分類:企業事例 › 医療・医薬・ヘルスケア
この事例の要点
- PROCEPT BioRobotics Corporationは、前立腺肥大症(BPH)の手術ロボットと、手術ごとに使う使い捨てハンドピースを販売しています(Form 10-K、2025年12月期)。
- 2025年12月期の売上は3億805万ドルで、前期比37%増でした。うちハンドピース等の消耗品が1億8,145万ドルと、約59%を占めます(Form 10-K、2025年12月期)。
- ロボットの直販に加え、販売型リースでも提供し、導入のハードルを下げる設計をとっています(Form 10-K、2025年12月期)。
どんな事業か
同社は2007年にカリフォルニア州で設立され、本社は米国カリフォルニア州サンノゼにあります。ナスダックに上場しています。低侵襲の泌尿器外科手術のロボットを開発しており、最初の対象はBPHです。同社の「AquaBeam」ロボットシステムは2017年12月にFDAの認可を受け、次世代の「HYDROS」ロボットシステムは2024年8月に510(k)認可を受けました(Form 10-K、2025年12月期)。
手術は、リアルタイムの画像、個別の治療計画、自動化されたロボット、熱を使わない水流による組織の切除を組み合わせた「Aquablation療法」と呼ばれます。ロボット1台ごとに、手術時に1回使う使い捨てのハンドピースが必要です。同社は、米国のBPH患者は約4,000万人、2024年に手術を受けたのは約40万人と記載しています(Form 10-K、2025年12月期)。
収益の仕組み
売上は、システム販売・レンタル、ハンドピース等の消耗品、サービスの3つに分かれます。顧客は主に病院等で、一部は外来手術センターやリース会社、販売パートナー経由です。病院は手術のたびに、保険者などへ手術費用を請求します(Form 10-K、2025年12月期)。
- 入り口:病院がロボットを購入、または販売型リースで導入する。メディケアの地域契約者(MAC)は、2021年から全50州でAquablation療法の適用を認めている。
- 課金:手術のたびに、使い捨てハンドピースを購入する。
- 継続:保守などのサービス収益が、導入済みロボットの台数に応じて積み上がる(Form 10-K、2025年12月期)。
数字で確かめる
- 売上3億805万ドルのうち、システム販売・レンタルは1億613万ドル(前期比18%増)、ハンドピース等は1億8,145万ドル(同49%増)、サービスは2,048万ドル(同61%増)でした。消耗品とサービスが、機器の売上より速く伸びていることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- 消耗品の増加額は6,000万ドルで、売上全体の増加額8,356万ドルの約7割を占めます。導入済みの台数の上で、手術が増えることが成長の主役になっていることが読み取れます(Form 10-Kの売上表から算出)。
- 粗利率は64%で、前期の61%から上がりました。同社は、販売台数の増加で製造の固定費を薄められたためと説明しています(Form 10-K、2025年12月期)。
- 米国の売上は2億7,038万ドル、米国外は3,768万ドルで、米国が大部分を占めることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- 純損失は9,557万ドルで、前期の9,141万ドルから拡大しました。成長に向けた投資が続き、まだ黒字化していないことが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は、高額なロボットを1台売る段階と、そのロボットで手術が繰り返される段階の2つに分けて読めます。売上の中心は後者で、ロボットが病院に置かれた後、手術1回ごとにハンドピースの売上が発生するため、導入台数が増えるほど将来の収益が積み上がる構造です。ロボットの購入に加えて販売型リースも用意しているのは、初期費用が大きいと導入の意思決定が遅れるためだと考えられます。
この型の注意点は、機器の台数だけでは収益が決まらないことです。ロボットが置かれても、外科医が手術に使わなければ消耗品は売れません。手術の件数を増やすには、外科医の訓練と、保険者の適用範囲の確保が欠かせません。同社が全50州でのMACの適用を重視して記載しているのは、この理由だと考えられます。この事例は、一つの疾患に絞って「機器の設置」と「手術ごとの消耗品」を組み合わせる型を、組み立てている例として読めます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の商品は、売った後に「使うたびに必要になる部材やサービス」を持っていますか。
- 初期費用が導入の壁になっているなら、リースや分割など、入り口を軽くする選択肢はありますか。
- 導入した顧客が実際に使い続けるために、訓練や支援をどこまで用意できていますか。
小さく試すなら
- 既存顧客を「導入したが使用頻度が低い」「よく使っている」に分け、使用頻度を決めている要因を5件ほど聞き取ります。
- よく使っている顧客に共通する条件(担当者の習熟、手順書、支援)を洗い出し、導入直後のチェックリストにします。
- 新規の2〜3社に、導入と同時にこのチェックリストを使った初期支援を提供します。
- 2〜4週間後、導入から初回利用までの日数と、利用回数を、支援なしの顧客と比べます。
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資料の位置づけ
企業・サービス:PROCEPT BioRobotics Corporation / Aquablation療法。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25