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lululemon athletica inc.「アスレチックウェアの直販」に学ぶ事業設計

自社で企画し外部工場で生産したアスレチックウェアを、直営店とEコマースで顧客に直接届けるブランドの事業です。Net revenue $11.1 billionのForm 10-K(FY2025)から、直販と製造小売の仕組みと関税の影響を確かめます。

この事例の要点

  • lululemonは、テクニカルなアスレチックウェア、フットウェア、アクセサリーを企画・流通・販売する企業で、直営店、Eコマース、その他のチャネルで顧客に届けています(Form 10-K、FY2025)。
  • 2025年度のNet revenueは5%増の$11.1 billionで、Americasが1%減だった一方、中国本土が29%増、Rest of Worldが16%増でした(Form 10-K、FY2025)。
  • Gross marginは260 basis points低下して56.6%、Operating marginは380 basis points低下して19.9%となりました。Operating marginの低下は、米国の関税引き上げとde minimis措置の撤廃が主な要因とされています(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

同社は、ヨガ、ランニング、トレーニングなどに向けたパンツ、ショーツ、トップス、ジャケットやアクセサリーをlululemonブランドで展開しています。2025年度のNet revenueに占める割合は、女性向けが63%、男性向けが24%、アクセサリー・その他が13%でした。同社は顧客を「guests」と呼び、垂直型の小売戦略と顧客との直接のつながりによってフィードバックを集め、商品設計に取り込めると説明しています(Form 10-K、FY2025)。

同社は30か国で事業を行い、報告セグメントはAmericas、China Mainland、Rest of Worldの3つです。2025年度のNet revenueに占める割合はAmericasが71%、中国本土が16%、APACとEMEAが13%でした。2026年2月1日時点の直営店は811店舗で、このほかにアウトレット、期間限定店、フィットネススタジオなどへの卸売、中古品を下取り・再販する「Like New」、第三者によるライセンス・供給契約の店舗があります(Form 10-K、FY2025)。

生産は限られた数の外部サプライヤーに委託しており、同社は製造施設を所有・運営していません。約51のベンダーと取引し、うち5社が製品の47%を生産しました。2025年度は製品の40%がベトナムで製造されています(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

収益の中心は、直営店とEコマースを通じた顧客への直接販売です。同社は店舗とデジタルを統合したオムニチャネルを運営し、オンラインで購入して店舗で受け取る、店舗の在庫からEコマースの注文を出荷するといった仕組みを持っています。2025年度は直営店のNet revenueが1%増、Eコマースが8%増でした(Form 10-K、FY2025)。

費用側では、2025年度のCost of goods soldが$4,818,468 thousand、Selling, general and administrative expensesが$4,066,556 thousandでした。関税の引き上げとde minimis措置の撤廃による軽減前の影響で、2025年度のGross profitは約$275 million押し下げられたと説明されています。米国のEコマース顧客への販売の多くはカナダの物流センターから出荷されており、de minimis措置の撤廃が出荷コストを増やしたとしています(Form 10-K、FY2025)。

数字で確かめる

  • Net revenue:$11,102,600 thousand(2024年度は$10,588,126 thousand)(Form 10-K、FY2025)。前年度から増収を続けていることが読み取れます。
  • Gross profit:$6,284,132 thousand、Gross margin:56.6%(2024年度は59.2%)(Form 10-K、FY2025)。売上総利益の水準は保ちつつ、率が低下したことが読み取れます。
  • Income from operations:$2,210,615 thousand(2024年度は$2,505,697 thousand)(Form 10-K、FY2025)。増収でも営業利益が減ったことが読み取れます。
  • 地域別Net revenue:Americas $7,847,044 thousand(1.0%減)、中国本土 $1,754,799 thousand(28.9%増)(Form 10-K、FY2025)。成長の中心がAmericas以外に移っていることが読み取れます。
  • Sales per square foot:2025年度$1,426(2024年度は$1,574)(Form 10-K、FY2025)。Americasの既存店売上の減少が店舗効率に表れていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は「D2C」と「製造小売(SPA)」の型で読むことができます。自社で商品を企画し、外部工場で生産し、自社の店舗とサイトで売ることで、卸売業者を介さずに利益を確保し、顧客の声を商品開発に直接生かせます。56.6%というGross marginの水準は、ブランドと直販を組み合わせた構造の強さを示していると読めます。

この型が成り立つ条件は、顧客が価格ではなくブランドと機能で選んでくれることです。同社が独自素材の開発、アンバサダーを活用したマーケティング、店舗での体験に投資していることは、その条件を維持するための仕事と考えられます。裏側では、新しいスタイルを投入する頻度と速さ、店舗とオンラインをまたぐ在庫の一元管理、ベトナムなど特定国に集中した生産の管理が欠かせません。

トレードオフは、生産を海外に依存しながら自社で在庫と販売のリスクを抱えるため、関税や為替の変化がそのまま利益率に響くことです。Americasでは値引きの増加で商品利益率が下がったとも説明されており、新しさで選ばれ続けなければ、直販の強みがかえって在庫と値引きの負担になりうると読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の商品は、顧客が価格以外の理由で選んでくれる状態になっているでしょうか。
  • 顧客の声を商品企画に取り込む経路は、直接の販売接点から設計されていますか。
  • 生産や調達が特定の国や取引先に集中しているとき、コスト上昇をどう吸収しますか。

小さく試すなら

  1. 直販チャネルで得た顧客の声(レビュー、問い合わせ、返品理由)を集め、商品改善につながる要望を分類します。
  2. 最も多い要望に応える小さな改良品か限定品を一つ企画し、少量だけ用意します。
  3. 2〜4週間、自社サイトや店舗の一部で販売し、販売数、値引きなしでの売れ行き、再購入の意向を確かめます。
  4. 定価で売れることが確認できれば、生産量を増やし、要望を商品に反映する定例の流れにするかを判断します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:lululemon athletica inc. / アスレチックウェアの直販。参照資料:Form 10-K(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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