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Novartis「イノベーティブ医薬品への集中」に学ぶ新製品で世代交代する事業設計

スイスNovartis AGの2025年Form 20-Fから、Sandoz分離後の売上545億ドル、新製品の高い伸びとジェネリック競合による減少が同時に進む構造を確かめます。主力の世代交代を設計する学びです。

この事例の要点

  • Novartis AGは、2025年の継続事業の売上を545億ドル(前年比8%増)、コア営業利益を219億ドル(売上比40.1%)としました(Form 20-F、FY2025)。
  • Kisqali(48億ドル、58%増)、Kesimpta(44億ドル、37%増)、Pluvicto(20億ドル、43%増)、Scemblix(13億ドル、87%増)などが伸びる一方、ジェネリック競合が売上を6ポイント押し下げました(Form 20-F、FY2025)。
  • 同社は自らを「イノベーティブ医薬品に集中した会社」と位置づけ、2025年にも複数の企業買収を実施しています(Form 20-F、FY2025)。

どんな事業か

Novartis AGは、スイスのバーゼルに本社を置く医薬品会社で、1996年にチバガイギーとサンドの合併により設立されました。2025年末の従業員数は75,267人(フルタイム換算)、製品は約120カ国で販売されています。重点領域は、心血管・腎・代謝、免疫、神経科学、がんの4つです(Form 20-F、FY2025)。

組織は、Biomedical Research、Development、Operations、およびUS・Internationalの2つの販売部門の5つの組織単位で構成されています。ジェネリック医薬品のSandozは分離されており、2025年の数値は継続事業ベースで示されています(Form 20-F、FY2025)。

収益の仕組み

収益の中心は、特許で保護された医薬品の販売です。製品の入れ替えが事業の運営の中心になります。

  • 入り口:自社研究に加え、企業買収で候補を取り込む。2025年にAnthos Therapeutics、Regulus Therapeutics、Tourmaline Bioを買収し、Avidity Biosciencesの買収にも合意したと説明されています。
  • 課金:医薬品の販売。分野別では、がん168億ドル、免疫103億ドル、心血管・腎・代謝90億ドル、神経科学60億ドル、確立ブランド125億ドルでした。
  • 継続:慢性疾患向けの製品は長期の使用が前提で、専門薬局向けの患者支援プログラムなどで利用を支える。一方で特許切れ後はジェネリック競合で売上が減ります。

以上はいずれもForm 20-F(FY2025)に記載の数値・説明です。

数字で確かめる

  • 売上は545億ドル(8%増)で、数量が15ポイント押し上げ、ジェネリック競合が6ポイント、価格が1ポイント押し下げました。販売量の伸びが売上を牽引していることが読み取れます(Form 20-F、FY2025)。
  • Entrestoは77億ドル(1%減)で、2025年第3四半期に米国でジェネリックが参入しました。主力製品でも特許切れで売上が下がり始めていることが読み取れます(Form 20-F、FY2025)。
  • Kisqali 48億ドル、Kesimpta 44億ドル、Pluvicto 20億ドル、Scemblix 13億ドルはいずれも大幅に伸びました。新しい主力が育っていることが読み取れます(Form 20-F、FY2025)。
  • 確立ブランドは125億ドルで7%減でした。特許期間を過ぎた製品群が減っていくことが前提の構造であることが読み取れます(Form 20-F、FY2025)。
  • 研究開発費は112億ドル(前年は100億ドル)でした。コア営業利益率40.1%を確保しながら、研究開発にも投資していることが読み取れます(Form 20-F、FY2025)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は、主力商品の寿命が限られていることを前提に、次の主力を育てて入れ替え続ける「世代交代型」の事業設計として読めます。Entrestoの減少とKisqaliやPluvictoの急成長が同じ年に同時に起きていることは、世代交代が計画的な営みであることを示していると考えられます。

もう一つ注目するのは、分野の絞り込みです。Sandozを分離して4つの重点領域に集中し、外部企業の買収で候補を補っている点は、自社で全てをまかなわず、集中する分野に資源を寄せる設計と読めます。

この型の弱点は、世代交代のタイミングを外すと売上が落ち込むことです。新製品の立ち上がりと既存製品の減少の速さを並べて監視することが、運営の核になると考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の主力商品は、いつまで今の売上を保てるでしょうか。次の主力はすでに育っていますか。
  • 自社が集中する分野はどこで、集中しない分野は切り離す・外部に任せることができるでしょうか。
  • 新商品の立ち上がりと既存商品の減少を、同じ画面・同じ会議で見ているでしょうか。

小さく試すなら

  1. 主力商品ごとに、直近2年の売上と、競合・代替品の影響を一覧にします(1週目)。
  2. 次の主力候補を2〜3件選び、立ち上がりの指標(問い合わせ数、受注数など)を決めます(2週目)。
  3. 既存商品の減少幅と新商品の増加幅を同じ表に並べ、差し引きの見通しを作ります(3週目)。
  4. 差が大きい場合に、外部との提携・買収で補える領域があるかを洗い出し、候補を3件リストにします(4週目)。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Novartis AG / イノベーティブ医薬品。参照資料:Form 20-F 2025(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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