この事例の要点
- Six Flags Entertainment Corporationは、2024年7月1日にCedar FairとSix Flagsの合併を完了し、2025年12月末時点で26の遊園地、15のウォーターパーク、9つのリゾート施設を運営しています(Form 10-K、2025年12月期)。
- 収益は入場料(Admissions)、飲食・物販・ゲーム、宿泊・追加課金商品の三層で、2025年の純売上は3,100,289千ドルです(Form 10-K、2025年12月期)。
- 来場者数は47,388千人、来場者あたり支出は61.90ドルでした。一方で、のれん等の減損損失1,518,099千ドルを計上し、当期損失は1,549,466千ドルでした(Form 10-K、2025年12月期)。
どんな事業か
Six Flags Entertainment Corporationは米国の上場企業です。41の遊園地・ウォーターパークのうち37が米国、2つがメキシコ、2つがカナダにあります。家族連れと12〜24歳の若い層を重要な顧客層とし、大型アトラクションや園内の娯楽を提供しています(Form 10-K、2025年12月期)。
事業は季節性が強く、2025年は年間の来場者数と売上の約70%が第2・第3四半期に集中しました。来場の入り口には、1日券のほか、シーズンパス(その営業シーズン有効)とメンバーシップ(12か月の解約不能期間の後、解約するまで継続)があります(Form 10-K、2025年12月期)。
収益の仕組み
同社は、遊園地やウォーターパークの入場料、園内外での飲食・物販・ゲーム、宿泊や追加課金商品などから収益を得ていると説明しています(Form 10-K、2025年12月期)。
- 入り口:1日券、シーズンパス、メンバーシップ。貸借対照表には繰延収益(流動分293,061千ドル)が計上されています。
- 課金:園内での飲食、物販、ゲーム、追加課金商品、宿泊。来場者あたり支出で管理しています。
- 継続:シーズンパスとメンバーシップで来場を繰り返し、園内消費の機会を増やします。メンバーシップは自動継続の形です。
数字で確かめる
- 純売上は3,100,289千ドル(前年2,708,926千ドル、14.4%増)で、入場料1,584,281千ドル、飲食・物販・ゲーム1,037,799千ドル、宿泊・追加課金商品等478,209千ドルです。入場料が売上の約51%で、残りが園内消費であることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- 来場者数は47,388千人(前年41,649千人)で、来場者あたり支出は61.90ドル(前年61.31ドル)です。増収は来場者数の増加が中心で、2025年上半期の旧Six Flags運営分499.7百万ドルを含み、単価の上昇は1.0%にとどまることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- 来場者あたり支出の内訳は、入場料が33.41ドル(前年33.70ドル)、園内商品が28.49ドル(前年27.61ドル)でした。入場料の単価は下がり、園内消費の単価が上がったことが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- 調整後EBITDAは792,010千ドル(前年875,291千ドル)で、修正EBITDAマージンは27.1%(前年33.2%)でした。売上は増えたものの、利益率が下がったことが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- のれん等の減損損失は1,518,099千ドルで、営業損益は1,375,007千ドルの損失、当期損失は1,549,466千ドルでした。営業損失の大半を非現金の減損が占めることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事例は、大きな固定資産(パーク)を、来場者数と1人あたり支出の掛け算で回収する設計として読めます。入場料で来園のきっかけをつくり、園内で飲食や追加課金商品を売る二層の構造は、入り口の価格を抑えながら、来場後の消費で収益を積み上げる考え方です。シーズンパスとメンバーシップは、来園の回数を増やし、園内消費の機会を重ねる仕組みです。
同時に、この年の数字は、規模を広げるだけでは利益が増えないことも示しています。売上は14.4%増えたものの、利益率は下がり、減損も大きくなりました。同社は戦略として、商品構成の簡素化、パークごとの価格の最適化、パークごとに合わせたマーケティングなどを挙げており、統合後の運営の見直しが最優先の課題になっていると読めます。
入場料の単価が下がり、園内消費の単価が上がっている点は、値引きしやすい入り口と、体験の中で売る追加価値という役割分担が進んでいる可能性を示します。ただし、その要因はここで引用した範囲では分かりません。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の顧客1人あたりの収益を、入り口の料金と利用後の追加購入に分けて把握できているか。
- 定期購入や会員のような仕組みで、来訪や利用の回数を増やせないか。
- 事業や拠点を広げたとき、売上だけでなく利益率や1拠点あたりの収益も見ているか。
小さく試すなら
- 直近1年の顧客1人あたりの売上を、入り口の料金と追加購入に分けて一覧にする。
- 来訪・利用の回数が多い上位20%の顧客と、それ以外の売上の差を出す。
- 回数券や定額の継続プランの案を1つ作り、既存顧客10〜20件に見せて反応を聞く。
- 2〜4週間後に反応と追加購入の見込みをまとめ、続けるか判断する。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:Six Flags Entertainment Corporation(米国)。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25