピングが好調だった一方、金融領域では金利上昇などを受けて住宅ローンの減収が続いたと説明しています(2026年3月期 決算短信)。送客手数料が、送客先の業界の需要に左右されることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。比較サイトは、利用者の「どれにしようか」という迷いが集まる場所であり、購入や申込みの直前にいる人を送り出せることが、送客先にとっての価値になります。そのため、事業の土台は比較そのものの有用性にあるとOtsumuは見ます。比較が役に立つから、買う気のある人が集まります。買う気のある人が来るから、送客先は手数料を払い続けます。比較の有用性が送客の質を支えている、という順序です。
裏側で必要になるのは、比較に使う情報を正確に、新しく保つ仕事と、送客のあとに何が起きたかを計測する仕事だと考えられます。クリックで課金するなら計測は単純ですが、送客先は成果の出ないクリックにも払うことになります。契約で課金するなら送客先は払いやすくなりますが、契約の成立を把握する仕組みが要り、収入が入る時期も遅くなります。成果をどこに置くかは、カテゴリごとの購入の流れと、計測のしやすさの兼ね合いで決まると読めます。
トレードオフとして見落とせないのは、報酬と評価の関係です。手数料の高い送客先を目立たせれば短期の収入は増えますが、利用者が比較を信用しなくなれば、土台が崩れます。報酬の条件と、利用者に役立つ評価や並び順との関係を、透明にしておく必要があるとOtsumuは考えます。また、手数料は送客先の業界の需要に連動するため、複数のカテゴリに分散させることが、変動を和らげる条件になると考えられます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の比較・紹介の情報は、利用者が購入を判断するのに本当に必要な項目を押さえているでしょうか。
- 成果の定義は、クリック、購入、申込み、契約のどこに置くのが、自社のカテゴリに合っているでしょうか。その成果を自社で計測できるでしょうか。
- 報酬の有無や多寡が、掲載の順序や評価に影響していないでしょうか。影響がある場合、利用者にどう伝えているでしょうか。
- 送客先の業界の需要が落ちたとき、収入の落ち込みを補える別のカテゴリを持っているでしょうか。
小さく試すなら
- 対象にする購入判断を一つに絞ります。最近その商品やサービスを選んだ人に話を聞き、何と何を比べたか、決め手になった項目、調べても分からなかった項目を書き出します。
- 聞き取った項目で小さな比較ページをつくり、少数の送客先と、成果の定義と報酬の条件を決めます。報酬があることは、ページ上で利用者に分かるように示します。
- 2〜4週間を目安に公開し、比較ページから送客先に移った人が、移った先で期待どおりの情報や条件に出会えたかを確認します。送客先からも、来た人の質について感想を聞きます。
- 比較項目が判断に使われ、遷移先での期待のずれが小さければ、カテゴリや送客先を増やします。ずれが大きい場合は、比較項目の見直しか、送客先の選び直しに戻ります。
資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社カカクコム / 価格.com(ショッピング・サービスの送客)。参照資料の対象:2026年3月期 決算短信・有価証券報告書・決算説明資料。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。
編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20