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OTSUMU KNOWLEDGE

不妊治療・家族形成の福利厚生プログラム

Progynyは雇用主と契約し、その従業員と扶養家族に不妊治療などの福利厚生を提供して、主に実際の利用に応じて雇用主に請求します。人数連動の料金は総収益の1%です。BtoBtoCで請求の基準をどこに置くかを考えられる事例です。

分類:企業事例 › 医療・医薬・ヘルスケア

この事例の要点

  • Progynyは2016年に5社の雇用主顧客でサービスを始め、現在は雇用主590社超を顧客とし、約720万人の従業員と扶養家族をカバーする契約を持っています。
  • 収益の大半は、従業員が実際に受けた治療や処方された薬に応じて雇用主へ請求する利用連動の部分で、人数に応じた月額料金(PEPM)は総収益の1%です。
  • 販売では自社の営業組織に加え、福利厚生コンサルタント、チャネルパートナー、健康保険のパートナーとの関係を使っています。

どんな事業か

Progynyは、自社を不妊治療・家族形成・女性の健康の福利厚生ソリューションを提供する企業と説明しています(Form 10-K、FY2025)。2016年に5社の雇用主顧客で不妊治療の福利厚生サービスを始め、現在は1,000人以上をカバーする雇用主590社超を顧客とし、約720万人の従業員と扶養家族(同社は会員と呼んでいます)にカバーを提供する契約を持っていると記載しています(Form 10-K、FY2025)。妊娠・産後、更年期、休業支援などにもサービスを広げています(Form 10-K、FY2025)。

契約相手は雇用主で、サービスを使うのはその従業員と家族です。同社は主な市場を大企業の自家保険の雇用主などとし、米国に従業員1,000人以上の雇用主が約9,000社あると記載しています(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

収益には次の二つの部分があります(Form 10-K、FY2025)。

  • 利用に応じた部分:従業員が実際に受けた不妊治療を、同社独自の治療パッケージ「Smart Cycle」の単位で、同社の料金表にもとづいて雇用主に請求します。料金には、提携クリニックなど第三者の医療サービスと、同社のケアマネジメントが含まれます。治療薬の「Progyny Rx」も、処方された薬の分を雇用主に請求します。
  • 人数に応じた部分:従業員1人当たりの月額料金(PEPM)です。治療を受けない会員も含め、相談窓口やデジタルツールを使えるようにするための料金で、2025年・2024年とも総収益の1%でした。

料金に第三者の医療サービスが含まれるという記載から、同社が雇用主から受け取る額の中には、提携クリニックなどが提供するサービスの分が含まれる構造であることが分かります。販売では、自社の営業組織に加え、多くの場合に大手の福利厚生コンサルタント、チャネルパートナー、健康保険のパートナーとの関係を使って見込み顧客と関係を作ると説明しています(Form 10-K、FY2025)。

お金を払う人・対価雇用主:受けた治療・薬の利用連動請求雇用主:人数に応じた月額料金(PEPM)不妊治療・家族形成の福利厚生かかる費用提携クリニックなど第三者の医療サービスケアマネジメント
図1 Progynyの収益の流れ(Form 10-Kにもとづく整理)。

数字で確かめる

  • FY2025の総収益は12億8,866万ドルで、FY2024は11億6,722万ドルでした(Form 10-K、FY2025)。
  • 内訳は不妊治療サービス8億3,093万ドル、薬剤サービス4億5,773万ドルです(Form 10-K、FY2025)。治療と薬の二本立てで、どちらも利用に連動する収益であることが読み取れます。
  • PEPMは2025年・2024年とも総収益の1%です(Form 10-K、FY2025)。人数連動の固定的な収入はごく小さく、売上が利用の量に左右される構成であることが読み取れます。
  • 2025年は売上高の10%超を占める顧客はなく、2024年は1社が12%でした(Form 10-K、FY2025)。特定の大口顧客への依存が下がったことが読み取れます。
  • 同社は、サービス開始以来ほぼ全ての顧客を維持してきたと説明しています(Form 10-K、FY2025)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。BtoBtoCに従量課金を組み合わせたこの型は、法人にとって「使われた分だけ払う」形になるため、導入の判断をしやすくする効果があると考えられます。その反面、提供側の売上は利用の波に左右されます。契約法人を増やすだけでは売上にならず、従業員が実際に使える状態を作って初めて収益になる点が、人数連動の料金との大きな違いだとOtsumuは見ます。

支払者と利用者をつなぐ支援では、利用のしやすさと機微な情報の保護が同時に求められると考えられます。とくにこの事例が扱うのは治療に関わる情報です。従業員が勤務先に知られる不安を持てば、利用そのものが止まります。利用連動の請求を成り立たせながら、雇用主に渡る情報を必要な範囲にとどめる設計が、裏側の重要な仕事になると読めます。なお、医療の適否そのものは専門家の判断が必要な領域であり、事業者が代わりに判断できるものではないとOtsumuは考えます。

販路の面では、法人の意思決定に影響する第三者を経由している点が参考になります。福利厚生の導入では、コンサルタントや保険会社の助言が選定に関わるため、直接の営業だけでなく、助言者に選ばれる理由を作ることが契約法人を増やす経路になると考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 請求の基準を「契約人数」と「実際の利用」のどちらに置きますか。法人の導入のしやすさと、自社の売上の安定のどちらを優先しますか。
  • 利用連動にした場合、利用を増やすための案内や支援は誰の仕事になりますか。
  • 利用者の機微な情報のうち、支払者である法人に渡るものと渡らないものを、利用者に説明できますか。
  • 法人の導入判断に影響する第三者は誰ですか。その人たちが自社を薦める理由はありますか。

小さく試すなら

  1. 医療に限らない一般的なBtoBtoCの検証として、対象のサービスを一つ決め、法人、利用者、自社、提携先の四者それぞれの役割を一枚の図にします。
  2. 利用者がサービスを使うまでの流れを、資格確認(その人が対象者かの確認)、案内、利用、利用後の問い合わせの順に分け、各段階の責任者と、やり取りされる情報を書き出します。
  3. 2〜4週間程度、協力してくれる法人の少人数を対象に、その流れを実際に通してみます。どこで手が止まったか、問い合わせがどこに来たか、法人側に伝わった情報は何だったかを記録します。
  4. 責任の空白(誰も受けない問い合わせ)と、情報の渡りすぎがないことを確認できれば、料金の基準を人数連動と利用連動のどちらにするかの検討へ進みます。専門的な判断が関わる領域では、この段階で必ず専門家に確認します。

資料の位置づけ

企業・サービス:Progyny, Inc. / 不妊治療・家族形成の福利厚生プログラム。参照資料の対象:FY2025(2025年1〜12月)Form 10-K。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。

編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20

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