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OTSUMU KNOWLEDGE

コンサルティング・ITソリューション事業

コンサルティングから開発、運用、金融機関向けの共同利用型システムまでを一続きで提供し、運用サービスが売上収益の最大項目になっているNRIの事例です。受託の「作った後」に収益の柱を置く構造を学べます。

分類:企業事例 › ITサービス・BPO

この事例の要点

  • 野村総合研究所は、コンサルティング、開発・製品販売、運用サービス、商品販売の4つのサービスを展開しており、外部顧客向け売上収益では運用サービスが最も大きくなっています。
  • 構想段階からコンサルティングとITソリューションが並走するモデルを、同社は「コンソリューション」と呼んでいます。上流の仕事が開発・運用につながる動線になっています。
  • 2026年3月期は増収だった一方、豪州・北米事業ののれん等の減損損失により営業利益は大きく減りました。継続収入の厚さと、買収による拡大のリスクが同じ決算に表れています。

どんな事業か

株式会社野村総合研究所(NRI)とその連結子会社は、4つのサービスを展開しています。リサーチ・経営コンサルティング・システムコンサルティングからなる「コンサルティングサービス」、システム開発とパッケージソフトの製品販売からなる「開発・製品販売」、アウトソーシング・共同利用型サービス・情報提供サービスからなる「運用サービス」、そして「商品販売」です(有価証券報告書 第61期〔2026年3月期〕「事業の内容」)。

報告セグメントは、コンサルティング、金融ITソリューション、産業ITソリューション、IT基盤サービスの4つです。このうち金融ITソリューションは、証券業・保険業・銀行業などの顧客に向けて、システム開発・運用、共同利用型システム、BPOサービスを提供しています。

資本関係では、野村ホールディングス株式会社が議決権の23.1%を保有するその他の関係会社にあたり、NRIは同社グループや野村證券株式会社にシステム開発・製品販売や運用サービスを提供しています(有価証券報告書 第61期〔2026年3月期〕)。

収益の仕組み

同社は、ビジネスITを企画・構想する段階からコンサルティングとソリューションが並走し、顧客に継続的に価値を生み出すモデルを「コンソリューション」と呼んでいます(2026年3月期 決算短信)。収入の入り口は、サービスの種類ごとに分かれています。

  • コンサルティングサービス:調査や経営・システムに関する助言の対価
  • 開発・製品販売:システム開発とパッケージソフトの販売の対価
  • 運用サービス:アウトソーシング、共同利用型サービス、情報提供サービスの対価
  • 商品販売:商品の販売の対価

サービス別の外部顧客向け売上収益では運用サービスが最も大きく(2026年3月期決算 説明会資料)、システムを作った後の運用や共同利用から入る継続的な収入が売上の柱になっています。

お金を払う人・対価顧客:コンサルティングの対価システム開発・製品販売の対価運用サービスの対価コンサルティングとITソリューション
図1 野村総合研究所の収益の流れ(決算短信・決算説明会資料にもとづく整理)。

数字で確かめる

  • サービス別の外部顧客向け売上収益は、コンサルティングサービス176,701百万円、開発・製品販売263,133百万円、運用サービス337,847百万円、商品販売37,025百万円です(2026年3月期決算 説明会資料)。開発よりも運用のほうが大きい構造であることが読み取れます。
  • 売上収益は814,708百万円(前期比6.5%増)でした(2026年3月期 決算短信)。事業全体としては拡大が続いていることが読み取れます。
  • 営業利益は58,273百万円(前期比56.8%減)でした。豪州・北米事業ののれん等の減損損失を計上したためです(2026年3月期 決算短信)。本業の継続収入とは別に、買収で広げた事業が利益を大きく動かし得ることが読み取れます。
  • 金融ITソリューションの売上収益は405,152百万円、営業利益は74,255百万円でした。同社は、良好な受注環境や運用サービスの増加で収益性が向上したと説明しています(2026年3月期 決算短信)。運用の積み上がりが利益面に効いていると同社自身が見ていることが読み取れます。
  • 野村ホールディングス株式会社の議決権保有は23.1%です(有価証券報告書 第61期〔2026年3月期〕)。議決権を保有する関係会社が、サービスの提供先でもあることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。受託開発は、案件ごとに人を充てて納品する仕事なので、売上は人員に比例しやすいと考えられます。これに対して、同じ業界の複数の顧客が同じ仕組みを使う共同利用型システムや運用サービスは、一度作ったものを使い続けてもらうことで収入が続くため、保守・運用によるリカーリングの型に近いと考えられます。NRIの売上構成は、受託で終わらせず「作った後」の仕事まで引き受けた結果と読めます。

この形が成り立つ条件は、開発後に顧客の現場で何が起きているかを提供側が理解していることだとOtsumuは見ます。どの顧客でも繰り返される仕事が分かってはじめて、共通化できる部分と個別に残す部分の線が引けます。上流のコンサルティングは、案件の入り口であると同時に、業界共通の課題を知る場にもなっていると考えられます。

トレードオフもあります。運用を引き受けることは、止められない仕組みへの責任を長く負うことでもあり、共通化を進めるほど個別の要望には応えにくくなります。また、海外事業の減損が示すように、この構造を買収で別の地域へ広げる場合は、既存事業とは別の大きさの損失リスクを伴うと読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の受託案件やプロジェクトで、納品後に顧客側で繰り返し発生している作業を、どこまで把握できているでしょうか。
  • その反復作業のうち、複数の顧客に共通するものはどれで、顧客固有の条件に左右されるものはどれでしょうか。
  • 上流の相談や調査の仕事から、開発・運用の仕事へつながる流れを、意図して設計できているでしょうか。
  • 受注金額だけでなく、運用期間を通じた収入と責任の両方を見て、案件の価値を評価しているでしょうか。

小さく試すなら

  1. 直近で公開・納品した受託案件を一つ選び、公開後に発生した問い合わせ、修正、定例作業を2〜4週間ぶん記録します。
  2. 記録した作業を「どの顧客でも起きそうなもの」と「この顧客に固有のもの」に分けます。共通側に入る作業が複数見つかれば、次へ進みます。
  3. 共通側の作業から一つを選び、手順書やチェックリストにして標準化します。別の案件の担当者が同じ手順で対応できるかを確かめます。
  4. 標準化した内容を、既存顧客の一社に運用メニューとして提示し、継続して任せたいかどうか、その理由は何かを聞きます。任せたい理由が具体的に語られれば、サービス化の検討に進めます。

資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社野村総合研究所 / コンサルティング・ITソリューション事業。参照資料の対象:2026年3月期 決算短信・決算説明会資料・有価証券報告書。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。

編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20

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