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OTSUMU KNOWLEDGE

株式会社日本マイクロニクスの半導体検査用プローブカードに学ぶ事業設計

半導体ウェーハ検査でテスタとチップをつなぐプローブカードを主力とする事業です。売上高は70,173百万円。顧客の生産量に連動する需要を、設備投資と研究開発で取り込む設計が学べます。

この事例の要点

  • 同社の主力製品プローブカードは、ウェーハ検査工程でチップの電極にピンを接触させ、テスタと半導体チップを接続するコネクタのような役割を担うと説明しています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 生成AIの普及を背景に拡大するHBM(広帯域メモリ)需要を取り込み、売上高は70,173百万円(前年同期比26.1%増)でした(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 業績予想は、市況変動が激しく通期の予測が難しいとして、各四半期の決算発表時点で2四半期先を開示する方式をとっています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

どんな事業か

同社の報告セグメントは、プローブカード事業とTE事業の2つです。プローブカード事業は、半導体製造のウェーハ検査工程で使われるプローブカードを扱います。現在はメモリ向けプローブカードが市場優位性を持つとし、中長期的にはノンメモリ向けの拡販を目指すと説明しています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

当期は、HBM向け需要を確実に取り込み、好調に推移しました。一方、NANDフラッシュ向けのプローブカード需要の回復は緩やかで、ノンメモリ分野では車載半導体市場の回復の遅れがあるなか、新規顧客の開拓などで底堅く推移したとしています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

TE事業は、半導体検査で使うテスタ、マニュアル・セミオートウェーハプローバ、実装組立後の検査で使うパッケージプローブ(テストソケット)を扱います。新製品としてテスタ「Testalio」、マニュアルプローバ「Excelyze」の開発と拡販を進め、中長期での業績回復を目指すとしています。中期経営計画「FV26」の中間年度として、青森工場新棟への設備投資と研究開発投資を積極的に行いました(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

収益の仕組み

収益の中心は、半導体メーカーなどの顧客へのプローブカードの販売です。当期の売上高のうちプローブカード事業が68,525百万円を占め、TE事業は1,648百万円でした。TE事業ではパッケージプローブが安定的に売上げに貢献したとしています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

費用面では、今回参照した公開資料には費用の内訳は示されていません。キャッシュ・フローの説明からは、有形固定資産の取得による支出が19,372百万円、減価償却費が5,494百万円であったことが分かります。今後も次世代HBMに対応する新技術や、高性能ロジック製品向けの垂直型プローブカードの研究開発を進めるとしています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

数字で確かめる

  • 売上高70,173百万円(前年同期比26.1%増)、営業利益16,542百万円(前年同期比31.6%増)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。需要拡大を利益に結びつけていることが読み取れます。
  • 売上高営業利益率は23.6%(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。売上高に対して営業利益の割合が高い構造が読み取れます。
  • プローブカード事業は売上高68,525百万円、セグメント利益20,844百万円。TE事業はセグメント損失892百万円(前年同期は1,191百万円の損失)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。利益がほぼプローブカードに依存していることが読み取れます。
  • 2025年のプローブカード市場成長率は2024年比12%増で、同社の通期売上高は2024年比26%増と市場を上回ったとしています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。シェアを広げている可能性が読み取れます。
  • 投資活動によるキャッシュ・フローは△21,692百万円(前年同期は7,834百万円の支出)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。生産能力の増強に資金を振り向けていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。今回の決算短信には、プローブカードがどの程度の頻度で交換・再購入されるかの記載はありません。そのうえで「消耗品の定期補充」の型で読むと、この事業の需要は、顧客が装置を新しく買うかどうかよりも、顧客の検査工程がどれだけ動くか、新しい製品がどれだけ立ち上がるかに連動する性質を持つと考えられます。HBMのような先端メモリの増産局面で売上が伸びていることは、その連動を示していると読めます。

この型が成り立つ条件は、顧客の検査工程に採用され、次の世代の製品でも選ばれ続けることです。そのため、裏側では顧客の次世代製品に合わせた研究開発と、需要の波に応えられる生産能力が欠かせないと考えられます。同社が青森工場新棟の増産と次世代HBM向けの技術開発を同時に進めている点は、この二つの仕事に対応していると読めます。

トレードオフは、需要が特定の用途に集中するほど、その市況の変動をそのまま受ける点です。同社自身が通期予想を出さず2四半期先の予想にとどめているのは、この不確実性を反映したものと読めます。ノンメモリ向けやTE事業の育成は、依存先を分散するための取り組みと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の売上は、顧客の「購入の決定」と「利用量」のどちらに連動しているか。
  • 顧客の次の製品や工程に合わせて、先回りして開発しておくべきものは何か。
  • 需要が急増したとき、どこが最初の供給制約になるか(人、設備、材料)。
  • 売上の大半を占める用途が落ち込んだとき、支えになる別の用途や顧客はあるか。

小さく試すなら

  1. 主要顧客ごとに、自社製品の購入量と顧客側の生産量・稼働状況の関係を過去の取引記録から並べる(1週目)。
  2. 購入量が利用量に連動している顧客を選び、次の購入時期を予測して、その予測を担当者と答え合わせする(2週目)。
  3. 予測が当たった顧客に対して、次の製品や工程の予定を事前に共有してもらう打ち合わせを試す(3〜4週目)。
  4. 事前共有で受注の見通しが立てやすくなれば、生産計画や在庫の持ち方を顧客別に見直す段階に進む。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社日本マイクロニクス / 半導体検査用プローブカード。参照資料:2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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