この事例の要点
- Lam Researchは、成膜、エッチング、洗浄を中心とするウエハー製造装置とサービスを半導体業界に供給しています(Form 10-K、FY2026)。
- FY2026の売上高は23,232,690千ドルで、うちシステム(装置)が14,885,488千ドル、顧客サポート関連その他が8,347,202千ドルでした(Form 10-K、FY2026)。
- 顧客サポート事業グループ(CSBG)は、導入済み装置の性能を最大化するための製品とサービスを提供します。内容は顧客サービス、スペアパーツ、アップグレード、再生品などです(Form 10-K、FY2026)。
どんな事業か
Lam Research Corporationは、Nasdaq Global Select Market(ティッカー:LRCX)に上場する米国の企業で、ウエハー製造装置の世界的な供給者と自社を説明しています。FY2026は2026年6月28日に終了しました。従業員は2026年8月4日時点で約23,300人で、26%超が研究開発に従事しています(Form 10-K、FY2026)。
FY2024からFY2026までの主要顧客として、Micron Technology、Samsung Electronics、SK hynix、Taiwan Semiconductor Manufacturing Companyの名が挙げられています(Form 10-K、FY2026)。
収益の仕組み
同社の売上は、2つの区分で開示されています(Form 10-K、FY2026)。
- 入り口:システム売上。顧客の工場に導入される新しい装置の販売です。
- 課金:顧客サポート関連その他の売上。スペア、アップグレード、サービス、再生品の提供で、導入した装置の運用に応じて発生します。
- 継続:導入済みの装置が増えるほど、その装置を使い続ける顧客に対するサポートの対象が広がります。
市場別ではファウンドリーがFY2026に54%(FY2025は45%)を占めました。
数字で確かめる
- 総売上はFY2026が23,232,690千ドル、FY2025が18,435,591千ドルで、26.0%増でした(Form 10-K、FY2026)。装置の需要拡大が売上全体を押し上げていることが読み取れます。
- 顧客サポート関連その他の売上は8,347,202千ドルで、FY2025の6,944,311千ドルから約20.2%増えました。総売上に占める比率は約35.9%(FY2025は約37.7%)です(Form 10-K、FY2026、比率の計算は編集部)。装置の売上と並ぶ規模の収益が、導入後のサポートから生まれていることが読み取れます。
- 中国の売上比率はFY2026とFY2025が約34%、FY2024が約42%、米国外の売上は3年とも約93%でした(Form 10-K、FY2026)。海外と特定地域への依存が大きいことが読み取れます。
- 研究開発費は2,375,873千ドルで、売上高の10.2%でした(Form 10-K、FY2026)。技術の更新に継続して投資していることが読み取れます。
- 純利益は7,265,396千ドル、営業活動によるキャッシュフローは5,857,657千ドルでした(Form 10-K、FY2026)。装置の増収が利益とキャッシュにつながっていることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は、「保守・消耗品によるリカーリング」と「ハードウェア+サービス」の型で読めます。装置を一度導入した顧客は、その装置を安定して動かし続ける必要があります。スペアやアップグレードは、導入した装置の数に応じて増える需要であり、新規の装置販売とは別の収益の柱になっていると考えられます。
この型で重要なのは、装置を売る時点で、その後の関係を設計しておくことだとOtsumuは見ます。サポートの売上が装置売上の約6割近い規模(計算は編集部)になっているのは、導入後に顧客が頼る理由を、同社が製品として整えているためと読めます。
トレードオフは、顧客と地域の集中です。主要顧客が少数で、中国向けの比率も年によって大きく動いています。サポートの収益は導入済みの装置に支えられる一方、顧客の設備投資の判断は外部環境に左右される点は、設計時に織り込む必要があると考えられます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の納品物には、導入後に手入れや更新が必要になる部分がありますか。
- その手入れを、顧客任せではなく自社の製品やサービスとして用意できていますか。
- 新規案件と導入後の売上の比率を、自社は把握していますか。
小さく試すなら
- 過去の納品物ごとに、納品後1年以内に顧客が行った手入れ・更新・交換を洗い出します。
- その中で頻度が高い項目を2〜3つ選び、部品、更新、点検のいずれかとして提供する案を作ります。
- 2〜4週間のあいだに、既存顧客の3〜5社へ案を見せ、必要性と購入の意向を確認します。
- 意向があった1項目を、1〜2社で試験提供し、提供にかかる工数と売上を記録します。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:Lam Research Corporation / 成膜・エッチング装置と顧客サポート。参照資料:Form 10-K(FY2026、2026年6月28日終了年度)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25