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株式会社すかいらーくホールディングス「ガスト・しゃぶ葉」に学ぶ外食多ブランドの事業設計

ガスト、しゃぶ葉、資さんうどんなど多ブランドで売上収益4,577億円を上げる外食チェーンの構造を、アプリのクーポン、店舗中心経営、出店の取り組みとあわせて2025年12月期の決算短信から確かめます。

分類:企業事例 › 外食・レジャー

この事例の要点

  • 株式会社すかいらーくホールディングスは、「ガスト」「しゃぶ葉」「資さんうどん」などのブランドで、2025年12月期末時点で3,111店舗(転換準備のための未開店店舗4店舗を含む)を展開しています(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 2025年12月期の売上収益は4,577億94百万円(前年比566億64百万円増)、事業利益は329億87百万円(前年比87億37百万円増)、既存店売上高は前年比107.5%です(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 公式アプリでの「ダイナミッククーポン」、店舗に権限を渡す「店舗中心経営」、クリーンアップタイムの可視化などの運営改革を、既存店の成長策として挙げています(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

どんな事業か

株式会社すかいらーくホールディングス(東証、コード3197)は、外食チェーンを展開する企業で、連結財務諸表は国際会計基準(IFRS)で作成されています。2025年12月期は新規出店77店舗、業態転換36店舗、店舗改装223店舗を行い、48店舗が閉店しました。国内の新規出店は「しゃぶ葉」19店舗、「ガスト」14店舗、「資さんうどん」9店舗を中心に59店舗、海外は台湾12店舗とマレーシア6店舗の計18店舗でした(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

株式会社資さんは2024年10月に、マレーシアのCreateries Consultancy Sdn. Bhd.等は2025年1月に、株式を取得しています。次期の方針として、既存店成長、国内新規出店、海外展開、M&Aの4つと、店舗中心経営を並行して推進するとしています(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

収益の仕組み

収益の中心は、店舗での飲食の提供です。決算短信の記述から、次の構造が読み取れます。

  • 入り口:ブランドごとに立地と客層を分けた店舗です。2026年度は国内で50店舗の出店を計画し、駅前や商業施設など未出店のエリアを中心に、「ガスト」や「しゃぶ葉」などを展開するとしています。
  • メニュー:低価格帯の小皿料理の拡充による「選べる楽しさ」と、外食ならではの高付加価値メニューの投入で、消費の二極化に対応するとしています。
  • 販促:公式アプリでの「ダイナミッククーポン」の配信で、地域や顧客属性に応じたプロモーションを行い、販促の投資対効果を高めたと説明しています。
  • 運営:マネジャーへの権限委譲、業績連動インセンティブ、クルーポイント制度、単日バイトシステム「スポットクルー」で人員を確保し、テーブル片付け時間の短縮でピーク時の回転率を高めるとしています。

数字で確かめる

  • 売上収益4,577億94百万円、事業利益329億87百万円、営業利益299億57百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益167億48百万円(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。売上と利益がそろって増えたことが読み取れます。
  • 既存店売上高は前年比107.5%で、客数および客単価がともに伸びたと説明されています(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。新規出店だけでなく、既存店の成長が数字に出ていることが読み取れます。
  • 売上総利益率は66.7%で前年比0.7%減、販売費及び一般管理費は2,721億44百万円で前年比262億19百万円増(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。原価の上昇を値上げや原価低減で抑えつつも、粗利率は下がっていることが読み取れます。
  • 閉店店舗に係るのれんの除却損は11億69百万円で、48店舗が閉店しました(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。出店と並行して、店舗の入れ替えも進めていることが読み取れます。
  • 営業活動によるキャッシュ・フローは744億95百万円の収入、資産合計は5,185億49百万円、親会社所有者帰属持分比率は36.2%(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。借入と店舗投資を組み合わせて事業を広げる、設備投資型の構造であることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は「専門店(カテゴリー特化)」に近い、ブランドごとに業態を分ける型として読むことができ、アプリの個別クーポンは「ダイナミックプライシング」と似た考え方に通じます。同じ外食でも、しゃぶしゃぶ、うどん、ファミリーレストランでは、客層、客単価、混み合う時間帯が異なります。ブランドを分けて立地に合わせて出す設計は、一つの業態に偏る危うさを減らし、駅前や商業施設など未出店の立地にも対応できるようにするものだと考えられます。

もう一つは、店舗の運営の質を数字に結びつけている点です。決算短信は、報酬制度の導入で離職率が低下し、習熟度が高まって店舗の生産性が向上したと説明しています。人件費は費用でもあり、売上を生む源泉でもあるため、投資する順序を決めた経営判断が前提にあると読めます。一方、粗利率は下がっており、原価と価格のバランスは常に見直しの対象と考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の顧客層や利用の場面ごとに、別の見せ方(名前、メニュー、価格帯)を用意した方が伝わる事業はないでしょうか。
  • 販促の割引や案内を、全員に同じ内容で出していないでしょうか。地域や顧客の属性で変えると、どの数字が変わりそうですか。
  • 人への投資(権限、報酬、教育)は、自社のどの数字(離職、生産性、客数)に表れていますか。

小さく試すなら

  1. 顧客リストを、利用頻度や購入時期で2〜3のグループに分け、グループごとの平均的な客単価や再来の間隔を書き出します。
  2. グループのうち1つを選び、他とは別の内容の案内(特典の種類、案内の時期)を用意します。
  3. 2〜4週間、そのグループだけに別の案内を出し、反応(来店、購入、返信)を、これまでの案内を出したグループと並べて記録します。
  4. 反応の差と、特典にかけた費用を見て、続けるか、別のグループに広げるかを判断します。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社すかいらーくホールディングス / ガスト・しゃぶ葉。参照資料:2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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