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北の快適工房(健康美容商品の自社EC直販)

北の達人コーポレーションの「北の快適工房」は、広告で獲得した新規顧客の定期購入で収支を回収する自社EC直販です。初回ROAS 64.0%など、新規獲得と継続を分けた採算の開示から、獲得費の見方を学べます。

分類:企業事例 › 小売・EC

この事例の要点

  • 自社オリジナルブランドの化粧品や健康食品を、主にインターネット上で一般消費者に販売しています。売上高の約8割が自社サイト等によるものです。
  • 自社サイト等は、先行する広告投資で初回収支がマイナスになり、継続的な購入でプラスになる定期購入型だと同社は説明しています。
  • 「販売利益」という管理会計上の指標を使い、新規獲得、定期及びその他、ECモールに分けて広告の投資効率を開示しています。

どんな事業か

北の達人コーポレーションは、自社オリジナルブランドの健康美容商品や美容家電等を販売する「ヘルス&ビューティーケア関連事業」を展開しています。主力の「北の快適工房」では、顧客ニーズに対して効果を体感しやすいオリジナルブランドの化粧品や健康食品を、主にインターネット上で一般消費者向けに販売しています(2026年2月期決算短信)。

主な顧客層は40代以降です。商品は基本的に1か月で使い切る設計で開発していると同社は説明しています(2026年2月期決算短信)。使い切る周期が決まっていることが、定期購入という届け方とかみ合っています。

獲得チャネルは、自社運営のECサイト経由の「自社サイト等」と、Amazonや楽天市場等の「ECモール」の二つです(2026年2月期決算短信)。

収益の仕組み

二つのチャネルは、収支の回収のしかたが異なります(2026年2月期決算短信)。

  • 自社サイト等:先行する広告投資により初回収支はマイナスになるが、継続的に購入されることで収支がプラスになる定期購入型
  • ECモール:一度の購入で収支をプラスにする単品買い切り型

同社は、売上の約7割が定期顧客によって支えられているとしています(2026年2月期決算短信)。

費用の見せ方にも工夫があります。同社は、売上総利益から「販売促進費等」を差し引いた「販売利益」という管理会計上の指標を使っています。販売促進費等は、注文連動費と、ほとんどが広告宣伝費である新規獲得費からなります(2026年2月期決算短信)。広告にいくら使い、どの段階でどれだけ戻ってきたかを、段階ごとに示すための指標です。

お金を払う人・対価自社サイト等の定期購入顧客ECモールの単品購入顧客健康食品・化粧品のEC販売かかる費用新規獲得費(広告宣伝費)注文連動費
図1 北の達人コーポレーションの収益の流れ(2026年2月期決算短信にもとづく整理)。

数字で確かめる

  • 連結売上高112億1,025万円(前年比5.2%減)、営業利益10億99万円(同40.3%減)(2026年2月期決算短信)。全体の損益だけを見ると減収減益の期であることが読み取れます。
  • 「北の快適工房」の売上高100億2,857万円、販売利益39億4,325万円(2026年2月期決算短信)。連結売上の大半をこのブランドが占めることが読み取れます。
  • ①新規獲得は売上高17億3,649万円に対し販売利益はマイナス18億5,754万円、初回ROASは64.0%(2026年2月期決算短信)。獲得の段階では、売上を上回る費用をかけていることが読み取れます。
  • ②定期及びその他は売上高64億1,067万円、販売利益47億8,217万円(2026年2月期決算短信)。利益の源泉が継続購入の段階にあることが読み取れます。
  • ③ECモールは売上高18億8,139万円、販売利益10億1,862万円(2026年2月期決算短信)。買い切り型でも単独でプラスの収支になっていることが読み取れます。
  • 自社サイト等の新規顧客獲得人数は前年同期比18%増(2026年2月期決算短信)。減益の期に、将来の定期顧客の候補は増えていることが読み取れます。
  • 同社は、生成AIを活用して広告クリエイティブの制作量と質を高めていると説明しています(2026年2月期決算短信)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。D2Cにサブスクリプションと広告による獲得を組み合わせたこの型では、初回の売上だけを見ても事業の良し悪しは判断できないとOtsumuは考えます。獲得費を将来の継続で回収する設計だからです。新規獲得を増やした期ほど全体の利益は減って見えるため、段階を分けて示す指標がなければ、投資なのか単なる費用増なのかを区別できません。

成り立つ条件は、獲得した顧客が実際に続けてくれることです。ここでOtsumuが重視するのは、顧客群ごとの実績を追うことです。ある月に、ある広告経路で獲得した顧客が、その後何回買ったか。これを追わなければ、初回ROASの基準が妥当かどうかを検証できないと考えられます。

裏側には、広告クリエイティブを作り続ける仕事と、定期顧客に毎月届ける仕事があります。トレードオフは、獲得の速度と回収の確かさです。広告費を増やせば新規顧客は増えますが、継続しにくい顧客まで獲得すれば、回収できない費用が積み上がると考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の損益を、「新規獲得」と「継続」に分けて示せますか。
  • 初回の広告費をどこまでかけてよいかの基準を、数値で決めていますか。
  • 獲得した月や広告経路ごとに、その後の継続状況を追えていますか。
  • 返品や配送費を含めても、回収の計算は成り立ちますか。

小さく試すなら

  1. 広告経路を二つか三つに絞り、経路ごとに、獲得した顧客の初回の売上と、初回にかかった広告費、配送費、返品分を記録する表を作ります。
  2. 同じ表に、二回目以降の購入による利益を顧客群ごとに追記していく欄を設けます。初回の利益と継続の利益は、必ず別の列にします。
  3. 2〜4週間の獲得分について、経路ごとの初回の収支を比べます。この時点で分かるのは初回の効率だけなので、結論は保留します。
  4. その後の継続の実績を同じ顧客群で追い、どの経路の顧客が回収に至るかを確認します。回収の見通しが立った経路から広告費を増やし、立たない経路は訴求や商品の組み合わせを見直します。

資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社北の達人コーポレーション / 北の快適工房(健康美容商品の自社EC直販)。参照資料の対象:2026年2月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。

編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20

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