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StoneCo「加盟店向け決済・銀行・与信」に学ぶ決済から金融へ広げる事業設計

ブラジルの中小事業者に決済、口座、融資を重ねて提供するStoneCoの事業設計を、2025年第4四半期の決算発表(6-K)から読み解きます。取扱高の伸びと、預金・与信残高の積み上がりを確かめます。

分類:企業事例 › 銀行・決済・フィンテック

この事例の要点

  • StoneCo Ltd. は、加盟店の成長を助ける決済・銀行・与信のフィンテック企業と自社を説明しています。主たる事務所はケイマン諸島にあり、事業者向けのフィンテックとして事業を行っています(2025年第4四半期 決算発表 6-K)。
  • 2025年の総TPVは5,609億レアル、総収益・収入は141億5,380万レアルで、いずれも前期から増えました(継続事業ベース、決算発表)。
  • 決済で得た加盟店との関係に、口座・預金・融資を重ねており、与信残高は前期の約2.3倍に増えています(決算発表の数値から計算)。

どんな事業か

StoneCo Ltd. は主たる事務所をケイマン諸島に置く企業で、加盟店が成長できるよう、決済、銀行、与信の金融技術ソリューションを提供する企業と自社を説明しています(2025年第4四半期 決算発表)。顧客は中小零細事業者(MSMB)と大口顧客(Large Accounts)に分かれます。

2024年の数値は、ソフトウェア資産(Linx)の売却に伴い、継続事業ベースに組み替えて示されています。したがって、本稿の数値は決算発表の継続事業ベースの表記に従います。

収益の仕組み

決済を入り口に、同じ事業者へ口座と融資を重ねる構造です。決算発表が開示する指標から、重なりの様子を次のように整理できます。

  • 入り口:中小零細事業者に決済端末・決済サービスを提供し、取扱高(TPV)を得る。
  • 課金:決済の取扱高に連動する収益に加え、預金の受け入れと融資(加盟店向け、クレジットカード)による収益を重ねる。
  • 継続:口座を使う事業者を増やし、預金残高と与信残高を積み上げる。

数字で確かめる

  • 総TPVは5,609億レアル(前期5,162億レアル、8.7%増)で、うち中小零細事業者は5,034億レアル(11.0%増)、大口顧客は575億レアル(8.2%減)と、中小向けが成長を支えていることが読み取れます(2025年第4四半期 決算発表)。
  • 総収益・収入は141億5,380万レアル(前期120億4,960万レアル、17.5%増)、調整後粗利は63億1,940万レアル(13.5%増)で、取扱高の伸びより収益の伸びが大きいことが読み取れます(同上)。
  • 調整後純利益(継続事業)は24億7,720万レアル(17.5%増)で、事業の拡大が利益にも結びついていることが読み取れます(同上)。
  • 中小零細事業者の銀行アクティブ顧客は369.89万(前期306.19万、20.8%増)で、中小のアクティブ顧客473.92万の約78%にあたり、口座の利用が広がっていることが読み取れます(決算発表の数値から計算)。
  • 与信残高は28億3,630万レアル(前期12億760万レアル、134.9%増)、リテール預金は110億9,100万レアル(27.4%増)で、預金残高が与信残高の約3.9倍の規模にあることが読み取れます(決算発表の数値から計算)(同上)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。決済は、事業者の売上の流れが毎日見えるデータの入り口でもあります。その流れを知っているからこそ、口座を使ってもらい、融資の判断材料にもできる、という順序の設計だと読めます。入り口の決済が、より利幅の見込める金融サービスへ顧客を運んでいます。

一方で、与信が増えるほど、貸し倒れや資金調達の管理が重くなります。預金の内訳が「口座の預金」から「オンプラットフォームの定期預金」へ大きく動いている点も、資金の集め方を変えていることを示唆します。顧客数の拡大と、金融リスクの管理を同時に進める難しさがあると考えられます。

大口顧客のTPVが減り、中小零細事業者が増えている点も、顧客の層をどこに置くかという設計上の選択を映します。数が多く分散した顧客層は、1社への依存を下げる一方、個々の顧客対応を仕組み化できるかが前提になります。端末や口座の導入から問い合わせ対応までを標準化できるほど、顧客を増やしたときの追加コストを抑えやすいと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が顧客と毎日つながっている接点(支払い、発注、問い合わせなど)から、どんなデータや信頼が蓄積されているか。
  • その信頼を土台に、次に重ねられる商品は何か。リスクを自社で持つ形と、提携で行う形のどちらが合うか。
  • 入り口の事業と重ねる事業を、顧客数と利用の深さのどちらの指標で見ているか。

小さく試すなら

  1. 既存顧客の取引データから、利用頻度の高い顧客を10〜20社抽出する。
  2. その顧客に共通する困りごと(資金繰り、支払い遅延など)を面談で聞き取る。
  3. 自社でリスクを持たない範囲(提携先の紹介、前払い・分割の案内)の簡易版を1つ用意する。
  4. 2〜4週間で、関心を示した割合と継続利用の見込みを確かめ、次の段階を決める。

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資料の位置づけ

企業・サービス:StoneCo Ltd.「加盟店向け決済・銀行・与信」。参照資料:2025年第4四半期 決算発表(Form 6-K 添付)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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