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ピジョン株式会社「哺乳器・ベビースキンケア」に学ぶ地域別ブランド展開の事業設計

哺乳器・乳首やベビースキンケアを日本・中国・シンガポール・ランシノの4事業で展開し、売上高1,091億70百万円を上げる構造です。出生数が減る中で年齢を上げて売る工夫と地域別の利益構造を、決算短信から確かめます。

分類:企業事例 › 食品・消費財

この事例の要点

  • ピジョン株式会社は、日本事業・中国事業・シンガポール事業・ランシノ事業の4つの報告セグメントで事業を展開し、2025年12月期の売上高は1,091億70百万円(前期比4.8%増)、営業利益は131億58百万円(同8.4%増)でした(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • セグメント利益は中国事業が104億96百万円で、日本事業の25億96百万円を大きく上回っており、地域によって利益の稼ぎ方が異なります(同上)。
  • 出生数の減少への対応策として、高月齢やキッズ向け商品(エイジアップ)に力を入れ、売上への貢献度が高まっていると説明されています(同上)。

どんな事業か

ピジョン株式会社は東京証券取引所に上場し、決算短信では、日本事業が「ベビーケア」「子育て支援」「ヘルスケア・介護」などで構成されると説明しています。基幹商品は哺乳器・乳首やベビースキンケアで、ベビーフード・飲料も含まれます。子育て支援では、事業所内保育施設等53箇所でサービスを展開しています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

海外は、中国事業(中国本土のほか韓国・北米のピジョンブランドも管轄)、シンガポール事業(ASEAN周辺地域・インド)、ランシノ事業(北米・欧州)に分かれています。同社は2023年12月期から「第8次中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)」を推進し、既存事業領域での持続的な成長に加え、自社の知見を活用できる新たな成長領域の探索・育成にも注力したと述べています(同上)。

収益の仕組み

決算短信の記載から、収益の構造は次のように整理できます。整理はOtsumuによるもので、事実は資料の記載の範囲です。

  • 入り口:哺乳器・乳首、ベビースキンケアという、出産前後に必要になる基幹商品。小売店との共同開催によるプレママ・パパ向けセミナーや、医療従事者向けのオンラインセミナーも開催しています。
  • 課金:商品の販売。日本では6月に哺乳器・乳首を含むベビー関連用品の一部で価格改定を行い、育児家電の「哺乳びんスチーム除菌・乾燥器 ポチット」シリーズも好調と記載されています。
  • 継続:成長に合わせた商品の広がり。ドリンキングカップなどのエイジアップ商品や、新ブランド「TABOTENZU(タボテンズ)」「ピジョンキッズ」の発表により、乳児期の先も接点を保とうとしています。

数字で確かめる

  • 連結:売上高1,091億70百万円(前期比4.8%増)、営業利益131億58百万円(同8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益85億70百万円(同2.4%増)(2025年12月期 決算短信)。増収増益の年であることが読み取れます。
  • 日本事業:売上高378億6百万円(前期比3.6%増)、セグメント利益25億96百万円(同29.9%増)(同上)。価格改定や工場稼働率の改善などで利益が売上より大きく伸びたことが読み取れます。
  • 中国事業:売上高429億2百万円(前期比9.9%増)、セグメント利益104億96百万円(同4.3%増)(同上)。4セグメントの中で売上・利益ともに規模が大きく、事業全体の収益を支えていることが読み取れます。
  • ランシノ事業:売上高219億4百万円(前期比2.2%増)、セグメント利益15億17百万円(同12.3%減)(同上)。米国関税による原価への影響などで増収減益となったことが読み取れます。
  • 財務:総資産110,088百万円、自己資本比率75.3%、営業利益率12.1%(同上)。自己資本が厚い事業構造であることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は、赤ちゃんと親という限られた期間・限られた対象に、安全性への信頼が重要な商品を届ける構造として読めます。哺乳器・乳首は肌や口に触れる商品で、親は慎重に選ぶと考えられます。その選択を、セミナーや医療従事者向けの情報提供で支えているのは、商品の信頼を積み上げる活動と読めます。

課題は対象期間の短さと、出生数の減少です。決算短信が「エイジアップ」を出生数減少への対応策として挙げているように、同じ顧客に長く使われる商品へ幅を広げる設計が必要になります。ドリンキングカップや、キッズ向けの新ブランドは、その方向の取り組みと読めます。また、地域ごとに主力商品と価格帯を変えている点も特徴です。シンガポール事業は上位中間層以上をターゲットに高価格帯の広口哺乳器を伸ばし、広口タイプの販売比率拡大で総利益率が改善したと説明されています。

もう一つ注目したいのは、子育て支援として事業所内保育施設を運営していることです。商品を売る事業と、サービスを運営する事業を併せ持つことで、育児の現場の声を商品に生かせる可能性があります。ただし、決算短信からは、この相互作用の効果までは読み取れません。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の顧客が商品を使う期間は限られていませんか。その先に続く、使い方や年齢・段階の広がりはありますか。
  • 信頼が購入の決め手になる商品なら、売る前に誰が何を伝えていますか。
  • 同じ商品でも、地域や顧客層によって利益の出方が違うのはなぜですか。価格帯や売り方を変えられますか。

小さく試すなら

  1. 過去1年の顧客を「使い始めの時期」ごとに分け、その後の利用期間と再購入の有無を集計します。
  2. 利用が終わる時期を特定し、その次の段階で必要になるものを、顧客3〜5人に聞き取ります。
  3. 聞き取りをもとに、次の段階向けの商品・サービスの案を1つ選び、既存顧客の一部に2〜4週間案内して反応を記録します。
  4. 購入前の不安を解く説明(セミナー、比較表、相談窓口など)を1つ用意し、成約率の変化を確認します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:ピジョン株式会社 / 哺乳器・ベビースキンケア。参照資料:2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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