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ライオン株式会社「オーラルヘルスケアと日用品」に学ぶ事業ポートフォリオの事業設計

ハミガキ・ハブラシなどのオーラルヘルスケアを含む一般用消費財、産業用品、海外事業で売上高4,220億92百万円を上げる構造です。ブランドの整理と高付加価値化で利益を伸ばした動きを、2025年12月期の決算短信から確かめます。

分類:企業事例 › 食品・消費財

この事例の要点

  • ライオン株式会社は、一般用消費財事業、産業用品事業、海外事業などで事業を展開し、2025年12月期の売上高は422,092百万円(前期比2.2%増)、事業利益は30,760百万円(同16.8%増)でした(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 増益の要因として、高付加価値の新製品の発売による高収益化と、調理関連品ブランド「リード」の他社への譲渡などの収益構造改革施策が挙げられています(同上)。
  • 海外では、最重点事業であるオーラルヘルスケアの事業拡大に努めたと説明されています(同上)。

どんな事業か

ライオン株式会社は東京証券取引所に上場し、決算短信はIFRS(国際会計基準)で作成されています。一般用消費財事業は、オーラルヘルスケア、ビューティケア、ファブリックケア、リビングケア、薬品、その他の6分野で構成されると説明されています。オーラルヘルスケア分野は「ハミガキ」「ハブラシ」「デンタル用品」等で構成されます(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

産業用品事業は、タイヤ用ゴムの防着剤等のモビリティ分野、二次電池用導電性カーボン等のエレクトロニクス分野、油脂活性剤等のライフケミカル分野、施設・厨房向け洗浄剤等の業務用洗浄剤分野などで構成されています。同社は当期より3か年の中期経営計画「Vision2030 2nd STAGE」を開始し、「収益力の強靭化」をテーマに、事業ポートフォリオマネジメントの強化などの施策に取り組んだと述べています(同上)。

収益の仕組み

決算短信の記載から、収益の構造は次のように整理できます。整理はOtsumuによるもので、事実は資料の記載の範囲です。

  • 入り口:日常で使い、生活者が自分で選ぶ家庭用の消費財。さらに歯科ルート向け製品など、専門家を経由する販路も持っています。
  • 課金:製品の販売。ハミガキでは「システマハグキプラス ハミガキ」「クリニカPRO ハミガキ」などが前期を大幅に上回り、歯ぐきの修復力を高めて歯槽膿漏をトータルでケアする新製品「デントヘルス 薬用ハミガキ DX プレミアム」が好評と記載されています。
  • 継続:複数の分野で、ブランドを分けて展開すること。事業ポートフォリオの見直しにより、調理関連品ブランド「リード」を他社に譲渡し、前期には薬品分野の一部ブランドも他社に譲渡したと記載されています。

数字で確かめる

  • 連結:売上高422,092百万円(前期比2.2%増)、事業利益30,760百万円(同16.8%増)、営業利益36,368百万円(同28.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益27,587百万円(同30.1%増)(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。売上の伸びより利益の伸びが大きいことが読み取れます。
  • 一般用消費財事業:売上高258,874百万円(前期比1.6%増)、事業利益21,634百万円(同21.3%増)(同上)。収益構造改革施策等の推進により、増益幅が大きくなったことが読み取れます。
  • オーラルヘルスケア分野:売上高80,223百万円(前期比4.7%増)。ファブリックケア分野は56,086百万円(同1.8%減)、リビングケア分野は20,984百万円(同2.2%減)(同上)。分野によって増減が分かれていることが読み取れます。
  • 海外事業:売上高177,999百万円(前期比3.6%増)、事業利益8,180百万円(同25.5%増)。事業利益の売上高に対する割合は約4.6%です(同上)。伸び率は高い一方、利益率は一般用消費財事業の8.4%より低いことが読み取れます。
  • 財政状態:資産合計528,596百万円、親会社所有者帰属持分比率61.1%(同上)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は、日用品を幅広く扱いつつ、分野ごとの伸びと採算を見て、残す事業と手放す事業を分けている点が特徴と読めます。決算短信は、増益の要因として新製品による高収益化と、ブランドの譲渡を並べて挙げています。売上を増やすだけでなく、利益が出にくいブランドを整理することも、収益力を高める手段として位置づけられているように見えます。

オーラルヘルスケアでは、「システマ」「クリニカ」といった既存ブランドの上位に、より高い価格帯の新製品を足しています。同じ分野の中で、悩みの深さに合わせた商品を段階的に並べる設計と読めます。価格帯を分けることで、より価値の高い商品を選ぶ顧客からの収益を、既存の顧客基盤の上に積み上げられると考えられます。歯科ルート向け製品が好調だったという記載も、専門家の推奨が高付加価値品の選択を後押しする可能性を示唆します。

海外は、伸び率は高いものの、利益率は国内の一般用消費財事業より低い水準です。決算短信は海外のオーラルヘルスケアを最重点としているため、利益を出しやすい分野に絞って広げる方針と読めますが、その理由までは資料に書かれていません。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の商品・サービスのうち、売上は大きいが利益が薄いものはどれですか。続ける理由と、整理する条件は何ですか。
  • 同じ顧客基盤に対して、より価値の高い上位メニューを足す余地はありますか。
  • 専門家や第三者の推奨が効く販路は、自社にもありますか。

小さく試すなら

  1. 自社の商品・サービスを一覧にし、売上と、わかる範囲の粗利を並べて、利益が薄いものを3つ選びます。
  2. 選んだものについて、続ける場合に必要な条件(価格改定、数量、取引先の見直しなど)を1行ずつ書き出します。
  3. 最も売れている商品の上位版を1案つくり、既存顧客の一部に2〜4週間案内して、選ぶ人の割合を記録します。
  4. 結果をもとに、上位版を正式に出すか、整理する商品を決めるかを判断します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:ライオン株式会社 / オーラルヘルスケアと日用品。参照資料:2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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