分類:企業事例 › 証券・保険・資産運用
この事例の要点
- The Charles Schwab Corporationは、ウェルスマネジメント、証券、銀行、資産運用、カストディ、フィナンシャルアドバイザリーのサービスを提供する貯蓄貸付組合持株会社です(Form 10-K、FY2025)。
- 2025年の純収益は23,921百万ドル(前期は19,606百万ドル)で、そのうち純金利収入が11,750百万ドル、運用管理・事務手数料が6,506百万ドル、取引収益が3,921百万ドルでした(Form 10-K、FY2025)。
- 2025年12月31日時点の顧客資産は11.90兆ドル、アクティブな証券口座は38.5百万口座で、口座と資産の積み上がりが収益の土台になっています(Form 10-K、FY2025)。
どんな事業か
The Charles Schwab Corporationは、NYSEに普通株式(銘柄コードSCHW)を上場しています。事業はInvestor Services(個人投資家や事業者向け)とAdvisor Services(独立系の登録投資顧問、退職給付アドバイザー、記録管理会社向け)の2セグメントです(Form 10-K、FY2025)。
2025年12月31日時点で、顧客資産は11.90兆ドル、アクティブな証券口座は38.5百万、職場の退職プラン参加者口座は5.7百万、銀行口座は2.2百万と記載されています。連結総資産は約4,910億ドル、従業員数はフルタイム換算で約33,000人です(Form 10-K、FY2025)。
収益の仕組み
収益は、顧客から預かる資産を軸に、複数の経路で生まれます(Form 10-K、FY2025)。
- 入り口:証券口座、退職プラン、銀行口座を通じて顧客資産を預かります。
- 金利:預かった資金を運用・融資に回し、受取利息と支払利息の差から純金利収入(純収益の約半分)を得ます。
- 手数料:資産の運用管理・事務にかかる手数料(運用管理・事務手数料)を得ます。
- 取引:顧客の売買に伴う取引収益と、提携銀行の預金口座にかかるBDA手数料があります。
純金利収入の増加について同社は、銀行の補完的な資金調達の削減による支払利息の低下や、調達源の金利低下を主因としています。BDA手数料の増加は、ネット利回りの上昇によるものと説明されています(Form 10-K、FY2025)。
数字で確かめる
- 純収益:23,921百万ドル(2024年は19,606百万ドル)、前年比22%増(Form 10-K、FY2025)。顧客資産と取引の拡大が収益全体を押し上げたことが読み取れます。
- 純金利収入:11,750百万ドル(前年比28%増)。純収益に占める比率は約49%です(11,750÷23,921から算出)。預かり資産を運用する金利の仕組みが、収益の中心であることが読み取れます。
- 運用管理・事務手数料:6,506百万ドル(14%増)、取引収益:3,921百万ドル(20%増、取引量の増加が主因)(Form 10-K、FY2025)。資産残高に連動する手数料と、取引に連動する収益が並走していることが読み取れます。
- 純利益:8,852百万ドル(2024年は5,942百万ドル、49%増)(Form 10-K、FY2025)。収益の伸びが利益により大きく反映されたことが読み取れます。
- 新規証券口座:4,692千口座(2024年は4,170千口座、13%増)(Form 10-K、FY2025)。新しい入り口の口座が毎年大きく増え続けていることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は、顧客から預かる資産の規模が収益を決める「残高ビジネス」の型で読むことができます。口座を開いてもらい、資産を預けてもらえば、その資産から金利差、運用管理手数料、取引収益と、複数の収益が重なって生まれます。1つの入口から収益が分岐する構造のため、新規口座の増加(13%増)と顧客資産の積み上がりが、複数の収益を同時に動かすと考えられます。
この型の裏側には、金利環境への依存があります。純金利収入が純収益の約半分を占め、その増加理由が資金調達コストや金利の変化にあると説明されている点は、金利が動くと収益が変わりうることを示しています。BDA手数料の増加理由が「ネット利回りの上昇」とされている点も同様です。残高を持つだけでは収益は決まらず、その残高をどう運用・調達するかが利益の幅を左右すると読めます。
手数料型の収益は、金利の変動を受けにくい層として並んでいます。運用管理・事務手数料のように資産の残高に連動する収益と、金利にもとづく収益を重ねることで、一方が弱いときに他方が支える構造を狙っていると推測できます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社に「預かる・蓄積する」ものはありますか。それは顧客にとってどんな価値で、そこから複数の収益を作れますか。
- 収益のうち、外部環境(金利・相場)に左右される部分と、顧客の残高に比例する部分は、それぞれどれくらいですか。
- 最初の入り口(口座、会員登録)を増やしたとき、その後に何段階の収益が重なりますか。
小さく試すなら
- 顧客1社あたりの収益を、入口の収益と、その後に追加で生まれた収益に分けて、直近1年分を一覧にします。
- 追加の収益が生まれた顧客に共通する行動(利用開始から何日目に何をしたか)を3〜5件洗い出します。
- 共通行動を促す案内(メール、画面の導線など)を1つ作り、2〜4週間、新規顧客の一部に試します。
- 案内を受けた顧客と受けなかった顧客で、追加収益が生まれた割合を比べます。
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資料の位置づけ
企業・サービス:The Charles Schwab Corporation / 証券・銀行・資産運用。参照資料:Form 10-K(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25